第36話 ドラゴンの島
かなり奥地に来た。
この辺りになると、俺の背も立たない。
泳げるけどね。
首だけ出して泳いでいるので、みなは俺の首につかまり浮いていた。
飛んで行けっていう突っ込みはなしだ。
浮島に俺が乗ると地面が下までない本当に浮いている浮島は沈む。
最悪、壊れる。
深くなればなるほど、このタイプの浮島ばかりになる。
浮島に上陸するとアニーが自分だけ乾燥の魔法を掛ける。
もちろん魔法を盗んでやった。
イメージはこんなだ。
char water[500]; /*水500ミリリットル*/
void main(void)
{
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
mp=magic_make(water,sizeof(water),IMAGEUNDEFINED); /*水を魔法として登録*/
magic_delete(mp); /*水を消去*/
}
これ魔力が染みていると他人には効力を発揮しない奴だ。
駄目元でずぶ濡れの人に同じ魔法を掛ける。
濡れていた装備品からしたたり落ちる水滴はなくなった。
しかし、髪の毛は湿っている。
なぜだ。
魔力が染みるのは時間が掛かるのかも知れない。
そして染みたら今度は抜けるのに時間が掛かる。
接している水はどんどん流れるから、表面しか魔力に染まらないのか。
なるほど。
なら、汚れもなんちゃって洗浄で落ちたという事は湿っている水もなんちゃって洗浄で落ちるだろう。
さっそく実行してみる。
湿り具合がましになった気がする。
「こんな魔法は知らないぞ。俺にも使えるかな」
リアムが言った。
残念だなこれ魔力が凄くいるんだ。
「洗浄と違って臭いが取れてるわ」
アニーが言った。
汚れと臭いは違うからな。
これは洗浄というより水洗いだから。
「僕とっても寒いんだけど」
ブルブルと震えながらランドが言った。
みんな寒がっていたので低温ブレスを吐く。
みなは手の平をブレスに向けて暖をとった。
体も温まり採取に取り掛かる。
すると水辺から50センチほどの魚が次々に空中に躍り出て襲って来た。
剣士は剣で魚を薙ぎ払い魔法使いを守る。
魔法使いは攻撃魔法で剣士を援護。
中々連携が取れてるな。
アニーはナイフを抜いて応戦していた。
錬金術士の癖に武闘派だな。
ミニアはというと魔法を連発して迎撃していた。
俺は筋力強化の魔法をミニアに掛ける。
魚は魔獣だと思うけど平気みたいだから手を出さないでおくか。
魔獣を倒すと魔力が上がるのでミニアの成長のためにも雑魚なら任せないとな。
そして、倒した魚が五十匹を越えた。
何匹いるんだこいつら。
魔法使いの面々はみんな魔力切れ近くになったようなので魔法を撃たなくなった。
ここまでだな。
ストーンウォールを出してみんなを囲う。
躍り出た魚は石の壁に阻まれ地面に落ちる。
地面を跳ねながら水中に戻って行った。
仕留めた魚をアイテムボックスに入れる。
食えるのかなこいつら。
腹が減ったら試しにおやつとして食ってみよう。
魚の襲撃は終わり、水面に大きな波紋が出来る。
おっと、大物のお出ましか。
出てきたのは大蛸の魔獣だ。
胴体だけで5メートルは越えているな。
足を入れれば10メートルほどだろうか。
出会い頭のブレス。
蛸は絶命した。
「何あれ。石壁の隙間から見えたけど、もの凄いのが居た」
アニーがうるさい。
むっ、また何か巨大な物が水中から近づいて来た。
こいつ俺と同じぐらいあるかも。
水中から顔を出したところをブレスで仕留めてやろうと待ち構えていると、何やら見覚えのあるシルエットが。
水中から出した顔を見て思った。
やっぱり。
ウィッチじゃねえか。
「奇遇ね」
「おう」
ウィッチのドラゴン語の挨拶に俺は短く吠え答えた。
「ところでこの場所で狩りはしていないわよね」
「襲い掛かってきたのがいたから迎撃したが」
「ふーん、食ったの」
「いや食ってない」
「なら良いわ」
俺は縄張りに土足で入り込んだというところだろう。
「アイテムボックスに保管してあるけど、どうする」
「もちろん私にくれるわよね」
「ああ」
後で食おうと思っていたが、まあいい。
この大湿原で獲れた魔獣をウィッチに渡す。
ウィッチは魔法で収納した。
ミニアに話がついたと伝言魔法を送った。
「何、何が起こっているの」
パニックのアニー。
「しー、ドラゴンに食われるわよ」
リタリーが口に指を当て言った。
剣士の面々は武器を油断なく構えて固唾を呑んでいる。
「大丈夫。貢いだ」
一同にほっとした空気が流れた。
「流石ミニアちゃん。ドラゴンを従えているだけあってドラゴンの好みが分かっているわね。それよりあのドラゴンはアイテムボックス使ってた。まさかあれが竜言語魔法」
「知らない」
「せっかくだから私の島へ招待するわ」
ウィッチがドラゴンの言葉で言った。
「お呼ばれするよ」
俺はその旨ミニアに魔法で伝えた。
「みんな。ドラゴンの島。行く」
「私、行きたい」
真っ先に手を上げたのはリタリーだ。
「しゃあねぇな」
しぶしぶといった感じはグバート。
「僕は行きたくない」
「ガハハ。一生の自慢になるな」
「俺はびびらないぞ」
と『不壊の鎖』の面々。
「四対一じゃ仕方ないわね。希少な薬草がある事を祈るわ」
「早く。行く」
一同はドラゴンの住処に向かった。
その島は一際奥まった所。
たぶん大湿原の中心だろうにあった。
木が何本も立っているところから、しっかりと下まで土があるようだ。
上陸した途端アニーが目の色を変えた。
「オルーナ草じゃないの。こんなに沢山。ねぇ採ってもドラゴン怒らないかな」
「草を採っても良いか」
「草は食べないから良いわよ」
俺は尋ねウィッチはあっけなく承諾した。
結果を伝言魔法でミニアに伝えた。
「大丈夫」
「なんで分かるのよ」
「ドラゴン的。意思疎通」
「信じちゃうからね。ぱっくりは嫌よ。ぱっくり行くなら柔らかい子供から」
そう言ってアニーは薬草をおっかなびっくり摘み始めた。
目的も達した事だしこれで大湿原から帰れるな。




