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 じゃれあっているのか揉めているのかよくわからない二人の様子を、どうしたものかとジャックは頭をかきながら眺めた。

 昨夜はぐれたジャックは、ミナの約一時間遅れで無事に城に戻って来た。角を曲がったところでいきなり誰かに捕まれ、気がつくと街外れの民家らしきところにいたらしい。そこから捕まえた奴らの目を盗んで、自力で城へ逃げ帰ったそうだ。

 無事で良かったと、彼が戻って来てくれたときは心底安堵した。しかし、そう考えるとやはり昨夜の出来事は現実なのだと認めることになる。ジャックが証人だ。じゃああれだ、暴漢に襲われそうになったあのあたりから夢だ。うん、絶対そうだ。

「それより、さっさと授業始めたほうがいいと思うけど……」

 ジャックの言葉にようやく二人は自分たちの役目を思い出し、離れた。

 フレデリカはぱぱぱっと髪と服装を整え微笑を作り変身すると、いつものように花のように優雅に部屋に入っていった。

 ――あ~……。

 さっさと入るべきなのはわかっているのだけど……。ミナは躊躇った。

 嫌なわけじゃないのだが、やはり気恥ずかしいというか。

 だってあの時、間違いなくリク王子は私に向かって親しみのこもったキスをして、笑ったのだ。あ、夢でね! 夢だけど! 夢の話だからリク王子は知らないんだろけど!

 いつまでも部屋に入らないミナに、ジャックの目がどうした? と聞いている。言えるわけありません。ミナはへらっととりあえず笑ってみせた。

「具合でも悪いのか?」

「ううん、違っ――」

 ジャックに心配かけてしまった、とミナは困ったように笑った。が、声の出所が不思議な顔をしている前方のジャックからではなく、後方のリク王子の部屋の戸口から聞こえたのに気付いて硬直した。

「おい、チビ」

「――!」

 まさかとは思ったが、背後から聞こえる声は紛れもなくリク王子のものだ。この際、チビと呼んだことには目を瞑ろう。ミナはゆっくりと振り返って見上げる。不機嫌に目を細めたリク王子がすぐ後ろにいて、ミナはびっくりして言葉が出ない。

 ――夢じゃなかったみたい……!

「さっさとしろ」

「わっ!」

 ミナの三つ編みを二、三回くいくい、と引っ張ると部屋に入っていった。素直に呼べないらしい。

 ――なにそれちょっと可愛い……じゃなくて、この三つ編みは呼び紐ではないのだけど!

 しかしこれはちょっと助かった。リク王子に促されては入るしかない。

 視線を感じて後ろを見ると、リクとミナの急接近にジャックが廊下からわざわざ振り返って、困ったような、怯えたような表情でこちらを見ていた。そして、リク王子の部屋で待機していたフレデリカは、美人が台無しになるほど下品に目じりを下げ口角を上げて、なんともイヤらしい笑みを浮かべている。ミナは嫌だなあ、と思った。後で強制尋問が待っている。

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