弱い人達へ
雲ひとつない青空だ。下を見た。高い、当たり前だ学校は4階建だ。ここから飛び降りれたらやっと楽になれる…。私はゆっくりと深呼吸をした。
「そんなとこ立って何すんの?」
振り向くと背の低い少年が立っていた。
「飛び降り自殺はやめた方がいいよ。やった後がエグいから、体はぐちゃぐちゃになるし、自殺するならもっと他の方法にしなよ。」
「君変な人だね。普通は止めたりするんじゃないの?こういう時って?」
思わず私は言ってしまった。
「確かに無責任な奴らはそう言うだろうね、君の辛さをいかにも分かっているように接して…、なんで自殺しようとしてるかも知らないくせに。」
少年はすべて見透かしているように言った。
「君いじめられてるんだろ?」
「…」
「ならどうして相手と戦わない?どうして逃げない?」
少年はまるで私を責めるように言う。
「できてたらこんなところに来てないよ。そんな強い人間ならこんな風になってないよ!」
ここ最近で1番大きい声で言った。彼は別に悪くないむしろ正しいことを言っている。でも今の私にはその正しさがとても辛い。
少年は怒りをあらわにしながら私に近づいてきて言った。
「ならどうして、助けてと全力で叫ばない?結局はお前は何もしていない。そのくせに命を捨てようなんて馬鹿な真似すんじゃねぇよ」
「叫んだって無駄よ、クラスでは孤立して担任も相手にしない。」
「はぁ、その為に俺たちがいるじゃないのかよ、まぁ大体のやつは見ないで捨ててるんだろうけど、これ」
いじめ報告受付窓口カードだ。
「俺はそこのいじめ撲滅委員の柏木 守って言う。今回はこの学校にいじめがあるって報告があって来た。お前が希望するんならそのいじめ俺が綺麗さっぱり無くしてやんよ、どうする?」
背の低いその少年は今の私への救世主だ。
「お願いします!」
深々とお辞儀をした。
「まかせな!」
はじめて少年は太陽みたいな明るい笑顔を私に向けた。