故事的結尾暫時 -旅は道連れ-
決戦を終え、一行は再び天竺を目指し歩き出す。
一行は、ルージュたちに送られて火焔山をあとにした。ふもとの村を出たあたりで振り返ると、火焔山は再びごうごうと音を立てて燃え盛っていた。
「さあ、天竺へ。西へ、参りましょう」
ジョーゲンは白竜の背に跨り、その隣を元気良くトリスタンが歩く。一歩遅れた辺りを、ソーンとベンジャミンとが肩を並べて歩いた。
歩きながら、ソーンは微笑んだ。
「なあ、ジョーゲン。ふと思ったんだが……」
「何ですか? ソーン」
「俺たちが妖怪じゃなかったら、こうやって歩いて天竺を目指すとか絶対に無理だからな。不可能だからな。何だかお前の常識が歪んでいそうだから、今ここで言ってみたぞ」
「え……」
ジョーゲンはきょとんと目を見開き、じっとある一点を見つめた。彼女が凝視しているもの。
「待ってください」
ジョーゲンはトリスタンを見、ソーンを見てから、ベンジャミンへと視線を移した。
「えっ ベンジャミン? まさか、あなたまで妖怪だと言うのでは……」
「ええっ ジョーゲンさま、今そこですか!?」
「いま、その段階なのか?」
「はて、散々周りから河童ゝと呼ばれていたので、もうお気づきかと思っていましたが……」
「え、だってそれは姓名のことだったのでは……っ」
「コイツの天然を甘くみちゃいけねぇよ……」
「は、白竜も知っていたのですか!?」
西へ。一行の影法師が、仲良く後ろへと伸びていく。
「だって、だって、頭にお皿とか乗ってないし……」
「あれはザビエル的なものなので、やりたくなければ別に……」
「剃髪かよ。皿ですら無ぇのかよ。それは知らなかったな……」
かくして、人間ひとりと妖怪四人との奇妙な旅路は続く。
西へ、西へと。天竺を目指して。
「ああ、言い忘れていました。ソーン、この旅が終わったら……」
〈旅は続けど、話は続かず。〉
妖怪・ソーンと人間・ジョーゲンの関係はどうなっていくのか。
そして、牛魔王の言った言葉の真意とは……