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「お義姉さま!お兄様!ミリー!」


叔母の家に着き、馬車から降りると同時に玄関から一人の女性が飛び出してきたかと思うとそのままの勢いで私達の方へと走ってくる。

フワフワの金色の髪に薔薇色に染まった頬。面立ちはお父様によく似ているけど春の陽だまりのような柔らかさは彼女にしかない。

オウカの花の色の美しいドレスはうっとりするほど彼女に似合っていた。


記憶の中にある黒の喪服を着ていつも悲しそうな笑顔を浮かべていた叔母さまが嘘のような幸せそうな笑顔で妖精のような外見とは裏腹の勢いと力強さでもって私達三人を抱きしめた。


「うぁ!」


「あらぁ?」


「ふぎゃん!」


勢いが強すぎてまさに飛びつくというのがピッタリな叔母様の右手はお母様、左手はお父様、そして丁度お父様に抱きかかえられていた私は叔母様の隠れ巨乳に埋もれた。


うっ!柔らかい………だけど!死ぬ、顔面いっぱいの胸に埋もれて呼吸困難で天に召されてしまう!!


バンバンと叔母様の胸を叩くが柔らかな感触と巨乳が揺れるだけで感極まった本人には伝わらない!!

やばい!!本気で窒息する!!


あ、意識が遠のく………。


巨乳に顔をうずめて窒息死、ああ~~~なんて情けない死因なんだろう………。いや、私が男だったらむしろ理想の死因なのか?美女の胸で昇天って。

いやいや私でも女だし。子供だし。

意識が暗くなり、現世にさよならかと諦観を極めていた私だったがどうやら天はまだ私を見捨ててはいなかったようだ。


「クララ。落ち着きなさい。ミリーちゃんが窒息してしまうよ」


落ち着いた男性の声とともに息苦しさが緩和される。


「え?あら、やだ!ミリーミリー!!しっかり!息して!!はい!ひひふぅ~~」


朦朧とする意識の中でどうにかまぶたを開ければ心配そうにこちらを覗き込む叔母様と両親と見知らぬ男性。

見知らぬ男性を誰?と思うよりも早く

いや、それ、出産のときの呼吸法………というか誰か指摘しなさいよ。などど内心で突っ込んでしまう。酸欠でだいぶ混乱していたのだ。


そうか、叔母様は天然さんだったのか………。

お母様といい叔母さまといい………周囲に天然女性、多いな。


ああ、でも。


叔母様、笑っている。


五年前、大切な人を亡くしてずっとずっと泣いていたのを知っているから。

だから、笑ってくれて、うれしなぁ。


「おばしゃま……」


「ミリーちゃん!!ごめん、ごめんなさい……」


「わらってる。よかった………」


にこりと笑うとなぜか叔母様は呆けたように動きを止めた。その大きな瞳に見る見る内に大粒の涙が溜まる。


「な、なんて………なんていい子なのぉぉぉぉぉミリーちゃん~~~~~~~~~~~~~!!」


「ふぇぶっ!」


なぜか、感極まった叔母様に再び抱きつぶされた私は奇声を発しながら今度こそ意識を飛ばしてしまいました。

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