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消えてしまった一幕

生まれる。


命が。


いつか、誰かだった命。違う誰かとして生まれる命。


数多の命のその中でたった一握りだけいる選ばれた者。


追憶を抱えた命。忘れ去れない想いをその魂に刻む者。


男はにぃと笑う。


その笑みは慈愛であり狂気。

相反するそれを何の違和感もなく宿す男は何かを迎えるように腕を広げた。


さぁ、見つけようではないか。同胞にして子にしてそして苦しみを抱え生きる「追憶者」達を。


たった一つ彼の苦しみの断片を知りえる存在を。


この手の中へ。


「さぁ、どこにいるんだい?隠れても無駄だよ」


どこにいてもどんな姿をしていても彼にはわかる。

「彼ら」と「彼」は惹かれあい出会う定めなのだから。

否定しようとも拒否しようともそれは絶対の摂理。逃げられない。


謳うように声高に宣言するように彼は狂気を乗せて囁く。まだみぬ「彼ら」に。


「わたしは必ず「君」を見つけるよ」


響く哄笑を小さな数多の瞬きを抱えた闇だけが知っていた。




『その力はきっと…………君から安らぎを奪う。僕らは人間だ。何度でも言う。人間なんだよ。百年持たない脆弱な身体と心を持ったね。強固な意思も強き理想も………繰り返される時間の中できっと崩れ落ち、君を支えきれなくなる。僕はね、支えを無くした後、君がどうなるのかが、その結果、「これ」がどうなるのか、とても怖い』


途切れ、薄れ、流され、それでもその身に微かに残る懐かしい声。


だけどその声も言葉ももう、遠すぎる。


それを言ったのは、だれ?そしてそれに答えたのは………?




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