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プロローグ
大切な約束をした。
敬愛し、剣を捧げ、守り抜くと決めた方達とした約束。
『必ず戻ります。戻ったら美味い食い物と酒を持ってオウカの花を皆で見に行きましょう』
俺はその約束を果たせなかった。
主たる人とその優しい奥方に彼らの間に生まれたご子息。
彼らを護るため戦にでた俺は数えきれない敵を切り伏せそして最期を迎えた。
護り、戦で死んだことに後悔はない。
ただ、心残りがあるならば・・・・。
『必ず帰ってこい』
約束を守れなかったことだ。
そんな心残りのせいだろうか?
死んで輪廻の輪に戻り再び生を受けた俺の転生先は・・・・。
父・・・前世、主
母・・・前世、主の奥方
兄・・・前世、主のご子息
そして前世で彼らに忠誠を誓った俺の現世はというと。
「わあ〜〜〜可愛い〜〜!」
「お前も兄になるのだから妹をしっかり守るのだぞ」
「はい!」
「あらあら、過保護なお父様とお兄さまですね〜〜〜?」
俺・・・・・現世、生まれたての公爵令嬢。
そう、なんの因果か俺・・・いや、私は前世の記憶を覚えたまま主だった人の娘として生まれたのだった。