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異世界転生バトルロワイヤル  作者: ミセスココア
1章 はじまり
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5話 決戦

「来たぞ」


 菊池は静かに言った。


「菊池。この棍棒はお前が持て」


 俺は菊池に向かって棍棒を投げた。菊池はそれを受け取った。


「俺の呪言虫で奴の視界を塞ぐ。田中は『ステルス』で背後に回れ。菊池が正面から奴を攻撃しろ。お前のスキルの『永火』がもし奴に効くなら…こちらの勝ちだ」


「分かった」


 菊池は棍棒を力強く握りながら言った。棍棒に火が燃え移り赤く大きな炎となった。

 かっけぇ…俺もそういうスキルが良かった。まるでエンチャントだ…


「もし効かなかったら?」


 田中が心配そうに尋ねる。


「その時はその時だ」


「おいおい!」


「どうせ一度死んでんだ。もっかい死んでも変わんねえだろ?」


 俺はにやりと笑った。

 俺の顔を見て田中は苦笑いしている。


「ソトニ...」


 俺は大量のハエを出す。ハエは一斉に骸骨に向かった。

 そうして骸骨の周りを飛び回り、黒い影が出来上がった。


 それを合図に田中は目を閉じ『ステルス』を発動した。そうして菊池は骸骨に正面から向かった。

 

 菊池が素早く振り下ろした棍棒が骸骨に当たった。しかし、ビクともしない。

でもそれでいい。相手にヒットすればいい。


 骸骨が大きく振りかざした大剣が菊池の左頬をかすった。危うく真っ二つになるところだった。どうやら、俺の『呪言虫』のおかげで奴も焦点をうまく合わせられないらしい。


 すぐさま田中は背後から短刀で攻撃を繰り出す。しかし、こちらも大して効いていないようだ。まあ別に問題ない。あくまで菊池に攻撃を集中させないための作戦なのだから。


 俺はまたハエを出す。どうやら菊池の攻撃は効いているようだ。骸骨の肋骨が赤く燃え広がり、ハエはそこを避けて骸骨を囲っている。


 いける…これならいけるかもしれない!?


 その時だった。


 菊池は一瞬で吹き飛ばされ、菊池の右腕は宙に舞っていた。菊池はそのまま壁に衝突し倒れた。


「おい!菊池大丈夫か!?」


 倒れ込んだまま返事がない。菊池は完全に意識を失っている。


「おい!菊池は大丈夫なのか!?」


 大慌てで田中は姿を現した。


「馬鹿!?出てくんな!?」


 骸骨は田中の存在に気づいた。ターゲットを田中に変えた。骸骨は田中に向けて攻撃を開始する。

 田中は急いで『ステルス』を発動しどこかに消えていった。


「まじかよ…俺一人でやるのかよ…」


 俺一人でこの骸骨を倒す…難易度が高すぎる。

 でも不思議と心は踊っていた。もしかしたら、俺はこういうのを望んでいたのかもしれない…


 俺は骸骨を見る。大きい…あれ…

 こんなにこいつってでかかったけ?俺はこいつを見るのは二度目だ。でも前よりずっと大きく見えるのだ。


「びびんなよ」


 俺は覚悟を決めた。

 

 俺はそっと右肩に触れた。田中に刺された箇所は少し痛む。

 俺は覆っていた布を取ると短刀を力づくで引き抜いた。

 

 痛みはあるが、アドレナリンが出ているせいかそこまでだ。


「やってやるよ」


 おれは静かに息を整える。頭をクリアにしてやるべきことを明確化する。

 そうしないと判断が鈍るからだ。


 俺がしなきゃいけないのは、この骸骨を倒す事だ。幸いにも菊池の固有スキルの『永火』はまだ燃え広がり続けている。要は持久戦だ。この骸骨が燃えカスになるまで生き残ればいい。


 ほら…大した事じゃないだろ?と自分に言い聞かせる。やれる…俺ならやれる…

 

 骸骨はターゲットを俺に絞り迫ってくる。俺は距離を取りながら『呪言虫』出し続ける。

 必ず奴の視界には遮断し続けるのはマストだ。


 骸骨は急に動きを止めた。そうして、地面に大剣を突き刺した。その瞬間地面に炎の軌跡がランダムに伸びていく。俺は寸での所で避ける。


「おいおい聞いてねえよ、そんなの…」


 骸骨の攻撃でかなりのハエが焼かれてしまった。俺は急いでハエを出し続ける。

 しかし、骸骨は一気に距離を近づいてきた。


「あぶね」


 俺は急いで引き下がる。じり貧の戦いだ。防戦一方のため、精神的に苦しいものがある。燃え広がる炎は徐々に広がっている。奴も大分ダメージがあるはずだ。時間の問題だが、こっちも骸骨の攻撃を避け続けるのは厳しい。一つのミスでやられる…


 その時、頭の中で声がした。


『お前達はどうしてここを襲う?』


 吐息まざりのその声は多分骸骨から発せられているのだろう。

 骸骨は静かに俺を見つめている。


「俺に聞いてるのか?」


『そうだ。どうして静かに眠らせてくれない?』


「眠ってくれるならそのまま寝てもらって構わないけど?こっちはその大剣が必要なんだ」


『力を求めるか…愚かな者よ』


「しるか…こっちはそれを持って帰らないと帰れないんだわ。文句ならダークエルフに言ってくれ」


『ダークエルフ…そうか』


 骸骨は俺から洞窟の天井に視線を移した。何かに浸っているのだろうか?


「譲ってくれるのか?」


骸骨は俺に視線を移す。殺意の視線を感じる。

まあ譲ってくれる…事はないか。

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