13話
菊池は手の甲口を拭い、唾を吐いた。赤い血が混ざっている。
「スキル何個もあるのかよ…ちょっとずるくねえか?」
「負け惜しみかい?まだまだ試したいスキルは一杯あるんだ手伝ってもらうよ」
男はヘラヘラしながら笑っている。
「確かにお兄さんの言う通りかもちょっとずるいよね複数スキル持ちは。分かった私も手伝うよ」
そういって夏希は髪を結びポニーテルにしてから、太ももに閉まっていた2本のダガーを取り出した。そうして、逆手持ちで標的を男に向けた。
「2対1でも笑ってられるかな?」
「雑魚が1匹増えようが変わらないでしょ?」
「言うねー。いくよ?」
そう言って夏希は男に切りかかる。男はすぐさま左手で蜘蛛の糸を吐き出す。菊池はすかさず夏希と男の間に入り、右手の炎で蜘蛛糸を燃やす。しかし、男の左手のスキルで菊池は後方に吹っ飛ばされるが、その代わりに彼女が飛び出て男に切りかかる。
男はすぐさま右手でまた蜘蛛の糸を出す。彼女の顔面目掛けて意図が格子状に展開される。しかし、彼女はさらりとかわして男を顔目掛けて切り刻む。
男は寸でのところでかわしたが、頬に赤い線が出来ている。どうやら彼女の刃は頬をかすめたようだった。
「お前どうやってかわした?確実にお前の顔面に当たっていたはずだ」
「これが私の能力なんだよね。私のスキルは『接触可否』私が拒絶したものは私に触れる事はできないんだよ」
「面白い能力だなあ。興奮してきたよ。決めたお前を喰う!?」
「変態さんだぁ~ 殺しちゃおう」
そう言って、夏希はまた構え直す。
「おい女取っておきを見してやるよ」
男はそう言うと、両手を空にかざした。
「おい夏希。何か来るぞ」
「分かってるよお兄さん。一気にやろう」
夏希と菊池は急いで飛び掛かった。
しかし、それは遅かった。男に攻撃をする寸前に男の頭上から落雷が落ちてきた。
菊池と夏希の前は真っ白な光で包まれた。男の体は体中に電気が流れている。
「この状態になってしまえばこっちのもんだ。いいか女ぁ、いくらお前が接触できる人間を選択できようが、お前の意思より早く接触しちまえば関係ないんだよ」
男は喋る度にバチバチと音が鳴っている。それは何か電気回路でショートしたような音だ。
次の瞬間男は物凄いスピードでで夏希に襲いかかった。
「いったぁ」
彼女の悲鳴が聞こえる。
彼女は左肩を抑えている。そこからは赤い血が流れ落ちている。
「足りねえな。やっぱ殺して喰わなきゃ意味がないか」
男は彼女の肉を咀嚼しながら、そう言った。男の口元がまるで肉を食いちぎる狼のように赤く染まっている。
「夏希大丈夫か?しばらく、スキルをずっと使っておけ。ここは俺がなんとかする」
「お兄さん一人で大丈夫なわけ?」
「何とかなるだろ?」
「本当に??じゃあ、お願いするよ?」
そう言って夏希は目を瞑った。彼女の身体が少し半透明に透き通っている。
「耐久戦か。悪くない選択だ。じゃあ、まつはそのホスト崩れをぶっ殺して女を喰らいますか」
そう言って男は首をぽきぽき鳴らす。そうして、男が菊池にターゲットを変え襲いかかろうとした瞬間、後方で爆発音がした。
そうしてなにか木をへし折るような音が聞こえた。
次第にそれは近づいてきて、菊池達の目の前を通りすぎた。そうして、目の前の大木に衝突しそれは止まった。
「い…乾!?」




