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造られた世界(仮)  作者: マグ
最終章・世界を超えた刺客
43/44

真実を知る為に愛を捨てるか、それとも、無知のまま愛を抱くか

ーーーーー真実を知るために愛を捨てるか、それとも、無知のまま愛を抱くか。ーーーーー









あれから1日後、れいは精神的に病み、マグもクラリスの死を少々受け止めきれていない。

一応あの後進もうとしたのだが、崖と中央ルートで繋がる辺りで、結界が貼られていて先に進めなかった。どうやら真ん中にいる仮面もしくは本持を倒さないといけないみたいだ。


...れいの傷は深いな...流石に今戦えるような状況でもないか...でも世界破滅の日は一刻一刻と迫っている。本持だろうが仮面だろうが、倒しに行くしかない...ノアやルトラも...連れてく気にはなれない。また怒られるだろうが、1人の方が気楽だ。もう誰も失いたくない。


マグは一人で黙って中央ルートにいる敵を一掃するつもりらしい。マグの傷も癒えてはいないもののクラリスの件がある事から、誰も連れていきたくないのだろう。そう考えた時には既に体は結界の外に出ていた。


「...数が多いな」

相手から視認できない位置で敵の位置を確認する

「...まさか、一人で行く気?」

後ろから声が聞こえて驚いて振り向くとそこには結界内にはいなかったはずの人物が立っていた。

「リリス...!?なんでここに?」

セゼル戦の後、リリスは向こうに解放されたはずだが...

「マグの心臓が1回止まったの。だから、心配で...」

心臓が止まったというのは恐らく、水神に殺されかけた時だろう。いや、ゾルリナ曰く死んでいたらしいが。

「...確かに、1回死んだな。」

他人事のようにそういう

「全く...で、困ってるんじゃないかと思って私もこっちに来たの。」

向こうからこっちに来ることはある意味でいえば簡単だ。しかし帰ることは基本できないが。

「帰れる保証はないぞ。今回の敵はセゼルじゃない。もしアイツを倒して、ゲートが出たとしても、向こうに帰るものかはわからない。」

1度世界から解放されたものには一応帰る手段が増える。しかし、それも結局は絶望的で、マグの場合はもう封じられている。例えを出すとすれば詰んだ時に真隣にゲートが出てきたりとか、マリアがその例に当たるだろう。

「いいよ私は。マグを連れて帰れなきゃ、意味ないしさ。」

誰も連れていきたくはなかったが、見つかった以上仕方がない。リリスの力は信用できるし、任せよう。

「...わかった。状況を説明する」

今どのような状況に置かれてるのか説明しては

「...なるほど、あの二人は喧嘩したんだね。私はセゼルとの戦いに集中してたからあんまり話してないけど、仲が良かったのはわかるよ。」

するとリリスは

「でも、喧嘩なんて人間誰でもする!私とマグだってしたことないわけじゃないし!」

喧嘩、となると殺し合いとなる訳だが

「...もうお前とは喧嘩したくないな。」

ある意味のトラウマである。

「んで?ここにいるボスを倒せばいいってこと?」

リリスは本題に入るとそう言って

「あぁ。仮面を付けてるやつか本を持ってるやつがボスだ。」

そう説明する。

「おっけー。じゃあ、まずは雑魚から始めよっか。」

するとリリスはその場所から飛び出しては敵の注意を引く。大量に魔法が放たれるものの全て物理的に吹き飛ばされ、リリスの体に傷1つつかない。

「...これで本気じゃないってマジか。」

驚くマグとは別にリリスは攻撃を避け切ると敵集団に突っ込み一人一人物理的に排除していく。1人は頭をねじり取られ、1人は全身の骨を完全に折られと...殺し方のバリエーションが多すぎるが、流れるように敵集団は倒れて行った。

「これ俺いるか?」

傍から見ているマグはそう呟いて

「いた!」

リリスはボスを見つけたようだ。

それは本持ではなく仮面。その仮面の中身は風貌だけでは分からない。

「おっけー!俺も流石に加勢する」

マグも隣に並んでは

「やっと来やがったかァ。遅せぇんだよ、死に損ない共」

声に聞き覚えはあったが、誰だかは確信を持てない。

「お前が結界の原因か。」

剣を向けてマグはそう言う。

「嗚呼そうだ。俺を倒さねぇと、ここから先は通れないぜ?」

仮面は拳を固める。見てわかる通りの物理型

「まずはリリス!おめぇからだ!」

リリスに向かって地を蹴って突進し、リリスの腹部狙ってパンチを繰り出す。

「"爆裂拳ばくれつけん!"」

拳が当たる瞬間にリリスは反射的に防ごうとしていたが、その言葉を聞いた瞬間にリリスの瞳が大きく開いた。

「つばッ!──」

何か言いかけて仮面の拳が爆発し、避けた訳ではなく防いだリリスは派手に弾き飛ばされる。

「──ガバッ...!」

地面に叩きつけられる。

「呆気ねぇなァ。後は本当の死に損ないだけじゃあねぇか。」

ゆっくりとマグに近づいていく

「..."翼"だな?」

先程の技、爆裂拳はマグやリリスと同じ世界転生者(リアルワールドの人間)、翼であることがわかる。

「せぇかい。気づくのが遅せぇよ」

こいつが本物か否か分からない今、殺すことは出来ない。

「...お前が俺に勝てると思ってんの?」

翼のパワーは誰よりも強いが、その分翼は言ったらなんだが頭が悪い。だから、負ける気はしない。

「舐めんじゃねぇぞ?俺のが強いに、決まってんだろォが!」

マグに向かって突進、さっきのリリスにした攻撃と全く変わらない。

「そういう所だよ!!」

超スピードを使って避けてはそのまますれ違い際に斬って。

「ッ...武器か。ずりぃねぇ。」

物理しか使わない翼はそう言って

「反則級の拳の方がこえーけどな。」

そしてまた睨み合ってお互い走り出す。

「爆裂拳!!」

まだ距離はあるのに翼はそう叫ぶと地面に拳を繰り出しては爆発の反動で霊気解放・改 神速と同等の速度で突進してくる。

「──ッ!防げn」

「爆裂拳!」

想定外の行動で防御もまともに取れなかったマグは直にそれを喰らい、リリスよりも遠くへ飛んでいき、地面に叩きつけられた。


























「うーん、この辺だと思うんだけどなー?」

全員ルート確認に別れた後、かなりの速度で飛んでいるが未だ目標の仮面がいる場所まで辿り着かない。

「こんなの飽きちゃうよ〜?」

同じような光景の場所を飛んでいるのは退屈なのか、そう言って

しかし長く飛んでいるとやっと1人の仮面がポツンと立っているのがわかった。

「見つけたー!」

派手にズドーンと地面を殴って着地しては

「なーんでこんな遠くに1人だけいるのかは知らないけど!はてなに目をつけられたが最後!ここでおねーさんの命は尽きはてるのだー!!」

そんなはてなの様子を見ても仮面はただこちらに片手で持てるサイズの魔道具を向けて来て、魔法を放つ。

「んー、それはおもしろくないよ〜」

その魔法をはてなは避けずとして、ダメージを一切食らっていない。

「もっと面白いのちょうだい?」

はてなが無自覚でそう挑発すると、仮面は魔法を切り替えて、虹色に光り輝く魔法を発動させる

「わぁ!おもしろいおもしろい!」

その魔法ははてなを高速で追尾するものの、はてなは飛んでそれを避ける。

「でもオネーサン。魔法だけの戦いなんてつまらないよー。はてな、飽きちゃった。」

ある程度飛んで楽しむと飽きたようでその魔法に衝突して無傷でその魔法を消滅させる。

「一人残されて死ぬのは可哀想だけどごめんね!『終わり!』」

はてなが『終わり』と叫ぶとはてなを中心に半径10km程度の大爆発が起こる。禁忌魔法であるものの、はてなは禁忌魔法を使用しても体に悪影響はない。それが面白くないから、悪影響すら無効化してしまうのだ。れいやマグがこんな魔法使えば、確実に死ぬだろう。するとその仮面が燃え尽きたのははてなから確認できるものの、違和感があった。

「結界!?」

先程までなかったはずの結界が、はてなから半径約20m程度の広さで囲われていた。

「罠!?」

やっとはてなは罠と気づいたようだ。結果以外にはローブを着た人間達が魔法陣を展開し詠唱している。

「でもでも〜、はてなはそんな低級な魔法じゃ効かないよー!」

その放たれた火の玉を避けずに防ごうとするが

「熱──ッ!?」

熱すら感じないはずのはてなの能力は今、効果を発揮しなかった。

「まさかこの結界、はてなの能力を対策されてるの!?」

力を入れてみるも、力が入らない。"弱体化結界ウィーカンドエリア"と"能力使用不可結界アンチアビリティエリア"が2重ではられているのだ。そして更に先程のはてなの禁忌魔法により、下にマグマがあったのか、浮遊を解除すれば流れているマグマに落ちることとなる。更に、そのマグマは徐々にだが上がってきている。絶体絶命。

「わわっ!?やめてやめて!?」

今のはてなには低級炎魔法ですら脅威。直に当たれば浮遊が解除されてしまう。

「痛いッ...痛い痛い痛い...」

先程から逃げ道を塞がれ、炎魔法が掠っている。普段痛みをほぼ感じない彼女は余計痛いだろう。

「やめて...やめてやめて...」

はてなは長く生きているものの、精神年齢は子供で時間が止まっている。そのはてなからは涙が溢れだし、マグマに落ちていくその雫が蒸発していくのがはてなを恐怖に更に陥れていく。

「──あァっ..........」

背中に炎の槍が刺さる。浮遊が解除され、マグマへと、落下していく。

「──助けて...」




























なんとか受身を取ったから立ち上がれたけど...もう1発食らったらちょっとまずいかな...!

リリスは立ち上がると何か考えるまでもなく"記憶ノ解放(リミッター解除"を使用し、翼へ飛びかかる。

「なに!?」

立ち上がれないと思ってたリリスが攻撃してきたことに驚き上手く防げずリリスの拳を食らう。

「ここからは、私のターンだよ。」

するとそのまま殴られた部位を抑えている翼に突進して

「アビサル・サクリファイス!」

リリスを中心に特大の魔力の爆発が起きる。それを避ける術を持っていない翼は食らって吹き飛び。

「グアッ...!」

しかし受身をとって何とか立ち上がる。

「ほらほら!いつまで寝てんの!さっさと終わらせるよ!」

マグを叩き起してはそう言って

「まだ痛てぇよ普通に。お前だけでよくね?」

正直いても邪魔になるだけだと思い。

「ダメ!ほら、アノ時のアレやるよ!」

無理やり立たせると

「アレってなんだよ。」

特にマグはピンと来ず。

「またなの!?セゼルと戦った時もやったでしょ!?」

どうやらセゼルと戦った時にも使った技のようで、それを聞いて思い出す。

「あー、あれねぇ...あれタイミングシビアだからミスったら負けるよ?」

弱気でそう言うと

「つべこべ言わない!ほら、やるよ!」

リリスは構えて、マグは仕方が無いと言った様子で構えると

『シャドウ・エターナルクレセント!!』

この合体技では、リリスの力とマグの霊気解放が融合し、まず、リリスがエターナルナイトメアを発動し、相手を悪夢の次元に引き込む。その後、マグが巨大な霊気のクレセントエネルギーを生成し、それをリリスの手に集中的に注入する。この融合により、リリスの手には悪夢の影と霊気が混ざり合った黒いクレセントブレードが現れ、シャドウ・エターナルクレセントを振るうと、悪夢の力と霊気が交じり合った攻撃が放たれ、相手には物理的なダメージだけでなく、心理的な恐怖も植え付けることが出来る。

翼はこれを避けることも防ぐことも出来ずに、直に食らった。

「やった...!成功した!」

正直この技は難易度が高く、10回やって1回成功すればいいほうだ。

「だね。さて、仮面を外そうか」

リリスが翼に近づいて仮面を外そうとする

「いややめとけ、どうせ外れないし、まだ第2ラウンドがあるはず...」

『助けて』

マグの耳ではなく、脳内にそんな声が聞こえた。元気で幼い声だがその声は掠れていて、今にもその命が失われてしまうかのように

「はてな!?」

マグはその存在に気づいていた。まさかはてながとは想像しがたいが、もしもの事がある。

「リリス!ここは任せていいか!?」

早く行かないと、はてなが危ない気がした。

「う、うん!よく分からないけど大丈夫!」

リリスは突然の事で驚いているようだが

「もう1回翼が立ち上がると思うが何とかしてくれ!」

と言うとマグはとんでもない速度で飛んで行った。






















もう終わり...なのかな?面白いもの、もう見れずに終わるのかな?...いやだな、死にたくないな。

沢山の命を奪ってきた彼女でも、子供らしい感情はあるのだ。"死にたくない"その感情はあまりにも強く頭の中それでいっぱいだった。

嫌だ...痛いのも嫌だし何よりも死ぬのは嫌だ...!はてなはまだ死にたくない...!まだこの世界には見たこともないような面白いことがある。きっとそうだ!それを見るまでは死ねない...!まぐまぐだってはてなを信用してここに来させてくれたんだ!負ける訳には行かない...行かないのに...

もう体は動かない。マグマまでの距離なんて考えたくもない。

痛いのかな...マグマに落ちたら、熱さも感じずに死ねるのかな...怖い...怖いよ...『助けて』..

はてなは静かに目を閉じて、その痛みを待った。











「助けに来たぞ。はてな。」

はてなの体を抱き抱えて、はてなが1番安心する声でそう言った。

「まぐまぐ...まぐまぐ...!」

その弱った体でも力強くマグを離さない。

「これは罠を想定しなかった俺のミスだ。怖い思いをさせたよな」

はてなの頭を優しく撫でてはそう言う。

「怖かったぁ...怖かったよまぐまぐ...」

はてなの涙は止まらない。マグマも、半分以上上がってきている。

「なぁお前等、はてなを虐めた罰は、受ける準備出来てんだろうな?」

マグも相当気が立っている。こんなにボロボロなはてなは見たことがなかった。

「消えろ」

はてなを抱き抱えたまま神速で一人一人ローブの人間を捕まえるとマグマに落としていく。その人間達もはてなや他の人と同じで"死にたくない"だからか、その人間達も死を悟った瞬間、叫び、助けを呼び、抵抗しようとするも、助けは誰も来なかった。

そして術者を完全に倒し切ると、結界が解除される。

「よかったぁ...まぐまぐが来てくれてなかったらはてな、死んじゃってたよぉ...」

未だマグから離れようとしない。

「もう大丈夫だ。悪いやつは、全員俺が倒してやったからさ」

マグマのない場所に着地すると安心させるようにそう言った。するとその瞬間後ろからまた別の声がした。

「見事でしたね。」

その声は先程も出会った相手、ノエリアだった。

「はてなさんには、眠っててもらいましょうか。」

ノエリアがそう言うとはてなは眠る

「...なんのようだ。」

一刻も早くリリスの元に帰らなくては、リリスが危ない

「まぁまぁ、急かさないでください。要件はしっかり伝えますから」

長々とそう言うノエリアに苛立ちながら

「今なら、なんでも情報を差し上げますよ?」

ノエリアの口からそんな言葉が出るのは初めてだったので、マグは驚いた。

ノエリアのなんでもの情報はその文字通りのなんでもだ。世界の真理でもこの世界を救う方法も全部知っている。

「なんでも...?」

マグは迷った。こいつと契約せずとも必要な知識が手に入ると考えると足が止まった。

「はい。なんでもです。」

こうして話しているうちも時間は一刻一刻と過ぎていく

「今忙しいんだ、後で聞かせてくれないか?」

マグはリリスを助けてから聞こうと思ったようで

「ダメですよ。今限定です。」

どうやら読者視点で見れる彼女はこの現状を知っているのか楽しむようにそう言った。100を知るか、100を知らず大切なモノを守るか。

「...なら...」

葛藤の果てに言った。


























マグの言っていた通り、翼は立ち上がった。それも吐き気がするほどの強力な紅ノ精霊が翼の体内に忍び込んでいる。

「これはたしかに、ちょっと手こずるかも」

リリスは突進してくる翼の動きを冷静に見て、翼の右腕を掴む。

「爆裂拳って確か右腕しか使えないんだっけ?」

本来の翼ならそうだが、今の翼は違うようで左腕も出してきて

「爆裂拳!」

そう翼が叫ぶのでリリスは焦りながらも左腕も止めた。爆発こそしなかったが、腕を持っていかれそうになった。

「ダメだよ。ただでさえ冷製じゃないのに、暴れちゃ」

捻り倒して地面に叩き付けるもその場を爆発させて翼はリリスと距離を取る。

「爆裂拳って、発動条件まぁまぁ難しいから、タイミングわかってれば当たらないよ」

翼を挑発するようにそう言っては

翼がそれに乗ってきたのか飛び上がると右腕を引いて

「やっぱり右なんだね」

またカウンターする構えを作る

「爆裂拳・改」

翼は上空で両腕で拳を繰り出し続けると爆発がリリスに連発するように当たる。威力こそ直撃より低いが、連発できるようになった爆裂拳の総合ダメージは直撃よりもでかい。

「くっ...」

リリスは立ち上がろうとするも爆裂拳の爆風に巻き込まれたせいで上手く立ち上がれない。

「...詰み。か」

リリスの隣にゲートが現れた。帰るゲート、こんなに早く詰むとは思っていなかった。翼は自分より弱いと慢心していた事が招いた結果だった。

「でも...逃げるくらいなら...」

立ち上がろうとするも、立ち上がれない。

「あぁ...ダメか...」

力がなくなって遂に腕も地面に着く。

翼がゆっくり近づいてくるも、その間に、風も置き去りにして割り込んできた影があった。

「マグ...」

その背中を見るだけで気づいた

「遅れて悪かった!後は任せてくれ」

翼の仮面と目を合わせると言った

「悪いが、お前相手に手こずってる場合じゃないんでな!」

マグは剣を抜いて構えて

「"業烈斬"(ぎょうれつざん)」

マグが業烈斬を放つと、その場にはマグの残像ができるほど素早く動き回り、翼に何度も斬りかかる。その半分は防がれてはいるものの、確実にダメージは通っているのか、所々から血が出てきている。そしてマグは最後に飛び上がると紅黒いオーラを纏った剣が強く光だし、振り下ろすと辺り1面揺れが起こるレベルで叩き斬った。

「お前は、本物じゃない。」

迷わずに翼を斬れたのも、本物じゃないとわかっていたからである。

「マグ...ありがとう。」

何とか立ち上がってそう言うリリス

「礼は後だ。リリスは向こうに戻ってくれ!多分ゲートが出てるんだろ!?」

マグはマリアを送り出すときと同じように言った。そう、リアルワールドのマグの体が殺されてしまったら全て終わってしまうからだ。

「向こうに帰って俺の体を守ってくれ!多分あいつは俺を殺そうとしてる!」

リリスはそれを聞くと驚くように瞳を大きく開いたが、すぐに納得して

「うん。わかった。向こうは任せて」

ゲートの方へ歩を進めると

「向こうは私が守るから、派手にやっちゃいなよ!マイヒーロー!」

そう逃げるように言うとゲートへと入っていった。

「あぁ、任せとけ。」

そう呟くと空を見上げて、結界が壊れていくのを眺めた。




































「翼も裏切ったやつもやられたって?」

仮面を被った男は部下に対して苛立ちを隠せない様子でそう言った

「は、はい...で、ですが!既に3人始末しています!更には神呪ノ継承者も...」

何とか機嫌を取ろうとする部下

「うるさい!そんな事は聞きたくない!俺が求めてるのはマグ、あいつが死んだ報告だけだ!」

椅子を「ドン」と叩いてはそう言う。

「もういい!お前らには失望したよ。もう使える仮面もいない。本持にも期待はできない。」

そして立ち上がると

「俺が直々に、叩き潰してやるしかないな。」

仮面の男が魔力を隠すのを止めると辺り一帯が揺れ出す。

「ひえぇぇぇ...」

部下は怯えその場から逃げると、移籍の一部が崩壊し、先程部下が立っていた場所は潰されていた。

















「...珍しい。風が騒がしいな。」

別の世界、幻想的な風景を目の前に、彼はそう呟いた。

「何処かの世界で、大きな何かが動いているのかもしれない。」




































次回:本物の水神

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