キングウォーズ
ーーーーーキングウォーズーーーーー
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「えぇ!?マグが帰ってこない!?」
ルトラは声を大にして言った。
「そう、封印にかかるのも1時間だって言ってたからもうとっくに帰ってきててもいい頃なんだけど...」
留守番をしていたノアは帰ってこないマグを心配してかそう言う
「やっぱり一人で行かせるべきじゃなかったかな...」
ノアはどうしようかとぐるぐるとその場を歩き回っている。
「...まさか...死んだとかないよね...」
思い付くうちで最悪のことを口にするルトラ
「...考えたくもないわね...」
敵陣に移動する予定があったのも明日だ。世界破滅の日が近づいている以上、のんびりはしてられない。
「私、ちょっとマグのこと見に行ってみる。」
ノアはそう決めたようで早速飛行魔法を唱えだし
「なら私も行く!」
ルトラも動向の意を見せたもののノアは飛行魔法の詠唱を完了させた後
「ルトラは危ないからここで待ってて!」
と、一人で水神の遺跡へ向かってしまったのだ。
◇◇◇
...あれ
俺、生きてる...のか?
直にあんな強力な魔法を受けたはずなのに、体は確かに息をしていた。信じられない思いで胸を押さえる。
「いーえ、死んでます。」
その時、額に――ベチッ――と軽い衝撃が走った。
「痛っ!?」
衝撃で目を覚ますとそこには黒髪で紅色の瞳、特徴的な獣人の耳が目に入った。
「全く1人で無茶しすぎなんですよ。」
ベチっと2度目の衝撃
「"ゾルリナ"それ1回やめようか!?」
そう、ゾルリナ。魔王ネットの手下だ。
「私が居なかったらマグ様は死んでいらっしゃられるのですよ。もっと感謝したらどうですか。」
ベチっと更に強い3度目の衝撃
「悪かったって...助かったよ、本当に」
ベチ
「痛いって!なんなんだよ!?」
理不尽にも何度も額に指を弾かれるマグ
「...これでも私は心配してるんですよ。」
いつも無表情な彼女に少し陰りが生まれる。
「...そうか...いや、ゾルリナも心配してくれるんだな...」
ベチ
「だぁかぁr」
「なんか勘違いで思い上がってそうで間違いを正そうと今のは放ちました。」
なにか言い返したいが口をもごもごとさせて何も言い返せないマグ
「とりあえず、息を吹き返してくれて良かったですよ。マグ様が居ないのは私も寂しいですから」
先程とは違い優しくマグを撫でる
「子供扱いするな。」
マグがまだ力の入らない体で抵抗するも意味をなさず
「私からしたら子供ですよ。幾つ年の差があると思ってるんですか。」
確かに、獣人のが長生きだし、ゾルリナが何歳かなんて聞いたこともなかったなと思い返すマグ
「俺が帰ってこないことに不信感を覚えた仲間がここに来るぞ。お前とか彼奴らからしたら敵なんだしここにいるのは不味くないか?」
物理で無理なら間接的にと言ったようにそう言う
「確かにそうですね。ならマグ様だけでも持ち帰りますか。」
軽々とマグを持ち上げるゾルリナ
「おい待て本当n」
「冗談ですよ冗談。一々本気にしないでくださーい」
瓦礫にポイッと投げ捨てる。
「だから痛えっての!?」
立ち上がる力もなく
「じゃあ私はこの辺で。そうだ、マグ様」
マグに小声で何かを伝えては
「...わかった。」
するとゾルリナは闇の中に姿を消した。
「...また助けて貰っちまったな...」
そう呟くとまた1人、マグの元に現れた。
「いた!!」
空中から降りてきたのはノアで、勢いよくマグを瓦礫から持ち上げた。
「ノア!助かった...」
安心で余計に体が重い。
「心配したんだよ!?全然帰ってこないから!!」
抱き抱えて飛行をしたまま怒り気味にそう言って
「ごめん...」
先程のゾルリナの件があるためあまり言い訳のようなことはせず
「もう...ルトラだって心配してたよ。こんな事になるなら1人で行かなければ...」
全くを持ってその通りだ。これは全て、独断で判断した俺が悪い。
「次からは絶対誰かを連れてくようにするよ...」
反省しているふうにそう言って
「絶対ね?...私だったらいつでも付いてくし。」
ノアは少し照れ気味にそう述べては
「あぁ、いつでも頼らせてもらうよ。今回のことだって、ノアが居れば大丈夫だっただろうからな」
(...いや、連れてけないな。ゾルリナが蘇生できるのは俺やネットだけ。もしあの場にノアが居たら確実に...)
「マグ?どうしたの?」
急に黙ったマグに対してそういい
「なんでもないよ。水神の心、取られちまったなって。」
何とか誤魔化す
「私はその水神の心っていうのがどれだけ大事なのかは知らないけど...大丈夫だよ。絶対に勝てる。」
その自信はどこから湧くのか分からないがノアは自信満々そうな顔でそう言っては拠点まで飛んだ。
◇◇◇◇◇
「マグ!!」
勢いよく抱きついてきたのはルトラ、相当心配していたのだろう。
「心配かけたな...」
この際今日は外には出してくれ無さそうだと思いルトラが落ち着くまで撫でてやることにした。
「生きていて良かったわ」
れいも戻ってきた様で、マグの元に顔を出してはそう言う
「なんとかな」
まぁ1回死んでるんだが。
「それでルート確認が終わったら情報の共有なんだけど」
マグが遺跡に行っている間、2つのルートでどっちの方が敵が配置されていたかを確認する
「じゃあ、崖際ルートだな。正面突破は無理があるだろう」
それで異議なしかどうか確認する為、全員の顔を見る。
「ん?まみゃ、どうした?」
少し虚ろな目をしていたまみゃに声をかける
「ううん。なんでもないよ。」
まみゃはそれだけ言うと他は何も言わずに
「そうか。じゃあこれで行こう。」
次は連れていくメンバーを決める
「俺と一緒に来るのは、れい、まみゃ、マリアだ。」
と3人の名前を呼んでは
「また私は留守番?」
ノアが少し不満そうに言う
「ここの防衛も大事なんだ。」
先生一人で防衛出来ているというのは勿論あるが、それはあくまで一般兵の話である。もし仮面や本持がここに来たら話は変わる。
「まぁ、マグが言うならそれでいいけどさぁ、」
ルトラも不満そうに言うが今回は素直に
「ありがとう。」
とマグは感謝を述べる
「ボクは〜?」
とマナが突然現れてはそうマグに聞くように
「好きにしろ。どうせ来るなって言っても来るんだろうし」
こいつに関しては何を言っても聞かないと思ったのかそう言って、崖際ルートから敵陣へ向かうのであった。
◇◇◇◇◇◇
「あんまり敵がいないのも不穏だな」
マグが辺りの様子を見てそう呟く。
「まぁ変に強いヤツと遭遇しても厄介だし、こっちの方がマシでしょう」
れいは自分の目でここは安全だと確認したからか少し前を歩いていて
日は既に落ちており、月明かりが光無い海を照らす。
少し開けた場所に出て
「確認したのはここまでなんだよな?」
れいとまみゃに聞くように
「そうね。この先は見てないわ」
とは言えど日が落ちていてあまり遠くが見えず、このまま進むのは危ないためここで休むことに
「とりあえずここで休m」
その刹那に炎魔法が2方向から放たれる。
「避けろ!」
マグがそう叫ぶと全員後ろに下がるが後ろから不穏な駆け足の音を聞いて振り返ってみると短剣を持った人間ふたりがこちらに攻撃を仕掛けようと走ってきていた。しかしそれはマリアが剣を抜き、一瞬のうちに片付けてしまった。
「...情報が漏れていた...?」
(俺達がこのルートを使うのを知っているのはさっき出発前に話したアイツらだけ...明らかに狙ったような不意打ち...まさか...)
マグがそう考えると自分で「裏切り者」という答えを出す前に、答えが出た。
暗闇の中で、一人前にゆっくりと歩いていく者がいた。
「情報を渡したのは、私だよ。」
ある程度距離を取るとまみゃは振り返ってそう言った。
「まみゃ!?なんで!?」
れいは驚いたようにそう言った。
「それは、私が"仮面の仲間"だから。かな?」
すると何処かからか取り出した例の仮面を装着する。
「とりあえず、最初はマグから。決着をつけよう、あの時からお預けだったしね」
まみゃの背後から氷のツルが複数伸び出してマグを刺そうと伸びていく
「生憎今俺には最強の護衛が2人いるもんでな。行け!」
マグが命令するように腕を伸ばすと背後からマナとマリアが飛び出して
「了解〜!」「命令しないで」
と、次から次へと出てくるツルを全て切り落し、
「これで終わり」
マリアが剣をまみゃに向けて薙ぎ払うとまみゃはナイフでそれを軽く受け止める。
「いくら貴方が強くても、私は倒せないよ」
そのまま蹴りを入れて元の位置まで飛ばす。
「ボクの事も忘れないで欲しいな〜♪」
背後から魔力弾を放つ
「それで勝ったつもり?」
まみゃが指を左から右へと払うようにすると10cm感覚で魔力のナイフが生成され、魔力弾を突き刺し破裂させた。
「待って!まみゃ!!」
れいはマグを庇うようにしてはそう言い
「...なんで裏切ったの...?」
れいはまだ信じられない様子で
「ネザーだけでも救う方法があるって、教えてもらったんだ。」
そう。まみゃは世界を救える"可能性"より、ネザーだけでも"確実"に救える方法を選んだのだ。
「その条件は、ここでれい達を始末する事。」
まみゃはネザーの王として、その小さな"可能性"を選びたくなかった。
「...ならッ...!」
れいは拳を固めて
「私と勝負して!私の"世界を救う"っていうのが確実じゃないって言いたいんなら私がまみゃに勝って、私の力を信用させる!」
そう。まみゃは"れい達の力を信用していない"この世界に来て、規格外な力を持った者達と遭遇してきた。それ故に、対抗できないと思っているのだ。
「じゃあ交渉だね。もし"れいが負けたら、そこにいる3人も死ぬ"っていう契約でなら、勝負してもいいよ。」
まみゃからしたら好都合でしかない。"全員でかかってくる訳ではない"あくまでれいが自分の力を証明して、信用させたいのだから、全員でかかってまみゃを倒しても、意味が無いからだ。
「それでいいわ。その代わり私が勝ったら、また私達に協力して!」
勝手に命をかけられたマグ達だったが、誰一人として文句は言わなかった。
「交渉成立、じゃあ始めようか。」
ナイフを逆手に構えるとれいの動きを見るように
「一瞬で終わらせる...!」
れいは克服の力を使用して、刀を取り出す。
「行くよ!まみゃ!」
そのれいの姿を見てまみゃは軽蔑するような空気を放つ。
れいはまみゃに向かって飛びかかり、刀を振り下ろすが、ナイフに軽々止められてしまう。
「...軽いね。れいの剣には、何も乗ってないよ。」
私の両手で力を入れている刀を、軽々と片手でまみゃは止めているのだ。
「れいの剣からは何の想いも感じない。ただ、力を振りかざしてるだけ」
れいの刀を弾いて、れいの頬に小さな傷を付ける
「っ...!私はあの世界を守る為n」
れいは必死にそう伝えようとするよまみゃが遮るように
「れいのそれはただの願望論でしかない。」
冷たく、そう返す
「それはまみゃだって同じじゃない!!」
れいも負けじとそう返すがまみゃは更に冷酷な空気を漂わせながら
「"私はれいと違うから"」
その言葉に、れいは耐えられなくなった。今までずっと一緒だった。何方かが間違っていれば、その間違いを正した。それなのに、それすらも、否定されてしまった。
「...まみゃ。覚悟は出来てるんだね」
刀を納刀する。無虚限空・封を放つ準備をする。正直まみゃにこれが被弾してしまえば、脱出する力等ないだろう。だから、最初から使わなかった。でも仕方がない。もう私の知ってるまみゃ、"何処にも居ないんだから"
「無虚限空・封」
れいの刀が暗闇の中でまるで煌めく星の光のように光、その蒼色の斬撃は実態化して、まみゃに向かって飛んでいく。その斬撃を見てもまみゃは微動打にしなかった。それは諦めのようには見えなかったが、確かにゼロポイント・アビスの空間は開き、着弾した事が確認される。
「やった...!?」
裏切り者を殺した。親友を、殺してしまった。そんな複雑な感情から出た声はまるで自分の声ではないようだった。今迄の私なら、絶対にこんなことはしなかっただろう。例えまみゃが裏切ったとしても、私は話し合いで解決する選択肢を選んでいた。戦闘なんて、もってのほかだったのに。
約10秒程の静寂、その10秒間、誰も声を発さなかった。その静寂を切り裂いたのはゼロポイント・アビスの空間が閉じた時。
「"殺す気"になったね。やっと。」
確かに開かれた空間だったが、まみゃはそこにいた。
「でも、私は気に入らないんだよ。」
れいに1歩1歩、近づきながら
「れいは確かに強いけど、それはただの"仮初"の力だから、さ」
まみゃに蹴りを入れられる。ゼロポイント・アビスの反動で動けなかったのだ。まみゃの蹴りに飛ばされ地面に倒れる。
確かに私はこの力で強くなった。強くなった気でいたのかもしれない。根から強かったまみゃには...勝てない...の...?
「...終わりだよ。れい。」
ナイフを、れいの心臓に刺した。
れいは吐血し、終わりを実感する。
呆気ない終わり。親友に裏切られ殺された。いや、それはさっきの私と一緒だ。私も、まみゃを殺そうとした。なら、別にこれは文句を言うことでは無い。大人しく負けを認めて...
れいは遠ざかり往く意識の中で、そう唱えた。
「ねぇ。私、神呪があるから、契約の呪い、効いてない」
マリアがまみゃに向けてそう言う
「へぇ、通りで足りないと思ったわけだ。厄介だね、貴方と戦うのはちょっと面倒かも」
まみゃはそれでも動揺しないようで
「だから、もう一度、この子にチャンス、与えて欲しい。私の命は、この子に、上げる」
つまり、マリアは自分の命を犠牲にれいにもう一度チャンスを与えて欲しいというのだ。まみゃからすれば厄介なマリアを潰せるし、れいなら何度でも倒せると思っているから好都合だ。
「マリア...」
マグが本当にいいのか?という様子でそう言う
「私は、本当は、ここにいるべきじゃない」
するとマリアの足元が燃え出す
「O wandering soul, forsaken by the vessel of flesh,heed my call across the veil of worlds.
Break the chains that bind thee to thine mortal frame,and transcend the boundaries of death and time.By the ancient covenant sealed in shadow and light,cross the eternal river and awaken anew within the chosen vessel.
Anima Migratio — rise, awaken, and be reborn!」
マリアはそう苦しそうに詠唱を遂げ終わると、静かに咳き込んだ。
「私も...これで...兄様...に...」
魂の移行が始まっている。もうマリアは自分の化け物級な生命力で、呼吸すら出来ずに、耐えているのだ。
「...兄様探しは...もういいのかよ」
まみゃが攻撃してこないことは分かっていたのでマリアに向かってそう言う
「...きっと、喜んでくれる。私は、人の役に、たった」
そろそろ限界が来たのか、力なさそうに言う
「喜ばねーなそれじゃあ。」
マグはマリアの目を力強く見て
「え...?」
困惑した様子でマグを見返す
「"真理亜"、もう1つ頼みがある。"向こう"に帰ったら、お前の兄様が通ってた学校へ行け!そこに行方不明のお前の兄はいる!」
マリアはハッとした様子でマグを見た。それは、この世界に来てから、唯一思い出せなかった。思い出そうとすればモヤがかかった兄様の姿と、モヤが晴れた記憶と一致したからだ。
「兄さm」
「どうせ隣にゲートが見えてんだろ?本当に死んじまう前に、さっさと行け!」
マリアは何か言いたそうにしていたが、静かに頷くと、他の人から見れば消えたかのように、マリアはこの世界から去った。
「...思い出した。」
マグも、妹の存在にモヤがかかって、思い出せずにいた。
「...ん...」
貫かれたはずの体は完全に治っていて、ゆっくりと起き上がるれい
「起きたか、れい」
マグはれいに手を差し伸べる。
「...私の為に...あの人は...」
手を取りながらそう言う
「気にすることじゃない。今は、お前の困った親友を取り戻すのが最優先、だろ?」
マグはそう言うとまた後ろに下がる。気づくとマナは居なくなっていた。
「何回やっても同じだよ。れいじゃ私に勝てない」
まみゃはナイフをしまってそう言う
「それは分からないよ。私達の勝負は、いつも互角だった。」
れいにしては、冷たい口調で
「私はまだ、自分に甘かったのかも。出し惜しみは、無しで行くよ。」
れいが手を広げるとその上に空間が開き、黄色と白で彩られた剣が生成される。
「これが私の神器、"ルクシオン"」
神器『ルクシオン』
分類:光の神器/変化型武装
本質:純粋な光そのものが形を成した存在
⸻
概要
ルクシオンは、神話時代より伝わる伝説の神器であり、
「世界に最初に生まれた光」から生まれたとされる。
その本質は物質ではなく、純粋な光そのもの。
通常は細い光の粒が集まった漂う結晶体のような姿をしており、
使用者の意思に応じて剣、弓、槍、盾など、あらゆる武器の形に変化する。
しかし、最も象徴的な形態は「剣」であり、
その形態こそがルクシオンの「原初の姿」とされる。
そんなルクシオンだが、れいも神器を隠し持っていたのだ。マグの神器、アルンソードとはまた違う特性を持っている。
「そんなの持ってたんだね。知らなかったよ。」
それでもまみゃは冷静だ。それに続けて
「じゃあ私も。」
まみゃはそう言うと右腕に力を込める。するとそこには何も無いはずなのに、空気が圧縮されているような、そんな感覚があった。私も、という発言から、恐らくまみゃも"神器"を隠し持っていたのだろう。この瞬間まで、この2人は本当の意味では本気を出していなかったと言える。
「でもどうする?剣でも弓でも、私に攻撃は届かない。」
確かにそうだ。いくら光の速さで攻撃しても、何故かまみゃには見えているかのように避けられる。
するとれいは海の方にルクシオンで作った弓でホーリーアローを放った。
「どうしたの?怖くなっちゃってまともに狙えなくたった?」
まみゃはその意味不明な行動に、そう少し煽るようにする。
「いくらまみゃでも、予測外の攻撃は防げない。」
れいの気迫が完全に変わった。静かな怒り、というのが1番正しい表現だろう。今のれいは確実に、"キレている"
「何言って...」
その次の瞬間、鼓膜が破壊されるレベルの咆哮が耳を貫く"偵察の時にも居た黒海の怪獣"だ。
それが聞こえるとマグとまみゃは耳を塞ぎ、それとは反対にれいは上手くいったと、そのような表情をする。
「この程度の音爆弾、攻撃を避けられなくなるほどのものじゃない」
なんの攻撃にもなってないとれいに言うように
「ここからだよ。」
怪獣は飛び上がり、こちらに水飛沫を飛ばしてくる。するとれいはそれを待っていたかのように
「ホーリーアロー!!」
それを飛んでくる水にぶつけた。
あくまでホーリーアローの本質は光だ。つまり反射する。ホーリーアローの消える条件は反射しないものに当たること、つまり水は光を反射するから次の反射先へとホーリーアローが向かう。れいが放ったその矢は計算し尽くされ、1つの水滴からまた次の水へと飛んでいく。水飛沫が上がりこの角度に辿り着くまでの思考時間、約1.2秒。そのホーリーアローの挙動は読めず、まみゃの目を回す。
すると次の瞬間まみゃの頬をかすめ取るように貫いた。
「...っ!随分と考えたものだね。でもこんな不意打ち何度も効かn」
次の瞬間、まみゃの頬を掠めとった矢がまみゃの後ろに飛んでいた水に反射してまみゃの左腕を貫いたのだ。
「言ったでしょう。"予想外の攻撃は防げない"って」
その言葉を、冷たく放った。
「れい...!!」
その何も無いはずの右腕を振り上げると大量の大槍がれいに降り注いだ。
「処理しきれない...!」
半分程度弾くが何本か被弾して
ルクシオンを剣に変形させてはまみゃに向けて飛び上がる。
ーーーーーーー剣には想いを。力には魂を。ーーーーーーー
その声が聞こえた瞬間、その声の主が分かった。
聖女試験で私よりも剣の成績が高かった人。剣の天才。私はその声に答えるように叫んだ。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
光で包まれた剣はまみゃから今も尚放たれ続ける槍を弾き、まみゃに接近する。
まみゃに剣の届く場所まで近づき、剣を振り下ろすと、見えない何かの正体が槍であることが分かった。これがまみゃの神器。
「そう...!これがれいだ...!」
まみゃの声は恐れとか恐怖とかでもなかった。"喜び"そのものだった。
まみゃはれいを弾き返して1度距離を取る。
「やっと仮初の力を使わないで私と戦ってくれるんだね...」
また見えなくなった大槍を横に振り払いながらそう言った。
「まみゃこそ、思ったより強くてびっくりした。」
その会話は、何処か切ないものだった。まるでそれは、片方が必ず死ぬかのように。
「私とれいの攻撃、何方も直撃すれば即死級、完全に避けられる体力は、お互い残ってないでしょ。」
まみゃは槍を構え直してそう言った
「だから、次の攻撃で決着をつけよう」
れいはその言葉に続けるように言った。
するとれいはまた海に向かって矢を放とうとする。
「させるか!」
まみゃの槍がその矢を貫き、まみゃは勝ちを確信してもう一本れいに向けて槍を放とうとする。その瞬間だった。
「...ガラス...?」
そう、まみゃがれいをみたときには、れいがガラスを宙にばらまいていた。
次回: 『それでも何時か、また私達があの頃を取り戻せたら』




