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そのゲートから出てくるものを離れた後に敵じゃない可能性、というものを考えた。
俺はすぐに足を止めてゲートの方へ走り出す。
ゲートから人影が現れる。
白髪で少し小柄で...
そんなことを思っているうちにネットが動いた。
ネット)紅線
冷たく放たれたそれはゲートから現れた人物の心臓を貫いていた。
マグ)ルトラ!!
叫ぶようにしながら走る。悲鳴も、何も聞こえないままルトラはゆっくりと倒れる。
駆け寄った後、嫌な記憶が蘇る。
魔王 ネットとの戦争は悲惨なものだった。
魔王軍に対してこちらは街の人間全員が協力して魔王軍を迎え撃った。こちらにも手練が何人かいた為苦戦はあまりしいられなかった。でも問題は1日後に起きた。
紅の精霊だ。紅い蝶のようなものが空に舞い、1人の人間の体の中に入ると少したった後に不可解な死を遂げる。人間達は怯えた。魔王が本気を出したのだと。人間の半分は引きこもるようになってしまい、戦力は半減した。
前線は大変なことになっていた。村は火によって燃やされ、紅の精霊を何匹も飛んでいる。もちろん俺の仲間達も...
1人目だった。いつも強気な彼が初めて弱音を吐いた。それが不安を増強させた。
?)...マグ...もう...力が出ないんだ...全身から力を吸われるような...感じがして...
男はマグの手を取りながら言った。
マグ)まさか...!お前...!
?)へへ...やられちまったな...どうやらここまでみたいだ...
目が紅い。こうなってしまえばもう手遅れだ。
マグ)何言ってんだよ!少し疲れただけだろ...?
そう言っても心の中では気づいていた。
"もう手遅れ"だと
でもそれを受け入れたくなかった。
彼はその場に倒れる
息はしていない。死んだんだ。
仲間の死を目の前にして、初めて紅の精霊の驚異に怯えた。
でも怯えるだけではなかった。俺の仲間達は次々と紅の精霊達にやられて行った
??)ごめんなさい...私はもう...
マグ)...
この頃になるともう感情は無かった
「6人目...もう仲間も1人しかいない...どうせなら俺含め2人とも...」
そんなことを考えているうちに??は倒れた。涙すら出なかった。もう心が壊れていた。
でも、壊れた心を動かす出来事があった。いい出来事ではないけれど
???)ねぇ、アグモン
アグモンというのはマグのことを示す嫌味たっぷりのあだ名だ。
そう戦場で声をかけてくる彼女に答えた
マグ)なんだよ?リリス
リリス)...仲間が私達以外みんな死んじゃって、お互い辛いと思うけどさ...マグは、死にたいとか...思わないの?
その言葉に少し悩んだ後
マグ)思ったさ...でも、俺がすぐに逝ったら、あいつらに怒られるから
全員死ぬ前に、頑張って生きろ的なことを言われている。
リリス)...そう、だよね
リリスは一通り戦闘を終わらせると剣を落としマグの方へ振り返り
リリス)...私は、マグと出会えてよかった。
意味深な発言をしながらマグに近づく
マグ)...?何を言って...
リリス)私はマグと出会えてなかったらきっと既に死んでたと思う。
マグの肩を掴み
リリス)私はね。幸せだったよ、こんな戦争の日々だったけど、マグと一緒にいられてよかった。
さっきまで笑顔を保っていたがその言葉を言い切ると涙が溢れてきたようで
リリス)でも...死にたくないよ...やっぱり死ぬのは怖い...離れてしまうのが...怖い...
マグ)...まさか...!
リリスの顔を手で上げさせリリスの目を見る
マグ)紅の精霊...っ!
紅の精霊に取り憑かれたものは紅い目になる。リリスは元々ピンク色の目だったから気づかなかったが...
リリス)ごめんね。...マグだけ、置いていくしかないみたい
マグの首下に自分の頭を入れ思いっきり涙を流し
マグ)...嘘...だよな...
現実を受け止められなかった
リリス)...そんな事言わないでよ...嘘じゃなかったら...私は...死んじゃうんだから...
マグ)っ!まだどうにかなる!絶対にたすk...
リリス)...私のために、そこまでしないでよ。マグはきっと、この世界の頂点に立って...ネットを...倒して...
掠れるような声で
リリス)私の...ヒーローなんだから...
マグ)待て...待ってくれ...一緒に帰るって約束しただろ?その約束はどうなるんだよ...!
リリス)ご...めん...ね...
それが最後の言葉になったが言葉に続き
リリス)〇〇〇〇〇...(口パクだけで)
その後力が抜けたようにマグに寄りかかり、体が冷たくなって行った
マグ)...
言葉が出ない
マグ)...
魂が抜けたかのように
光のないリリスの目を見る
紅の精霊は、人の命を奪う。それは残酷で、無差別に。
別にリリスに特別な感情が湧いていた訳じゃない...俺とリリスのリアルの関係性なんて俺がリリスのいじめを止めたくらいだ。あんなのは気分だし、先のことを考えなかった馬鹿がした事だ。結果俺はいじめられることになったし。
マグ)...馬鹿...
俺の右手には黒い石が握られていた。
マグ)俺だけ置いていきやがって...
右手に力が入る
マグ)ふざけんじゃねぇ!!なんのために...!誰のために戦ってきたんだよ!!
黒い石にヒビが入る
マグ)お前と帰るためだろうが!!
黒い石が割れると何か黒い影がマグの中に入る
マグ)...あぁ。やってやるよ。"ヒーロー"とは程遠いやり方でな
マグ)あぁ...あぁ...
言葉にならない声を上げる
ルトラの目にも、光がない。
...また1人、増えてしまった。
あの戦争の後紅の精霊自体を抹消しようとしてきたがそれは不可能で、最近静かにしていた為忘れていたが...
そして次の瞬間脳内に直接語りかけられる。
?)気を緩めたなぁ?
っ!言葉の通り気を緩めてしまった!つまりこの声は...
マグ)......アルトゥーラ...
もう体は長く持たないだろう。
アルトゥーラ)俺様に体を受け渡せば打開も簡単なのになぁ?
...事実だ。でもその裏には"終わり"が待っている。
アルトゥーラ)そいつは死んだんだ。殺されたんだよ。もう戻っては来ない。
嫌味たっぷりな言い方をする。
こいつに唆れてしまっては...
アルトゥーラ)"いつも"なら貴様は感情に任せて攻撃しにかかるのがセオリーだろう?
違う...違う違う違う違う違う違う!
俺はもう"あの頃"とは違う...!
今感情的になれば前と同じ"終わり"を辿ることになる...!
落ち着いて今の最適解を考える...
そう。導き出した最適解は...
マグ)...アルトゥーラ
俺はそいつに問いかける
アルトゥーラ)体を引渡す気になったか?
俺はそいつに契約をもちかける。
マグ)ネットにトドメを指す寸前に1度体を戻して欲しい。それとネットを倒したあと2日間は体を戻してくれ。
その契約ならば体を引渡すと
アルトゥーラ)...ほう?そんなことで"喰える"ならその条件、飲もう。
マグとアルトゥーラは契約を交わした。
マグ)じゃあ後は任せ...
水の中に墨汁が落ちたかのように目が黒くなる。その目に光はない。
ネット)あんま感傷にひたってると死ぬぞ?
空中に魔法陣を4つ生成し特大魔力弾が放たれる
マグはそれを確認するとネットに向けて走り出し
ネット)馬鹿か?わざわざ中心部に走ってくるとはな
もう接触まで時間は無い。しかし次に起きたことは爆発では無かった。マグの背中から生えるように出てきている紅い龍が全て食い尽くした。
ネット)何!?
ネットは焦り時を止めようとする
時は止まり安心したのもつかの間
マグ?)時を止めた程度で安心してんじゃねぇぞ?"魔" "王" "様"
背後からマグの声が聞こえたかと思えば首に腕を回されている。
ネット)き...さま...マグじゃない...な...
苦しみながらもそう問う。
マグ?)あぁ。俺様は全てを喰らう者、アルトゥーラだ。
ネット)...っ
マグ?)それじゃお前の魂も食い尽くしてやるよ
背中の龍がネットに齧り付き
ネット)がっ....!!
ネットのHPがみるみる減っていく
しかしその減少はギリギリの所で止まった。するとマグは離れ元の姿に戻る。
れい)トドメ!ホーリーアロー!!
マグ)っ!ダメだ!!
れいの腕を押し矢を外させる
れい)なんで!?
困惑した顔でマグを見るれい。マグはネットを殺したくないのかそれかまた別の理由か...
ネット)っ...はは、そう来るか。あくまで降参を願いたいわけね?
マグ)あぁ。面倒なことにはなりたくない。
しかしネットが降参するはずもなく。
ネット)本番はここからだ!!
ナイフを取り出す
マグ)まさか...!!れい!ナイフだけを撃ち抜け!!
れい)えぇ!?
とりあえず矢を放つが弾き飛ばされ
ネット)絶望に昏れるがいい!!
ナイフで自分の首を切る
HPが0になる。
マグ)...間に合わなかった...
切った傷口から紅紫の魔力が大量に溢れ出し
トキ)なにか来るよ!!
その魔力は部屋全体を囲むとひとつの空間となる
マグ)っ...逃げられない...!
???)...
死んだはずのネットは顔が半分以上骸骨のように焼け右手は骨になっている
ネットの方にいたゾルリナは宙を舞うように跳躍しマグの横に着地する
マグ)...悪い。今回も止められなかった...
ゾルリナ)いえ、今回は仕方がないでしょう。別に気にしてません。
無表情のままマグにそう答えるゾルリナ
マグ)そうか...まぁ何はともあれここからが本番だ。気を抜くなよ
ゾルリナ)久しぶりの共闘ですね。合わせますからお好きにどうぞ
ゾルリナがそれを言い終わると同時にお互いの姿が見えなくなる。
正確には速すぎて見えないと言ったところか
???)魔力のイト
マグとゾルリナが走ってきているであろうルートに目を凝らさないと見えない程細い魔力の糸を貼る。触れれば即死だ。
マグはそれをできるだけ最低限の動きで避けゾルリナは軽い身のこなしでかわしていく
両サイドから飛び出たマグとゾルリナはお互いの武器(剣・爪)を使用し攻撃を仕掛ける
しかしネットの体をそれは貫通し次の瞬間覇気によって吹き飛ばされる
マグ)やっぱりダメか...!
ゾルリナ)...やはり"デット"様は強いですね...どう致します?今回のマグ様のお仲間達はかなり消耗しておられますが。それと1番デット様との戦闘を経験していらっしゃるのもマグ様ですので。
お互い背を護るような形で会話する
マグ)そうだな...ゾルリナはデットの周りにバレないように反射板を設置してくれ。その後にれいと俺で焼き払う。
指示すると「わかりました」と言った後にデットに向けて先程よりも速い速度で走る
デット)1人で無謀なことを...
小さな魔力弾を大量に放つがそれを全て受け流し突き進む
デットの間合いに入ったゾルリナは反射板を設置しそれを踏み台にして次の反射板へと繋いでいく
マグ)れい!デットに向かって天聖剣気を放ってくれ!!
れい)わかった!
れいが天聖剣気を放つと
マグ)炎帝!!
炎魔法をその後に放つ
デットの目の前まで技が行くとデットがそれらを吸収しようと腕を伸ばすが目の前で軌道が変わりデットを囲む結界となる。
デット)...反射板か...
辺りに炎の渦ができ長く中に入ればデットと言えど耐えられないだろう。
ゾルリナ)成功しましたかね。まぁ恐らくこれだけでは終わりませんが...
マグ)ダメージを与えられればそれでいい。
次の瞬間膨大な魔力と共に反射板が全て破壊されデットが再度姿を現す
デット)我の力にひれ伏すがいい!!デストラクション!!
れい達を囲むように紫色の巨大な魔法陣が現れ
れい)なに...これ...体が...動かない...!!
魔法陣は更に強く発光し精神的なダメージを多く与える
マグ)っ...がっ...あ...!
この魔法は相手の弱いところに漬け込む魔法でもある。辛い過去があればあるほど受けるダメージは多い
ゾルリナ)...早く破壊しないとまずそうですね...
重い体をゆっくりと立ち上げ
ゾルリナ)影分身
ゾルリナが分身しれいとマグの体を抱き上げ魔法陣の外へ逃げる
マグ)...助かった...
ゾルリナ)これで貸し1ですね。いつか返してもらいますよ
デットの魔力は底を知らない。どれだけ強力な魔法を放ったとしても2秒後には同じ魔法が何度でも放てる
大魔王であり、最悪の大賢者だ。
しかしデットも想定外の事態には対応できない
トキ)喰らえぇ!!
背後から迫っていたトキが重い一撃を食らわせる。すると結界を保てなくなり元の光景に戻る
しかし元の光景に戻るとすぐにデットは結界を貼り内部で唱える
デット)殲滅の時!
ゆっくりとデットの体が宙に浮かび高出力なエネルギー弾がチャージされていく
マグ)まずい...!あれが発動すれば俺だけでなく世界が滅ぶぞ!?
剣で結界を破壊しようとするが底を知らない魔力で作られた結界は人間に壊せるようなものでは無い。
ゾルリナ)紅の精霊も結界に使用されてるみたいですね。紅の回帰での破壊は無理でしょう。
主な強度の原因は紅の精霊だ。こいつさえ全て吸収することが出来れば...
マグ)はぁ!!
両手を結界に押し当て紅の精霊を吸収する
しかし数秒後マグは思いっきり壁まで飛ばされ
れい)マグ!!
れいは結界の前に立つ
れい)私が...やらなきゃ...!!
れいは両手を前に出し結界に触れようとする
マグ)ダメだ!やめろ!!
静止を聞かずれいは吸収の姿勢へ入る
吸収をし始めた瞬間体に重い感覚、吐き気、目眩、頭痛と言った症状に襲われた。強力な紅の精霊が私を蝕んでいる
れい)負けて...たまるかぁぁぁぁ!!
れいが眩しい光を放つと結界が破られ光の中心にいたれいの姿も変わっていた。
目は蒼く、刀を鞘に収めている
マグ)紅の精霊の...新しい扱い方...!
その瞬間デット少し焦りの表情を見せたがそう簡単に自分は倒せまいとチャージを続ける
れい)...
れいは刀をゆっくりと握り
れい)無虚限空・封!
抜刀すると同時に剣気が放たれエネルギーに当たると黒水色の正方形に広がる。外から見れば限りあるその正方形の空間だが中から見れば無限に広がる空間だ。他者からの破壊は不能。
れいが納刀すると再度刀を持ち直し姿勢を低くし構え、抜刀すると同時にその空間を斬った。その時の風圧は凄まじく全員が壁に押し飛ばされるほどのものだった。
れいは攻撃を終えると納刀し元の姿に戻る。
それと同時に力が抜けたように崩れ落ちる。
マグ)トキ、れいを頼む
短くまとめて言うと壁際に避難させ
マグ)そっちの魔王様は討ち取った訳だけど、お前達はどうする?向かってくるか?
相手はゾルガナとゾルリナ、こっちは負傷しているれいとそれを守るためのトキ。自由に動けるのはマグしかいない。
ゾルリナ)そんな遠回しに言わなくてもマグ様の"契約"に則って、最後まで続けましょう
言い終わるとゾルガナと同時に攻撃をマグに向けて仕掛ける
両側から攻撃されたマグはゾルリナの攻撃は防げたがゾルガナの攻撃は防げず。
マグ)ぐっ...
鋭い爪で裂かれた部位は相当な量の血を流す。今この瞬間の"俺"は人造人間ではない。今死ねば機能停止所では無い。
傷口を抑えるようにし立つ力がなくなり崩れ落ちるとそれをチャンスと捉えたゾルガナが飛びかかってくる
死を覚悟した。
しかし次に響いた音は何かの打撃音で
マグの目の前にはゲートが現れておりそこから大槍が飛び出ていた
まみゃ)遅れてごめん!もう大丈夫だから!
れい達を見てそういい
ゾルガナ)...
ゾルリナと同時に後ろに下がり
何かを唱えるとゾルリナとゾルガナは一体化、つまり完全融合を発動させる
それを見たまみゃもウィアリとの完全融合を発動させ。
完全融合したゾルリナは魔天サーベルを生成しまみゃに向ける
対するまみゃは鎌を取り出し
お互いが視線を交わしたその刹那瞬きする頃にはお互いがすれ違う。
まみゃの頬から血が飛び、ゾルリナの首から血が飛んだ。
しかしどちらも決め手とはならない
再度ゾルリナは攻撃を仕掛けようとするがそうはいかなかった。
傷口から衰弱ウイルスが侵入しまともに立てる状況ではなかった。
その隙を見逃さなかったまみゃだが鎌は結界に防がれ
しかしその瞬間れいが目を覚まし即座に弓を放つ
まみゃの攻撃によって結界が弱っていたからか矢はゾルリナに直撃し完全融合が解除される。
その瞬間マグは立ち上がりゾルリナに向けて超スピードを使い剣を振った。
しかしゾルリナはそれを仰け反って避けるが後ろは壁で首元に剣を押し付けられてしまう
マグ)これで終わりだな
その顔は冷静で無表情だ。
ゾルリナ)今回も私達の負けですね。
眉を少し寄せ負けを認め
マグ)"契約"に則って情報をもらおうか。
ゾルリナ)はい。なんなりと
マグ)次は誰が相手だ?
つまり次この世界へ来る刺客。もしくは何も来ないのか、という話だ
ゾルリナ)"コード超えし転生者を表し過去共に戦いし王ならざる人"とでも言っておきましょう
難しい言葉並べ立てる
マグ)今回も少しめんどそうな例えをされたが、まだ完全な平和には遠いってことだな。
少し呆れた様子で
ゾルリナ)情報は渡しましたよ。では"契約"に則って、"殺してください"
先程から言う契約というのは、お互い戦闘においでのメリットを存在させるためだ。元々マグにメリットが無かった事や、デットを止めるためにマグとゾルリナが過去に交わした契約だ。
マグ)"次の世界"でネットに言っておいてくれ、今度はこんな形じゃなくてお茶でもしようってな
それに返すのは仕方がないですねと言うような笑みだけ、そしてその約2秒後、ゾルリナの首は飛んだ。
私には無理だ。
解除された瞬間にマグはゾルリナに斬りかかったが私はゾルガナちゃんを殺せずにいた。
戦闘慣れしていないゾルガナは解除の反動に耐えられずその場に倒れている。
私は弓は向けるものの放てずにいた。
ゾルガナ)...殺してください。
小さくそう言う
れい)ゾルガナちゃん...
ゾルガナの目は蒼く戻っており
ゾルガナ)私は死ななくちゃいけないんです。迷惑をかけてごめんなさい。
申し訳なさそうな顔をしてそう言う
ゾルガナ)ずっと騙してましたけど、皆さんと一緒に入れた日々はとても楽しい毎日でした。
なんで。
ゾルガナ)皆さんと一緒に食事したあのお店の料理、凄く美味しくて、私には勿体ないな〜と思いました。
なんで。
ゾルガナ)あの時マグさんはどこか遠くを見てたようでしたけど何を見てたんでしょうね、
ゾルガナちゃんとの思い出が、ゾルガナちゃんを殺すことを許さない
ゾルガナ)...
れい)ねぇ、ゾルガナちゃん...やっぱりm
ゾルガナ)ダメですよ。私は皆さんを騙したんです。私の事、皆さん恨んでますよ
少し食い気味にそう言う
れい)恨んでなんかない!!私はこんなことよりゾルガナちゃんとの思い出の方が...っ!
ゾルガナ)...最後くらい、いい役を演じたかったんですけどね
ため息を着くと
ゾルリナ)お前達は私の人形だよ!簡単に騙されて扱いやすい人形!あの時...!私が閉じ込められたあの時中に避難してた人間共を殺したのは私だ!あの人間共の恐怖の顔と来たら滑稽だったよ!お前達の純粋な感情が面白くていつも吹き出すのを我慢してたくらい...!
目の色がまた紅く染まり強い口調でそう言う
それでも私はゾルガナちゃんを殺せない。
きっとまみゃも、トキも、マグ...も...?
次の瞬間
マグ)れいが殺さないなら、俺が殺すが?
剣をゾルガナに向け怒り、怨念、恨みに満ちた表情でゾルガナを睨みつける
それを見上げた私もゾルガナちゃんが本当に殺されてしまうかもしれないという恐怖で泣き叫んでしまった。
れい)マグ!やめなさい!!
マグ)あぁ??こいつは敵だ。
れい)そうだとしても!
私は止めようと必死だった。
まみゃ)...私はれいの気持ちもわかるし、マグの気持ちも分かる。
まみゃがその間に入る。
まみゃ)ゾルガナちゃんとの思い出は大切なものだし、これからも増やしていきたいと思ってた。
でも、とその後に置き
まみゃ)私は操り人形にされて、その過程で気づいた。マグがゾルガナちゃんを嫌ってる理由を
すると次はゾルガナが口を開き
ゾルガナ)こうやって敵として対峙するのは久しぶりですねマグ様、
口調を戻しそう言う
マグ)そうだなゾルガナ。それと様付けはやめろ。殺意が増す。
ゾルガナ)そんなに怒らないでくださいよ。私とマグ様の仲じゃないですか。
ゾルガナは笑顔を作り
マグ)あぁそうだな?俺とゾルガナの仲だもんなぁ?これくらいしても許すよな?
グサッ
ゾルガナの右腕に剣を突き刺す
ゾルガナ)っ...
れい)やめて!!
マグを押し返そうとするがビクともせず
ゾルガナ)...マグ様も悪趣味ですね。私が苦しんでる姿見て楽しいんですか...
マグ)もちろん、人生で1番この瞬間が楽しいさ!!
剣を引き抜くと今度は左腕に刺し
ゾルガナが悲鳴をあげる
ゾルガナ)...早く殺してください。ネット様に言いつけますよ
マグ)それは困るなぁ?でも"俺とゾルガナの仲"だもんなぁ?この程度のことでネットの手を煩わせることは無いよなぁ?
今のマグは悪魔そのものに見えた。
もうれいは崩れ落ちていた。
そのれいの様子を見たマグは少し落ち着いて
マグ)あぁそれと、お前は次の世界には行けないぞ?
冷静に戻り
ゾルガナ)...っ!?それってどういう...
マグ)これを見ろ。
ひとつの魔宝石を取り出す。これは出発前に買ったものだ
ゾルガナ)ただの魔宝石......っ!?
気づいたようで
マグ)これは封印の魔石だ。死よりも苦しい苦痛を与えてやるよ
魔石を近づけ
ゾルガナ)それだけは...!やめて......!
懇願するように涙目でそういうがマグは止まらず
ゾルガナ)いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
叫んだ後、光となって魔石に閉じ込められた。
マグ)...ふぅ
本当は殺してやりたかったが仕方がなく
マグ)これはれいに預けるよ。
れい)これが...ゾルガナちゃん...?
マグ)あぁ。もし本当にれいがゾルガナの事を信じているなら、封印を解くといい
そう言って魔石を投げ、受け取るとマグは一人外に出ていく。
マグ)...ルトラ...
目に光のない彼はおぼつかない足取りで王都に向けて一人で歩いていた
次回 世界を超えた刺客