表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
造られた世界(仮)  作者: マグ
第1章・全ての始まり
1/45

殺戮の衝動

個人的に書いてた小説上げます!

「はぁ、はぁ、はぁ……」


俺は今、全力で走っていた。

呼吸は荒く、胸の奥が焼けるように痛む。それでも足を止めることはできない。

その理由は――



「れいお嬢様」


背後から呼ばれ、れいは首を傾げた。


「どうしたのかしら、騎士様?」


「そろそろ、“あの洞窟”の探索に向かった方が良いかと」


“あの洞窟”――それはこの村の東側に存在する大穴より続く洞窟であり、古くから奇妙な噂が絶えない場所だった。


「そうね……。おーい、まみゃぁー」


「はいはい、呼ばれたー」


声の主は、れいの友人まみゃ。

いつも明るく無邪気な少女だ。


「今回はまみゃも来るのですね」


「人数が多い方が楽しいわ」


こうして俺たちは洞窟の中へと足を踏み入れた。

この時はまだ、この選択が取り返しのつかない結果を招くことになるとは、誰も知らなかった。



「まみゃ〜!鉄がたくさんあるよ〜!」


ツルハシを振るいながら声をかける。

この国では鉄が慢性的に不足していた。


「ほんとだー!あとで分けてねー」


「はーい」


そんな無邪気な声を耳にしつつ、俺は一人、周囲を警戒していた。


俺の耳は人一倍、いや、それ以上に敏感だ。

生まれつきの能力で、これは護衛役として非常に役立つ。


「掘り終わったよー。さ、奥に行こー」


俺たちはさらに洞窟の奥へと進む。


「マグマね」


その言葉に、騎士は一瞬、体を強張らせた。


「どうしたの? 騎士様?」


「いえ……何でもありません」


誤魔化す。

この人は恩人だ。だからこそ、名前や細かい情報を教える必要はない。


そんな時、遠くから歓声が聞こえた。


「あ! ダイヤ!」


喜びに満ちた声。


「まじぃー!?」


「おめでとうございます、れいお嬢様!」


しかし俺たちは、まだ洞窟から引き返すことを考えなかった――



洞窟に入る前


「教官殿。私たちはあの洞窟へ行きます」


「あの洞窟か……。気をつけろ。帰ってきた者は、たった一人だ」


「なぜです?」


「声が聞こえるらしい。その声に導かれるのだと」


「ばかばかしい噂ですね」


「いや……実際に“洗脳”のようになるらしい。生還者の話だ」


その言葉に、れいが反応した。


「教官さん、その声はどこから聞こえるのかしら」


「洞窟の奥底、闇に染まった場所からだ」


「……まさか、本当に“古代都市”が?」


「生還者も同じことを言っていた。“音を立てるな”と」



そして現在。


俺たちはさらに奥へ進んだ。

だが、そこで待っていたのは――モンスターの大群だった。


「きゃー!!」


「何、この数!?」


「お嬢様!!」


その瞬間、立ちくらみが起きた。

助けに向かわなければならないはずなのに、体が言うことを聞かない。


「ヴォー……ヴォー……」


声が聞こえる。

頭痛が走り、視界が歪む。


「この……声……」


助けなければならないのに、俺は声に導かれて洞窟の奥へ進む。

お嬢様たちの叫びは、耳に届かない。


「騎士様! 行っちゃだめ! 戻ってきて!」


必死の声が届く。

だが、俺の意識は、黒い何か――“ブロック”に釘付けだった。


「美しい……」


黒いブロック――


【ブロックID:238】


手を伸ばした瞬間――


「──だめっ!!」


腕を掴まれる。

そこには、涙を浮かべたれいがいた。


「離せ……」


「絶対に離さない! そのブロックに触れちゃダメ!」


必死に止めるれい。

俺の体から、何かが抜けたような気がした。


「はぁ、はぁ……助かった……」


正気に戻った。



騎士は、れいとまみゃを先に退避させ、洞窟内のスカルクセンサーを避けながら奥へ進む。

音に反応して悪魔を生み出す装置――それを避けるのは簡単ではなかった。


だが、油断した瞬間――


「ぐはぁ!!」


黒と水色の角を持つ化け物が襲いかかる。

体は土と同じ黒色で、灰色の顔に漆黒の目と口。

視界を暗くされても、俺には効かない。暗闇に慣れているからだ。


しかし、攻撃を避けきれず、ハートの半分を削られる。


刀を振るう――

だが、手応えはない。


「手応えがない!」


その瞬間、下から突き上げられ、床に叩きつけられた。


「ぐ……頭が……あぁ!!」


再び“洗脳”されそうになり、俺は洞窟の外へ逃げた。

途中でお嬢様方と合流するが……


「近寄らないで」


血に染まった俺を、れいは拒絶した。


「近寄らないで」


「えっ……」


俺は言葉を失った。目の前のれいの表情は冷たく、胸が締め付けられる。


「まみゃ! この人が登ってくる前に、水を登って!」


「う、うん……!」


「な、なんで……」


「貴方……その血!」


騎士は自分の服に目をやった。そこには黒く濁った血がべったりと付着している。


「……」


「昔、私言ったわよね? 血は嫌いだって。あなたが血に汚れる姿を見たくないって」


「……」


なぜだ?

俺はお嬢様のために戦った。

あいつを止め、村人を守ったはずなのに、なぜ拒絶されるのか。


俺の心は再び闇に沈んだ。



村に戻った俺は、家の中で落ち着いたふりをするが、心は燃えたぎっていた。


「……最悪だ。お嬢様との関係は険悪になった……」


教官に相談しても、返ってきた言葉はただ一言。


「知らんな」


教官は去った。

俺は一人、村を離れる。山を下ると、小さな村が見えた。


「……妬ましい。心の底から消えてほしいと思う……」


その瞬間、心の奥で黒い血の声が囁いた。


「貴様が殺してしまえばいいじゃないか? あの幸せな者どもを……」


「……あぁ、そうだな……俺が……」


笑いが止まらなかった。

殺戮の衝動が抑えられない。

俺は“殺戮の悪魔”だと言われたことがあるが、それは過去の話ではない。


俺はその村を瞬時に壊滅させた。

村人を全て殺し、村を焼き払った。

ただ一人だけ、逃げ延びた者がいた。その者は隣の村、俺たちの村に向かっていた。


「誰かァァァ! 誰か助けてぇぇー!」


「騒がしいわね。こんな夜に」


「まぁ行こうよ。助けを呼んでるんだし」


「どうせ騎士様が行くんでしょ……」


「ううん! 行きましょう」


腕を掴まれ、まみゃの目が必死に訴える。


「かえって……来るよね?」


「大丈夫よ。殺戮の悪魔は私を殺せないから……でも、あなたは殺されるかもしれないから、ここで待ってて!」


「……!」


れいは振り払い、走り出した。



騎士「ふはははははははは!!」


村と森は焼け野原になっていた。


「さすがね。殺戮の悪魔の実力を少し甘く見ていたかしら」


騎士「……れいお嬢様」


「気持ち悪い。あなたに呼ばれると吐き気がする」


騎士「……」


「まぁいいわ。あなた、この辺の村を全て焼き払ったのね?」


騎士「……」


「村人の生き残りが私のところに来て、『殺戮の悪魔を殺してくれ!』って言ったわ」


騎士「……へぇー、面白い冗談だな?」


「冗談? 本当にそう聞こえるの?」


騎士「聞こえるね。お前に俺は殺せない」


弾丸がれいをかすめ、髪を引き裂く。


「当たってないじゃないの?」


「……」


やはり俺は、恩人を殺すことはできない。


「殺せば楽になる。お前は殺戮の悪魔なんだから」


「……とりあえず村に戻りましょう。あの件は後で話す」


「……あぁ……ふふ……」



まみゃの家


「まみゃさんは殺戮の悪魔をご存知?」


「知らないなぁ。れいは何か知ってるのかな」


「奴は死ぬべき存在だ。この世界が持つ限り、奴がいる限り……!」


その瞬間、ドアが開いた。


「おかえりー……って騎士?」


「あ、あははぁ……着いてきたいって言ってたかr……」


「ひ、ひぃぃぃー!!」


「さ、ささささ、殺戮の悪魔だぁぁぁ!!」


「うるさい、目障りだ」


俺は一瞬で村人を斬る。首がまみゃの目の前に落ちる。


「……!?」


「ちょっとあんた……」


「ふん、こいつは死ぬ運命だったんだ」


「殺戮の悪魔……?」


「あぁそうだ! 俺があの殺戮の……」


「やめなさい。まずは血を片付けましょう」


「っち……」


「舌打ちをするとは、いいご身分になったことね?」


「失礼しましたお嬢様……」



お嬢様の説教に、俺は耐えきれず逃げ出す。



騎士「はぁはぁはぁ……俺は走っていた。もう嫌だ、この世界!」


一人になりたかった。

村に戻り、再びれいに会おうとしたが――


「付くとでも?」


森を越え、湖を越え、ついに目的地に到着する。

夜、雷雨が降る中、それすら心地よく感じた。


耳が何かを感じ取る。

血の滴る音、何かが引かれる音。クロスボウの音だ。


「!!」


略奪者ピリジャーの大群がいた。


「おい、そこのお前ら!」


「さ、殺戮の悪魔!? に、逃げろー!!」


「まぁ待て、殺戮の悪魔。俺たちに用か?」


「あんたがリーダーか。協力してみないか?」


「殺戮の悪魔と協力!? ありえない!」


「それで、どんなメリットがある?」


「ふふ、殺戮が楽しくなるじゃないか」


「ふはははは、狂ってるな! いいだろう、その協定結んでやる」


こうして全面戦争が始まった。



戦争は激化する。

まみゃには村人の避難を任せ、れいは前線で戦う。


「うわ! 略奪獣まで……! 一体どれだけの軍隊なの!?」


体力は限界に近い。


「回復……」


ポーションを使い、再び立ち上がる。


「まだ……いるの?」


正直、限界だった。


しかし目の前に、――


「一人でよくここまでやれたもんだな、お嬢様」


「……あんたね……」


殴りかかるが、奴は軽くかわす。


「……!」


手首を掴まれ、後ろに投げ飛ばされる。


「ぐは!!」


冷たい瞳に、苛立ちが込み上げる。


「諦めた方がいい。お前らは死んで、この世界は俺たちのものになる」


「何を言っているの!? 私はまだ負けてない!」


瞬間、奴は目の前に立ち、ナイフを突きつけた。


その時、50ブロック以上離れた場所から何かが飛んでくる。


「ほう……矢か」


右腕に矢が刺さった。


「まみゃ!?」


「ここは任せて! れいは後ろから援護をお願い!」


「わ、わかった!」



弓を受け取り、高台へ向かうれい。

騎士は瞬間移動のように目の前に現れ、ナイフを振るう。


「集中……」


電子装置、第1号、マシンガン発射!


矢に当たったのは騎士だけ。


「ぐはぁぁぁあ!」


「偶然だけどね」


「わかった、降参する」


「つまり……私たちの勝ち!?」


こうして、殺戮の悪魔を止めたれいだったが、この戦争の波乱はまだ序章に過ぎなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ