これまでの経緯
「これは、約1時間前の映像です。」
円卓モニターに、C国ご自慢の世界遺産と言える長い城壁が、映った。そこから少し南で、突如『光球』が、発生。あっという間に、広がった。
「そして、『原子単位に分解』された。これが、『原子分解砲』砲撃の瞬間だと言う事か。」
「ええ。しかも、この約25時間前、地球上の先進各国に、『宣戦布告』していました。」
「え! それは大事でしょう。」
ようやく、言葉を発する方法を、思い出したらしい父親だった。」
「父さん、それは恐らく、『宣戦布告』を受けた国家は、例外なく『いたずら』と解釈し、何もしなかった。そうでしょう。」
「ええ。結果はこうでしたが。」
「で、『原子分解砲』を放ったのは、何者で、目的は何なのか。その話をすべきじゃないか。」
「そうですね。『ガウスレーゼ』。彼らの呼称です。そして、彼らの目的は、地球征服です。」
「初手で『コロニー』を落とせば、地球は恐れおののいて、降伏する。とでも言いたいのか。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
某機動戦士とも無関係に相違ない。
「しかし、国が消滅したのに、ニュースでは、何も報じていない。本当ですか。」
もっともな、疑問を呈するのは、父親だった。
「父さん。恐らくどっかの誰かさんが、マスコミ等に、隠蔽工作をしているのでしょう。」
「ええ。と言っても、一時的な物。露見するのは、時間の問題です。」
「そんな……。」
「僕は、さっき『何者か』と、質問した。名前以外の情報は、無いのか。」
「そうですね。『ガウスレーゼ』は、『異世界人』でも『この世界の人』でもありません。……そう、生物でも無いのです。」
「勿体着けないでくれないか。……まさか、『機械』、『人工知能』なのか!」
「はい。『ガウスレーゼ』は、『異世界侵略装置』です。一度送り込めば、決して諦める事無く、機能停止するまで、『侵略征服』し続ける。理想的な兵器ですね。」
「すると、疑問がある。『ガウスレーゼ』は、『機械』なのだから、『最適解』のみを選択するはずだ。だが、最初に『原子分解砲』をC国へ撃った。何故だ?」
「ああ、その事ですか。かの国は、『世界の中央に咲く華』と自称しています。更に、諸外国もそれを公式に、国名として認めています。」
「つまり『世界の中心』へ向けて撃ったと言う事か。いやはや、『最適解』とも言えるな。」
* * *
次回予告
第6話 『異世界親和性』
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