第4の敵
「確か、戦国武将の話だ。約20万人の軍勢に、居城を包囲され、入浴も睡眠も、おちおちとれなかったらしい。例え、予想できたとしても、睡眠や入浴しない訳には、いかないな。」
またも、敵襲警報で、たたき起こされた。狙っているのか。
いつも通り、着替える。
「はぁい。心三くぅん。お着替えは、終わったかしらぁ。」
「はい。問題ありません、一等書記官。」
紙袋……もとい、手にしたヘルメットを被りながら答える。被ると、頭の形に合わせたヘルメットになった。既に、ガス製のパイロットスーツも装着済みだ。
「では、場所からぁ。ニジェール共和国ねぇ。『ナウスレーゼ』1機よぉ。心三くぅん。」
「……サハラ砂漠の、ほぼ中央か……今度は、『砂漠の狐』でもやる気か……」
等と言う無駄口を叩かなかった。
「どうしましたぁ。なにか言いましたかぁ。心三くぅん。」
「敵は、『1機』だ。が、『予想』は、『1つ』に絞れない。厄介だな。」
等と言う無駄口を叩かなかった。
「いいえ、他に情報は、ありませんか、一等書記官。」
「映像を、そちらに回しますねぇ。……映ってますかぁ。心三くぅん。」
「画面には、最初の敵と同型の『ナウスレーゼ』が、1機だけ映っていますよ。違いと言えば、前回は、剣だけでした。が、今度は、剣と盾を装備している事くらいですね。一等書記官。」
昔、見たロボットアニメでは、主人公を引きずり出す為に、街や人々を無差別攻撃する『敵』がいた。が、『ナウスレーゼ』は、『機械』なので、そんなエネルギーの無駄使いをしない。
「『情報不足で、推理を巡らす事は、エンジンを空転させるに等しい』だったな。」
等と言う無駄口を叩かなかった。
「そう、よかったわぁ。で、様子を見ますかぁ。心三くぅん。」
「残念ながら、内部のスキャンで、エラーが発生しました。ジャミングでも、かけられているのでしょう。そちらからは、どうですか。一等書記官。」
「あら、本当、こっちからもエラーよぉ。あなたの言う通りねぇ。どうしますぅ。心三くぅん。」
「……いいえ、撃って出ます。一等書記官。」
まずは、『夢現傀牢』に引きずり込む。そこからだな……
「では、『ブラジオウ』出撃準備。『ユー・ハブ・コントロール』ぅ!」
「はい、『アイ・ハブ・コントロール』! 『ブラジオウ』出撃!」
直後、サハラの大地に立つ。
* * *
次回予告
第41話 『砂』と『騎士』
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