説明者達
しかして、説明者として待機していたのは、規格外の双丘を持つ5名の美少女だった。
いっても、二十歳そこそこだろう。そんな女性達だった。が……
「おかしい。僕の目には、『異世界人』に見える。否、それ以外には、見えない。」
等と言う無駄口を叩かなかった。
この時、一斉に全員起立した。5人の中央にいる長い黒髪の女性が、口を開いた。
「初めまして。そして、ようこそ『パローム・エン』大使館兼前線基地へ。歓迎申し上げます、忌士様。お掛け下さい。」
室内中央の円卓に設えた開いている席に、座る一行。一緒に着席する女性達。
「重ねて念押し致します。当施設は、我々『パローム・エン外交院』が、日本政府より借り上げております。よって、当施設は、一部の例外を除いて『治外法権』が、適用されます。」
「ああ、ここまでは、説明を受けている。問題無い。」
そう、ここまでは、外務副大臣から説明を受けている。問題は、副大臣ですら、説明できないと言う『この後』だ。
「まず、この国にある『論より証拠』と言う言葉に則って説明します。こちらをご覧下さい。」
円卓中央が、モニターへと変貌した。そこに、映されていたのは……
「砂浜? いいや……これは、『何か』を細かく『分解』した物か……もっと、ズームできないのか。」
右端に座った小柄な、おさげの女性が円卓の隅っこに触れると、画面が拡大された。
モニターを隠さないよう、円卓に手をつき、食い入るように、見つめた。
「間違いない……これは、『原子単位』に『分解』されている……。何処だ。海の感じからして、これは地球だろう。何処なんだ。」
今度は、カメラが引いていく。世界地図を映したかのように、切り替わった。
「C国、北K国、南K国、M国、T湾、沿海州まで『分解』されたのか……。」
今日、今日に至るまで、『異世界人』にも『異世界技術兵器』など、見た事なんて無い。
「だが、分かる。これは、空想でも物語でもフェイクニュースでも無い。間違いなく、5つの国と地域が、国土、建造物、生き物、全て丸ごと『原子単位に分解』されている……。」
『異世界人』達が、にやにやしている。その中で、中央の女性だけが、真顔に戻り口を開く。
「ご明察です。心三君。これは、『原子分解砲』、その砲撃結果です。」
余りの超展開に、呼吸を落ち着けるのも一苦労だった。
身体を椅子に落とすように、着席。深く腰掛ける。手汗をハンカチで拭った。
両親は、呆然と愕然と唖然としていた。僕だって、そうしたい。
「わかったよ。君達が、言う所の『証拠』を信じるさ。で、順を追って、説明してくれるんだよな。」
「はい。勿論です。忌士様。」
* * *
次回予告
第5話 これまでの経緯
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