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家族との遠隔会談

 こうして、家族とリモートで会う日になった。尚、回線には『パローム・エン』の技術で、暗号化したものを使っている。よって、地球人にはハッキング不可能だ。

「心三。」

 画面には、しきりに手を振る嬉しそうな貌の両親がいる。

「父さん、母さん、元気そうだね。」

 そこで、まず結果が帰って来た中間試験の報告を、済ませた。

「そう……心三なら、心配ないと、思ってたわ。」

 どうやら、落ち着きを取り戻したらしい母親だった。

「で、さ、ここでは、ネット環境も、テレビも、新聞も、連中に検閲されて、制限をかけられてるんだ。だから、外の情報が、分からないんだ。父さん、頼むよ。」

「そんなに、酷いのか! 分かった。かなり意外な展開になっているぞ。心して聞きなさい。心三。」

「父さん、頼むよ。」

「日本政府が、『パローム・エン』の後ろ盾を使って、国連を牛耳った。」

「……それは、意外ですね。そこまで『気骨』のある『政治家』が、日本にいたんですか。」

「何故だか、分かるか。心三。」

「C国が、消えた事で、世界のパワーバランスが、崩れた。……だけでは無いですね。外国、とりわけ米国に、『マウント』を取るまたとない機会……まさか! 脅迫。」

「それで、正解だ。実は、日本政府は『パローム・エン』と極秘に『取引』している。それによって、得られた利益は、莫大な物になる。それが、バレたら……」

「おい! それじゃ、日本政府を脅してるのは、『パローム・エン』かよ!」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「現状、『パローム・エン』は、日本政府以外の、何者とも『対話』しない。その姿勢を崩していない。だから、国連は『パローム・エン』との直接対話を、日本に要求している。」

「でしょうね。でも、『パローム・エン』は、どんな手練手管で、自分達の存在を国連各国に、信じさせているのです。こんな荒唐無稽な話、誰が信じます。」

「いいや、何もしていない。あくまで『パローム・エン』は、謎の存在と『自称』している。だが、例の『原子分解砲』だ。あれが、撃たれていないと言う事実が、大きい。」

「おい! それじゃ、『パローム・エン』は、自分達が 『原子分解砲』を撃たせない様にしていると、自称しているって事か!」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。


 * * * 



次回予告

第39話 祝賀会~大使館

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