デブリーフィング(3)
「では、デブリーフィングを始める。準備はいいな。」
いつもの5人全員から、賛同される。そこで、先を進める副長。
「では、ペーネル、今回の戦闘を分析しなさい。」
「はっ! これは、あくまで『ナウスレーゼ』の『物量作戦』に対し、心三の『現志力』による『物量作戦』が、当たったまでの事。実質、心三の戦闘技術向上は、見られません。以上!」
「ペーネル、着席しろ。……プーロリア博士。心三の『現志力』について、報告して欲しい。」
「ういうい。では、あたぁしゃから、心三の『現志力』が、最大出力の記録を更新したんだぞ。画面を参考にして欲しんだぞ。で、ここを見て欲しいんだぞ。」
画面に表示された折れ線グラフの『ある1点』を指さす博士。
「この値は、あたぁしゃの『現志力』の、約3倍くらいなんだぞ。こいつは、あたぁしゃ達が、束になっても、敵わない。いずれ、その時が来るんだぞ。以上なんだぞ。」
「つまり、心三の『現志力』は、闘う度に向上している。しかも、天井知らずだ。更に、痛覚中枢を『現志力』で、麻痺させる事もやってのけた。今更、戦闘訓練が必要か。ペーネル。」
「はっ! 奴は、『現志力』による力押しだけです。幼稚すぎます。俺の意見は変わりません!」
「よし、分かった。座れ。では、ボリメエ一等書記官。報告を。」
「はぁい。まず、おさらいでぇす。第1戦、『敵』の出方を見てから、即興で『対策』を立て、『ナウスレーゼ』を撃破しましたぁ。」
「確かにそうだったな。『敵』の武器の切れ味を、逆に利用……失敬、続けてくれ。」
「そこで、『敵』は、心三くぅんの『対策』に『対策』を立てて、第2戦を挑みましたぁ。それに対し、心三くぅんは、『対策』の『対策』に『対策』を、即興で立てて勝利しましたぁ。」
今度は、無言で先を促す一同。
「更に、第3戦は、『敵』が、『対策』の『対策』の『対策』に『対策』を講じましたぁ。そこで、『対策』の『対策』の『対策』の『対策』に『対策』を、立てて勝利しましたぁ。」
「……つまり、『敵』は、今『対策』の『対策』の『対策』の『対策』の『対策』に『対策』を立てているのか。そして、心三はそれに対してどう、動く気だ。」
「『敵』の『対策』の『対策』の『対策』の『対策』の『対策』の『対策』の内容を想定した『対策』の『対策』の『対策』の『対策』の『対策』の『対策』に『対策』してまぁす。」
「……なんだ。その『いたちごっこ』は!」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
「一等書記官、あなたは成果を出しました。今後も励んでください。これにて会議終了です。」
デブリーフィングを終了させたのは、長官のお言葉だった。
* * *
次回予告
第36話 日記(3日目)
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