第3の敵~敵機来襲
「3度目となると、睡眠中の敵襲警報にも慣れてしまう。まったく、嬉しくないが。」
とりあえず、ベッドから出る。
「起きてますねぇ。心三くぅん。」
いつも通り、着替えていると、通信機越しに、声が流れる。
「おや、一等書記官ですか。敵の情報をお願いします。」
「場所は、ポーランド共和国ワルシャワ上空約1千メートルでぇす。数は『1』でぇす。但しぃ……大きさが、凄い事に……。」
「珍しいですね。語尾が、はっきりしないなんて、何があったんです、一等書記官。」
「全長333メートル、直径77メートル、形状は先端が半球の円筒形でぇす。心三くぅん。」
「……何ですか、『ブラジオウ』を、何十機も収納可能なサイズは。空力学とか突っ込み処が、多過ぎですよ。」
等と言う無駄口を叩かなかった。
「画像を見せて下さい。一等書記官。」
表示された映像は、まさしく言われた通りの外見をしていた。
「何だ、これは。『潜水艦』? 『魚雷』? 何にしても、『ガウスレーゼ』は、地球の兵器を参考にしたと言う事か。」
等と言う無駄口を叩かなかった。
おかしい……1回目は、速度と武器の切れ味を最優先し、装甲や耐久性を犠牲にしていた。だから、敵の武器を利用する作戦に出た。それも、奪い取らずにだ。
2回目は、膂力と装甲や耐久性を最優先し、速度や武器の性能を度外視してきた。あれでは、殴っても簡単に装甲を抜けなかった。武器も力ずくで、突き刺してきた。
だから、こちらから攻撃せず。刺されるまで待った。
今までの『ガウスレーゼ』は、明らかに前回の戦闘データに鑑み、次回にそれを生かして来た。『その手は、桑名の焼き蛤』だった。
「おひおひ……今時、そんな言い回し知ってるって、どんな高校生だよ。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
だが、これは明らかに、不自然で、不可解で、不合理だ。
てっきり、『ナウスレーゼ』を、最低10機は、繰り出してくる。そう思ったんだがな。
こうして、着替えも終わり、操縦室に入った。
準備は万全……落ち着け……落ち着け……訓練通りに、やればいいだけだ。思い出すんだ。思い出せ……。
* * *
次回予告
第32話 訓練~イメージトレーニング
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