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次の敵~2対1

「誤っ鬼ぃーん!」

「おい! 一体何を、間違った《誤った》って言うんだよ!」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「今度は、速度を犠牲にして、装甲を大幅に強化したらしい。だが、その方が、むしろ好都合と言う物だ。こっちも、処理に手間取っているからな。おっと……」

「射っ鬼ぃーん!」

「……カネでも借りたのか。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

 『盾』を作って、飛び道具……『銃剣』を防ぐ。更に、突きこまれた『槍』を『剣』で捌く。やはり、処理が重い……

「ふう……『ブラジオウ』2体同時出現は、無理があるな。『現志力』の消費量や、僕自身の保有量が、分かっていないから、持続時間も計れてない、厄介な事この上ない。っな!」

 『銃弾』を『盾』で防ぐ、突撃してくる『槍』を『剣』で捌く。そんな作業が、飽きもせず、続いている。現状維持だ。兎に角、現状維持だ……

「こういう時、『AI』ってのは、厄介だ。相手が『人間』なら、挑発する事だってできるし、焦れてくれる事だって、あり得るんだがなぁ……また、『槍』の突撃か……。」

「逃げちゃ駄目だ。」

 「駄目だ。突撃を捌く際に、『剣』を刺す事も、『飛び道具』を作って撃ち返す事も駄目だ。」は、「逃げちゃ駄目だ。」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。

 某初号機パイロットとも無関係に相違ない。

 当然、『剣』で捌く。が、それは『槍』の『穂先』だけを放ったものだった。

「おい! そりゃ何処の『スペツナズ・ナイフ』だよ!」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

 そして、がら空きになった胴体に、『槍』の『柄』……それも、先端をとがらせていた……が、腹部に、深々と突き刺さった。更に……

「…………げふぅっ……い……痛ってぇ…………これが、『フィードバック』かぁ……今度は、『銃剣突撃』か、『盾』で、防げばいいだけだろ……うおっ!」

 『銃剣』は、『盾』を貫いていた。

「そう言えば、『銃弾』が、食い込んだ所が、あったんだっけ……。」

 こうして、『銃剣』と『槍』が、腹部に突き刺さっていた。が、痛覚への対策は分かった。

「だが、これでいい……これで、全て僕の『予想シナリオ通り』だ!」


 * * * 



次回予告

第26話 デブリーフィング(2)戦闘を振り返る

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