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次の敵

 けたたましい警報音で、叩き起こされた。

「やれやれ……ゆっくり眠らせてくれないらしい。」

「起きているな! 敵襲だ。その部屋の赤い壁に、触れろ。心三。」

「副長……赤い……壁……ああ、これですね。」

 ベッドから降り、そこまで歩き、壁に左手をつける。すると……

「……壁に、穴があきました。ここに、入ればいいのですね。副長。」

「そうだ。入ったら、ケースがある。分かるな。心三。」

「……はい、ありました。で、ここで裸になれと言う事でしょうか、副長。」

「そうだ。それと、時間が無い。説明は、準備しながらになる。よく聞け。心三。」

「はい、聞いていますよ、副長。」

 服を脱ぎながら、説明を聞かされる。

「今回、出現したのは、『ナウスレーゼ』2機。場所も、米国ノースダコタ州。それと、インドセイロン島と、ばらばらだ。分かるな。心三。」

 いつも通り、ガス製の服を着用し、ヘルメットに変形する袋を被った。

「すると、地球上のほぼ正反対の位置に、なりますね。副長。」

「正解だ。さっき通った入り口から、外へ出ろ。心三。」

 言われた通り、パイロットスーツ姿で、入り口をくぐった。

「おや、操縦室になってます。しかも、ご丁寧に世界地図まで、準備済みですか。……すると、疑問が1つあります。何故、この2か所が、選ばれたのでしょうか、副長。」

 そう、反対にする理由は1つしかない。だが、例えば、日本の反対と言えば、ブラジルだ。その2か所を選ばなかった理由は、何だ。

「確かに、2か所を同時に責めれば、そこまで移動するだけで、時間を取られる。地球の反対側なら、尚の事だ。だが、インドが、選ばれたのには、理由がある。心三。」

 『ナウスレーゼ』の、外からの観測情報を確認しながら、続きを待つ。

「搭乗者の個人情報を『クラッキング』されない様、『欺瞞処置ぎまんしょち』が、施されている事は説明した。その『偽情報』が、『30代インド人男性』だった。心三。」

「おい! それは、お前らが、今回の事態を引き起こしたんだろ!」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「分かりました。つまり、『ガウスレーゼ』は、『敵』の『基地』が、インドにあると踏んで、今回の行動に移った。そう言う事ですね、副長。」

 成程、だが問題ない。むしろ、全て僕の『予想シナリオ通り』だ。


 * * * 



次回予告

第25話 次の敵~2対1

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