『現志力強化用椅子』
「何度もお世話になります。『治療装置』は、凄い効き目ですね、博士。」
「ういうい。そりゃ、おまいさんの『現志力』が、でかいからだぞ。心三。」
「その『現志力』って、どれくらいなのか、教えて下さい。博士。」
「それがな、難しいのだぞ。これを見てみるのだぞ。心三。」
「これは、ひょっとして、これは、前回の戦闘中に計測した僕の『現志力』ですか、博士。」
「そうだぞ。そして、変動が大きい。これは、おまいさんの『節約志向』が強い事が、原因なんだぞ。普段は、『省エネ』で、戦闘中に『膨大』な『現志力』を発揮したんだぞ。心三。」
「確かに……言われて見れば、そうですね。で、今日はどんな訓練をするのでしょう。博士。」
「これだぞ! 『現志力強化用椅子』!」
『ピカッ! ピコピコピコン』
アイテムを紹介する際に、効果音が聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某猫型ロボットとも無関係に相違ない。
「見覚えがある。要は、銭湯や温泉施設に、設置されている『マッサージチェア』だな。」
等と言う無駄口を叩かなかった。
「まぁ、座れや。座らんと、訓練にならないんだぞ。心三。」
「これ、座ると、手枷、足枷が、飛び出して、拘束するタイプの椅子ですね。」
等と言う無駄口を叩かなかった。そして、無言で座った。
「よし、座ったんだぞ。スイッチオン! だぞ。」
ガチャリ! そんな音がして、両手首、両足首を拘束された。
「……で、何時になったら、訓練を始めるんです、博士。」
「もう、始まってるんだぞ。今は、出力を1パーセントに、してるんだぞ。心三。」
「すると、これから出力を上げる訳ですか。痛いのは、やめて欲しいですよ。博士。」
「じゃ、あげるんだぞ! まずは、10パーセントからいってみよう。」
「…………これで、10%ですか……わずかに、身体が重い様な気がしますね、博士。」
「お! いける口か。じゃ、80パーセントにするんだぞ。心三。」
「なんだ! 某『筋力操作能力』の妖怪みたいな言い方は!」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
声が、出なかった。何を乗せられているのか、とにかく重い。呼吸したくても、肺を押さえ付けられているみたいだ。やめろ……やめてくれ……
「ん~~~~まだ、大丈夫そうだぞ。じゃ、90……。」
もうダメだ……
* * *
次回予告
第23話 爆発!
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