訓練 シミュレーター
「ついに、『シミュレーター』による訓練ですか、一等書記官。」
「ええぇ。ようやく、貴方の身体に調律できたのよぉ。心三くぅん。」
「で、今日の担当は、副長ではなく、一等書記官ですか。」
「そうよぉ。と言うか、あたし達、適材適所の精神で、行動してるんだけどぉ。昨日は副長が、代理でやって下さったのよぉ。心三くぅん。」
「そうですか、では、『シミュレーター』の使い方を、教えてもらえるんですね。」
「そうよぉ。じゃ、服脱いで、このケースに入れてねぇ。で、こっちのカプセルに入ってねぇ。心三くぅん。」
「また、男の裸か……いい加減うんざりだな。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
「またですか……。何故、使い捨てのパイロットスーツが、必要なのです、一等書記官。」
「あら、そう言えば、その説明が、未だでしたかぁ。これは、用途に応じて使い分けられていまぁす。今回のは、心三くぅんの『健康状態測定用』でぇす。」
「成程。では、昨晩着替えたパイロットスーツは、何の用途だったのでしょう、一等書記官。」
ここで、携帯型タッチパネルを操作する一等書記官だった。
「ええぇ……ああぁ……そうそう、昨日のは、心三くぅんの個人情報保護の為、『欺瞞処置』が、施されていましたぁ。心三くぅん。」
「! ……と、言う事は、『ガウスレーゼ』は、『ブラジオウ』に、『クラッキング』を仕掛けて、僕の個人情報を、『掠め取る《略奪》』つもりだと言う事ですか、一等書記官。」
「その通りぃ。勿論、多重構成防壁を施してありますぅ。念の為ですよぉ。心三くぅん。」
服を脱ぎ、全裸になる。服は、ケースに入れた。そして、一等書記官の視線を、避けるかの様に、指示通りケースに入る。
「はい、入りました。これでいいのですよね、一等書記官。」
機械を操作し、僕にガスを吹き付けた一等書記官。そして、昨晩同様のパイロットスーツに身を包んで、出てきた。
「ささぁ、『シミュレーター』は、これよぉ。早速中に入ってねぇ。心三くぅん。」
指示通り中に入る。操作方法は、脳に直接情報を、送り込む形式で、教えられた。
「成程、これはいわゆる『射的ゲーム』ですね。こうして、『撃つ』!」
『現志力』で、銃を作って、『現志力』の弾丸を放って、『標的』を撃破する。そして……
「制限時間経過でぇす。お疲れ様ぁ。成績を確認するので次の講義にでてねぇ。心三くぅん。」
成績なら言われなくても分かっている。が、これで『シミュレーター』訓練は、終わった。
* * *
次回予告
第21話 苦痛耐性訓練
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