デブリーフィング(1)
「では、これより『緊急デブリーフィング』を開催する。全員、準備はいいな。」
全員から大丈夫と返事が返る。『パローム人』は、食事や排泄を必要としないが、休眠の必要がある。だが、それも今や、1分間の『休眠』で、24時間活動可能にまで進化していた。
「では、ペーネル、今回の戦闘を如何に分析する。」
「はっ! 俺が思うに、やはり『身体能力』、取り分け、『反射神経』の欠如著しい! また、『戦闘技術』は、子供の喧嘩です。心三は、心技体全てを鍛え治すべきです。以上!」
「よし、ではプーロリア博士、貴君の意見を聞きたい。」
「ういうい。では、あたぁしゃから、これから話す事は、『青天の霹靂』だぞ。みんな心して確認して欲しいんだぞ。」
無言で、先を促す副長。全員が、『覚悟を決めた』貌になっている。
パネルを操作して、折れ線グラフを表示させた博士だった。
「……パネルを見て欲しいんだぞ。……この折れ線グラフは、心三の『現志力』を、戦闘中一定間隔で、計測し続けた物だぞ。」
「確かに、前評判通りの低水準だな。特に前半が。で、この急に上昇しているのは、何故だ。」
「それは、こっちの動画を見て欲しいんだぞ。『ナウスレーゼ』が、土煙の中背後に移動して、斬りかかるあたりから、伸び始め、『左腕』を『遠隔操作』している時が、最大値だぞ。」
「つまり、この時心三の『精神状態』が、『高揚』していた訳か。プーロリア博士。」
「そりゃ、あくまで仮説なんだぞ。……ボリメエちゃん。」
「はぁい、仮説を立ててみまぁした。」
「そうか、ならボリメエ一等書記官。説明しなさい。」
「で、その前に、グラフの『現志力』最大値ってぇ、あたしより高いでぇす。……恐らく、心三くぅんは、『思考』すれば、する程、『現志力』が高まる『傾向』があると思いまぁす。」
「ういうい。『思考』って、本来なら『常識』や『先入観』が、『想う力』を阻害するからって、『思考』より『感覚』を優先する事、これ定説なんだぞ。」
「そんな常識、今更……と、言いたい所だが、地球人には、常識が通じないのか。それとも……心三には、通じないのか。悩ましいな。」
「そこで、心三くぅんの頭脳、精神をより掘り下げて計測するべきだぁと、思いまぁす。」
ここで、全員の視線が、集中する。勿論、相手は長官だ。ややあって……
「ボリメエ、あなたの思う通りに、やりなさい。」
「はい、長官。」
全員の返事が、唱和し《ハモり》、これにて『緊急デブリーフィング』終了となった。
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次回予告
第20話 訓練 シミュレーター
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