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最初の敵~とどめ

「来た! 敵の斬撃! これを待ってたんだぁ!」

 ようやく、現在に戻る。五体投地の如く倒れ込む。頭上を通過したのは、確認するまでも無い。伏せたまま、回頭して敵の方へと向きを変える。何やら、雑音が五月蠅い。

「貫けぇっ!」

 その途端、『遠隔操作した左腕』が、円錐形へと変形しつつ高速回転。

 おりしも、『剣』を振り下ろし切った敵の顔面へと、クリーンヒットした。

 チュミミーン

 『円錐形へと変形し高速回転する左腕』が、発する歯科医のドリルの如き「チュイイーン」と言う音は、「チュミミーン」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。

 某奇妙な冒険とも無関係に相違ない。

 掘削し、奥へ奥へと、突き進む『円錐形高速回転左腕』を掴み取ろうと、四苦八苦する敵。

 だが……

「遂に、業を煮やしたな。全て僕の『予想シナリオ通り』だ。」

 『剣』を『円錐形高速回転左腕』へと向けたくれた敵だった。既に、立ち上がっている。

「これを待ってたんだぁ!」

 敵の右手首へと、ハイキックを、お見舞いした。

 自身が手にした『剣』が、自身の頭部へと、深々とめり込む形になった敵。

「未だだぁっ!」

 蹴った。蹴った。蹴った。何度も蹴った。まただ。また雑音が……

「……シ……しん……しんぞ!」

 『剣』が、敵の頭部を貫通するまで、蹴った。ん? これは……

「おや、副長。どうしました。」

「通信に出ろ! さっきから発信していたぞ! 心三!」

「副長は、『操縦は、身体で覚えろ。』そう、言いました。今、ようやく、通信の受信方法を、把握しかけてきました。で、何でしょう。」

 しゃあしゃあと嘘をつく。これくらいできなければ、この状況、生き抜けない。

「まったく、とんだ『初体験』だな。だが、そろそろ離れろ。そいつには、『自爆装置』が、備わっている可能性がある。聞いているのか! 心三!」

「戻れ! ……その『自爆装置』って、これの事ですよね、副長。」

 敵に食い込んだ左腕を戻し、左手に握った『装置』を、カメラ越しに副長に見せた。

「……まったく、とんだ『初体験』だな。正解だ。心三。よし! 状況終了だ。」


 * * * 



次回予告

第18話 反省会(1)

ご愛読ありがとうございます。

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