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逆回転の天使  作者: 佐藤戒
1/1

始まり

 サロシャットは閉口していた。まさか自分が五段に昇格できるとは思わなかったのだ。

「私がこんな光栄に預かれるとは……」

 遡ること五年前。サロシャットはソロチャットと言われ虐められていた。ソロチャットはソロのチャット、つまり独り言の意味だ。

「ああ、私はお終いだ……」サロシャットは言った。

 彼女は異端宗教の巫女の家系であり、神懸りの使い手だった。神の言葉を独語症的に語るため、異端であるがために、虐められた。

 彼女の宗教では、ワードボックスというゲームの勝敗によって占う儀式が行われていた。そのゲームは古典文学から引用した文を神力によって紙の上に表示し、動かすことで新たな物語を作り、紙面上の陣地を競うゲームだった。彼女たちボックス使いは古典文学をおよそ全部暗記していた。

 サロシャットは彼女の神社の巫女業に飽き飽きしていた。しかし、ワードボックスは宗教色を取り除いた一般向けのゲームとして流行していた。彼女は宗教が嫌いだったので、世間のワードボックスに熱中した。

 巫女だったから簡単に一般人を倒せた。巫女業に集中しない彼女を両親は嫌な目で見たが、彼女は気にしなかった。

 段位を獲得したサロシャットは、昇段試験を受けていた。

”憂鬱な友よ、お前は本や書き物のうえに姿をあらわしてくれた。”

 ファウストの引用だ。

 その時、サロシャットは五段に昇格した。

 それからはソロチャットとは呼ばれなくなった。

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