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0歳 -土の陰月3-

昼食後、久しぶりに三太郎さんたちと一緒に山歩きに出かけようとした私は、自分の背丈以上の積雪に自分の足で歩いて行くことを一瞬で諦めました。また屋内は床にも壁にも温水が通っている為に一日の平均室温が23度前後になっていて、おかげで袖無しのドーリス式キトンでも問題なかったのですが、外に出れば当然その限りではなく。


(自分用の防寒具も作っておくんだった……)


と思っても後の祭りです。母上と(つるばみ)には羽毛をつめ、更には内ポケットを作って温石や「保温」の技能を籠めた霊石を入れられるようにした外套をつくってあるのですが、まだまだ小さい子供の兄上と私が大量の雪が積もっている外に出る事はそうそう無いだろうという甘い予測の元、子供用防寒具は後回しにしてしまっていたんですよね。失敗したなぁ……。


仕方がないので母上たちが作った布を少し借りて、それをマントのように自分に巻きつけてから桃さんに抱っこしてもらう事にしました。まるでミノムシのようで、可愛さの欠片も無い姿だけど気にしたら負けです。凍傷か可愛さかを選べと言われたら、両立できないなら凍傷にならない方を選びます。


桃さんの体温は赤ん坊の私と比べても少し高めで、寒い日に抱っこされるとそれだけでポカポカなのです。それに加えて、なんというか桃さんの周りにはうっすらと暖かい空気の層のようなモノがあるのです。三太郎さん曰く、それが精霊力が漏れ出ている状態らしいのですが、三太郎さんの中でも桃さんだけはそれを完全に消す事が出来ないらしく。まだまだ精霊力のコントロールが完全に出来ていない証左なのだとか。


そんな桃さんは室内で「保温」技能を使って、自分の周りに暖かい空気の層を追加で作ってくれました。これで長時間は無理かもしれませんが、外に出ても暖かい空気の層が「保温」で保たれて凍えなくて済みます。





そうやって雪深い山で何か珍しいモノや目ぼしい物が無いかと探し続け、ようやく見つけたのがツタとは呼べない、呼びたくない木のようなツタでした。


この世界に来て何度も何度も数えきれない程に思ったり言ったりしたこの言葉。


お前は〇〇じゃない


私が見知っている物とはサイズが違ったり、色が違ったりするこの世界の品々。それを目にするたびに思わず口から出ていた言葉ですが、その言葉をお行儀が悪いけれど指を突きつけてビシッと言ってやります。


おまーはうたらない!(お前はツタじゃない!)


私の知っているツタは壁面で蔓を這わせたり葉を広げたりしている定番のモノですが、そのツタ本体の太さはせいぜい直径数センチといったところで、細い所で叔父上のムキッと力を入れた腕の太さ程あったり、下手すれば母上のウエスト以上のサイズだったりはしません。これではツタではなく普通の樹木です。


「コレから甘いモノがとれるのですか?」


そう首を傾げて聞いてくる浦さんですが、私だってうろ覚えの知識しかないので返答に困ります。確か甘葛煎(あまづらせん)を再現したというニュースでやっていたのは、採取したツタの切り口の片方に自転車のタイヤチューブを繋いで空気入れで空気を送り込んで、反対側の切り口へ樹液を送り出して採取みたいな感じだったと思うのです。でもこの世界には自転車のタイヤチューブも空気入れも無いですし、そもそもこんなに太いツタでもその方法で採取できるのかも解りません。


そういえば樹液が原料の甘味料といえば、甘葛煎よりも遥かに知名度が高いメープルシロップがあります。メープルシロップの原料といえば和名を砂糖楓という楓の木の樹液ですが、確か金属製のストローというかパイプのようなものを幹に突き刺して樹液を採取していたはずです。なぜ「はず」なのかは実際に見た訳ではなく、昔やったゲームでそうだったからという何とも怪しい知識なのですが……。


このツタのサイズだと、甘葛煎の採取の仕方よりもメープルシロップの採取の仕方を試した方が良いかもしれません。


<金さん、このツタというか木に小さな穴を開ける事ってできる?

 だいたい桃さんの指の太さで長さもそれぐらいの>


<石や金属ならば兎も角、

 生きている立木に穴を開けるような技能は持っておらんな>


<そうかぁ……。となると、その道具作りからかなぁ>


木の幹にパイプを差し込むにしても、まずはドリルで穴をあけなくてはなりません。電動ドリルは無理でも手回しドリルなら再現できそうなので、それを作って……


と考えていたら


「なんだよ、今 食べれないのかよー」


と桃さんのぼやきがすぐ横から聞こえました。そう言われても出かける前に考えていた手順では、ツタを採取した後の作業は全て拠点でするつもりだったので、ツタを切る用の刃物以外の道具は持ってきていないのです。


そもそも甘葛煎と同じ作り方を選んだとしても、ツタを採取して終わりではありません。そこから加工する事を考えたら今日中に食べられたらラッキーぐらいの時間じゃないかと思うのですが……。


<とりあえず樹液を採取するための簡易的な道具を作りに戻る事は確定で。

 桃さんが喜びそうな物は後で何か作るよ、それで許して>


「しょうがねぇなぁ……。約束だからなっ!」


ここでごねても仕方がないという事は桃さんも理解してくれているので、交換条件にはすんなりと乗ってくれるのが救いです。


しかし、今ある材料で何が作れるのか……かなり悩みます。無の月を乗り越える為の貯蔵にはあまり手を付けたくないですし。





一旦、拠点へと戻ってから作業小屋で私が作ってほしいものを金さんにお願いします。そんなに頻繁に使う事も無いと思うので、手回しドリルは丁字型の一番簡素な物をお願いしました。金属で、尚且つ単純な構造なら金さんの「成形」で作る事が出来るので本当に助かります。


幹に差し込むパイプも複雑な構造は一切無い単なる管で作ってもらいました。まだ樹液がちゃんと採取できるかもわからないので、簡易版で十分です。


後は地味に毎日毎日作り続けている保存用の琺瑯(ほーろー)鍋というか容器。お酢やお酒、塩漬けにした食品などなど、調理以外でも琺瑯製を使いたいモノが幾つもあるので、金さんと桃さんの共同作業は毎日1個ずつのペースで今も続いています。


おかげで貯蔵庫を新たに作る事になってしまいました。しかもお酒用、お酢用、食品用と用途に別けて幾つも作ってあります。今はまだそれぞれの蔵は半分どころか四分の一程しか埋まっていませんが、来年はそこを一杯に埋めてから無の月を迎えたいところです。


その琺瑯の容器に樹液を溜めれば、そのまま保存ができるので便利じゃないかなと琺瑯容器も持って行く事にしました。



さて、金さんに金属の加工をお願いしている間に、私は桃さんと約束した「美味しい何か」を考えなくてはなりません。とは言っても母上たちが用意した無の月用の貯蔵品に手を付けるのは気が引けます。


ただ、お菓子などの間食としてではなく、ちゃんとした食事にしてしまえば……。

1食は1食ですしね。うん、その方向で行きましょう。



ちなみに三太郎さんたちも一緒に食事をすることによって過剰に減ってしまう食料は、三太郎さんたち自身の手によって補充されています。


金さんは主に山に残っている恵みを。

最近は土の陰月も終わりになってきたので流石に量は減りましたが、1旬間程前ならば結構な量の木の実を始めとした山の恵みを持ってきてくれていました。お酒や酢の材料となる林檎や、柚子モドキなんかも金さんが持ってきてくれています。他にも土の中に埋まっている恵みを見つける事も上手なので、百合根を始めとした食べられる根っこ類も持ってきてくれています。中でも百合根は栄養価が高く、母上たちも大喜びでした。なので長期的に、そして簡単に採取ができるように、採取した際には鱗片の一部を拠点の庭というか畑予定地?に埋めてもらって来年は拠点で採取できるようにしています。


浦さんは主に湖や川の恵みを。

湖に厚い氷が張るようになってからは量は減りましたが、それまでは湖でとれる例の巨大すぎるハマグリや、鮭によく似た……そして案の定体長2m強という巨大な魚をメインに色々と持ってきてくれていました。一部は干物にしたかったのですが、干物にするにはやはり塩は不可欠で断念せざるを得ませんでした。塩の確保は常に頭を悩ませる問題です。


桃さんは土の極日の頃には鳥獣を獲ってきてくれていたのですが、叔父上たちと違って獲物の解体を面倒くさがってしてくれず。しょうがなく魚を捌くついでだと引き受けてくれていた浦さんが我慢の限界がきてキレてしまい、それ以降はアケビモドキを沢山取ってきてくれるようになりました。またそれから油を作る作業も率先してやってくれています。食材の補充という意味ではアウトですが、油も大事なので役割分担という事でみんな納得しています。





金さんが完成させてくれた丁字型のドリルとパイプ、琺瑯容器を持って再び先ほどのツタモドキの所へ戻ってきました。太いツタと細めのツタ、どちらが採取に適しているのか解らないので、太さ以外にも日当たりだったり条件が違う幾つかのツタに順番に穴をあけてパイプを差し込むことにしました。


金さんにお願いしてドリルをグリグリグリグリと回して木に穴をあけ、一度様子見で戻してみると、ドリルに付着していたオガクズが湿り気を帯びています。


「これ、いけうんらない(いけるんじゃない)?」


思わずワクワクドキドキとその穴を注視してしまいます。再びドリルを幹へと戻し、もう少し深く穴を開けてからパイプを押し込み、ついでに傍にあった石で叩き込むとパイプの先端からトロ―リと雫が滴ってきました。


「やったっっ!!!!」


思わず私を抱っこしてくれている桃さんとハイタッチします。

しかもポタリ……ポタリ……といった少量が滲むような感じではなく、ツツツーとうどんより少し細いぐらいの紐が垂れ下がっている感じに流れてきます。


「後はこれを数カ所設置すれば良いのですね」


いつもより少しテンションが高めの浦さんが、目をキラキラさせながら琺瑯容器をパイプの下に設置してくれました。桃さんと同じぐらいに浦さんも甘い物が好きだから、ウキウキしてしまう気持ちもよーーく解ります。



その後、持ってきた琺瑯容器4つを全て設置してから拠点へと戻りました。どれぐらいの時間で容器いっぱいになるか分からないので、時々三太郎さんの誰かに確認に行ってもらわないとなぁと思いつつ、私は晩御飯の用意にかかります。正確には私がやってほしい事をお願いして母上と橡が作るという事になるのですが、その前に材料の確認と下準備だけはしておかねば。





まずは橡にお願いして1食分のお米を貰います。最近ではこの黒いお米も見慣れてきました。最初はこの色に違和感が凄かったんですけどね。


金さんは拠点の整備作業に、桃さんも油の抽出作業と樹液の様子見にと忙しいので、浦さんと一緒に準備を進めます。川沿いには洗濯をするための水車小屋があるのですが、実は水車小屋はそれ1つではありません。洗濯用の水車小屋は比較的下流の方にあり、最上流には食品を加工するための水車小屋、それより下には貝殻などの食品ではない物を加工する水車小屋があります。それぞれ小屋の中には水車を動力とした杵で搗く(つく)タイプの臼と、回転して粉に挽くタイプの臼があり、今回使うのは粉に挽く方です。


<まずはお米を粉にして……>


万が一の間違いがあっては嫌なので、心話でしっかりと浦さんと意思疎通を計ります。私は危ないからと近づくことが禁止されているので、浦さんにお願いしてお米を投入してもらい粉にしました。お米の状態だとまっ黒なのに、粉にすると少しだけ黒味が抑えられて濃い灰色という感じの色になるのが不思議です。


それを塩とお水で練って……まとまらず。おかしいなぁ、小学校でキャンプをした時に作ったうどんはこれでいけたと思ったんだけど……と首を傾げながらも続行するのですが、結局ダメでした。米粉と小麦粉の違いでしょうか……。


浦さんからもこれ以上練る前に、打開策を考えてほしいと言われてしまいました。うんうん唸りながら悩んで思いついたのが、金さんがとってきてくれて現在は雪室の中に保存してある百合根です。あれからでんぷんを作ってつなぎにすればいけるかも……。


善は急げと浦さんに百合根をとってきてもらっている間に、小学校の頃にやったジャガイモからでんぷんを取り出す実験を思い出します。そんな事をしている間に台所でガタガタやっている私達を不思議に思ったのか、母上や橡や兄上が見に来ました。そして戻ってきた浦さんから百合根を受け取って、みんなが見ている前でおろし金にスタンバイっ!


「お嬢ちゃま、私がやりましょうか?」


と心配そうに提案してくれる橡に「だいよーぶ」と返し、百合根をすり下ろそうとして力を込めた最初のひとすり。そのひとすりで自分の指をザリッとすりおろしてしまいました。痛いっっっっ!!!!


結局涙目になりながら橡に代わってもらいました。うん、赤ん坊には無理……っていうか百合根はすり下ろし辛いです。なので橡にはおろし金ですり下ろすのではなく、すり鉢ですってもらう事にしました。


すり終わった百合根を布に包んで水に晒して揉みまくります。これには兄上も参加したそうにしていたので、中身が出てしまわないように布をしっかりと橡に抑えてもらって私と兄上の二人でモミモミとしました。


「さくら これ たのしーねっ」


と笑顔の兄上に私も笑顔で返事を返します。確かにコレ感触が面白いです。



そうやって出来た白濁した水の中にはでんぷんが混じっているので、後は沈殿させて乾燥させれば百合根でんぷんの完成です。本来ならその工程を時間をかけてするのですが、今日は晩御飯に使いたいので浦さんにお願いして技能「沈殿」を使ってもらいます。


そうして作ったでんぷんを米粉生地に混ぜてつなぎにし、ようやくうどん生地らしくなりました。





その日の夜ご飯は真っ黒いうどんに、叔父上たちが作っておいてくれた雁もどきのお肉の塩漬け、更には三太郎さんがとってきておいてくれた貝柱や根菜がたっぷり入った煮込みうどんになりました。味付けは味噌なのですが、これはこれで美味しいです。


「お米にこのような食べ方があるなんて……驚きましたわ」


と言うのは母上。この世界にも麺自体はあるのですが、母上たちの知っている麺は全て小麦粉で作る物なんだそうです。そもそもお米を粉にするという発想がこの世界の人には無いらしく、米は米として蒸しておこわで食べるかお粥で食べるかするものという認識なんだとか。ちなみに小麦の主な産地はヒノモトの方で、麺も主にヒノモトで食べられているそうです。


「いろんな具材の美味しさが溶けあって、おつゆもとても美味しいです」


とおつゆだけをおかわりしそうな勢いの橡。兄上は自分も手伝ったのだという事を何度も誇らしげに、そして嬉しそうに話しながら二杯目もあっという間に完食してしまいました。どうやら気に入ってくれたようです。


そして無言で食べ続ける三太郎さん。


<桃さん、これで約束は果たせた?>


こっそりと心話を桃さんに飛ばしてみれば、箸すら止めずに「おう!」と短い返事が帰ってきたのでした。


ちなみに、せっかく作った初の麺類でしたが、私のお椀の中のうどんは細かく切り刻まれていてショックです。ですが小さい子供にはこうしないと駄目なんでしょうね。それを木製の匙で母上に食べさせてもらう私でした。





そんな食事の間も、台所ではコトコトと琺瑯の容器が竈で火にかけられています。桃さんが食事の少し前に樹液を持ち帰ってきたのです。


<えっ!? もう溜まったの?>


と聞いたら、それぞれの容器の中身を一つに集めたら、琺瑯容器の半分ぐらいにはなったのだとか。いや、半分って……ってツッコミたかったんだけど、気になるのは私も同じなので、桃さんはしょうがないなぁなんて言いつつニコニコと琺瑯容器の中を覗いてみます。


「あれ? みじゅ()みたい……」


ところが中にはほぼ無色透明の液体が入っているだけで、メープルシロップ特有のあの香りだとかとろみだとか色味は一切ありません。指を洗ってからちょっとすくって舐めてみたのですが、やはりほんのり甘い……かも??というぐらいで、甘味料として使えるようなものではありませんでした。


がーーーーーーーん、失敗かっ!!!


とショックのあまり、最近は滅多にとらなくなったハイハイポーズをとってしまう私なのでした。


(いや、待って……。甘葛煎だよ、甘葛煎。

 煎っていう文字は水分を飛ばすという意味があったはず。

 っていう事はこの状態から水分を飛ばす、つまり煮詰めろって事かっ!)


って事に気付いて、晩御飯の準備が終わって使わなくなった竈でコトコトと煮詰めることにしたのです。いきなり全量を煮詰めて失敗したら勿体ないので、まずは少量から。


母上たちや三太郎さんが交代でアクをとりながらかき混ぜて煮詰めているうちに、私は流石に眠くてウツラウツラとし始めてしまいました。時折身体をビクッと震わせては慌てて様子を確認します。そんな様子に母上たちから


「ちゃんと御帳台で寝なさい」


と注意されてしまうのですが、甘葛煎の状態が気になって眠れる訳がありません。



いや、時々意識が飛んじゃっているんだけどね。





元々少なかった樹液がどんどんと量を減らし、少しとろみが出てきたところで一度火からおろして皆で味見をしました。この時点で容器の底に1センチぐらいしか残っていません。


熱々のソレを小さなお皿に少し移して、冷めた頃合いを見計らって皆で指につけて舐めてみました。


「「「「っっっあまっっっ!!」」」」


皆して同じような言葉を口にして目を丸くしてしまいます。この世界のツタで作られた甘葛煎は、メープルシロップのような色も独特の芳香もないのですが、逆に色んな食材と合わせる事ができそうです。また試行錯誤しなくてはならないモノが増えました。


「すっげーなっ、これっ! 滅茶苦茶甘ぇ!」


と桃さんが嬉しそうに、お皿に残っていた甘葛煎をもう一掬いしようとします。その手を浦さんがペチリと叩いてから


「これは驚きの甘さですね、まさかアレがこんなに甘くなるとは……」


と、甘いもの好き二人からは好評のようです。


「甘いものが少し苦手な我ではあるが、確かにこれは……」


金さんはどちらかと言えばお酒とツマミが好きなタイプで、甘いモノはそれ程得意ではないようなのですが、初めての甘さには驚いた様子。


「これっ、じゃんじゃん作ろうぜっ!」


三太郎さんが大盛り上がりしている中、橡や母上たちも


「天都でもこのような甘味はなかなか食べられませんのに……」


「お砂糖はヒノモトが製法も原料も秘匿する高級嗜好品ですものね。

 華族の中でも裕福な人たちでないとなかなか……」


「とってもあまいのですっ! ぼく、これすきです!!」


と、皆して目をキラキラさせながら甘葛煎の甘さを味わってくれています。私としては前世の様々な甘さを知っているだけに、これも後もう少し煮詰めればもっと甘くできそうだと思ってしまうのですが、それでも久しぶりに感じる甘さに、何より皆の楽しそうな様子にテンションが急上昇&限界突破してしまう勢いです。




ふと、みんなを見渡せば あぁ、みんなが笑顔だ


嬉しいな……。みんなと一緒に笑顔になれて嬉しいな……





そんな事を思いながらも睡魔に負けた私は、

翌日、上がり過ぎたテンションの所為で高熱を出す羽目になったのでした。


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