第3話 異世界って世知辛い
遅れました。本当にすいません。 評価ありがとうございます。
翌朝、鬱陶しいほどの太陽の光で目を覚ますと目の前に筋肉の盛り上がった男がいた。
「困るんだよね。そこで寝てると。あんた、ささっとどっか行ってくれないかな。」
そう言った男の顔は見るからに不機嫌そうだ。見た目もかなり強そうである。ここは、ささっと離れた方が吉だろう。
「すいません。まさか、迷惑をかけていたんなんて本当にすいません。」
平謝りしたからかどうか知らないが、相手の顔から怒りが少し消えたように見えた。すると、男はいきなり名乗りだした。
「俺の名は、グレゴール・ドス。この村の自衛団の一員だ。あんた、この村に用があんのか?」
そう言うと、オレの体を舐め回すように見えた。
「あ、はい。ここで、冒険者としての手続きをしたいのです。」
オレがそう言うと、ドスは驚いた顔をしたあと、哀れむような目でオレを見た。
「おいおい、冗談はよせよ。その歳で冒険者を目指すとか夢みすぎだぜあんた。どう見ても20歳超えてるだろう。オレも10代の時若気の至りで、冒険者を目指したが流石にその歳で冒険者はやめた方がいいよ。もしかして、何かすごい力でも持ってんのか。」
「いいえ、大してそれと言う力は持っていません。」
「だろう、やぱっりな。」
そう言ってオレの肩を叩いた。しかし、そう言われたところで、オレが何かこの世界でできることは少ない。なので、やはり初めは冒険者がいいだろう。
「でも、やっぱり冒険者を目指したいんです。」
ドスは、また驚いた顔をしたが、すぐに笑い始めた。
「ワッハッハ。そうか、あんたは、最高の大馬鹿もんだ。少年の心大人になっても忘れないってか。おもしれー。わかった、手続きできる所はこの道をまっすぐ行って3つ目の角を曲がって奥にあるよ。」
親切な事に言葉と手を使って道を教えてくれた。
「あ、ありがとうございます。」
頭を下げながらいうと、ドスは、また笑い始めた。
「ワッハッハ。まぁ、頑張れや。もしダメでもこの村には畑がたくさんある。夢を諦めたら、そこで雇ってもらえばいい。」
そう言って彼は、その場から立ち去った。 この歳で、冒険者への再就職は難しいらしい。 オレが、この状況に打ち拉がっていると佐藤が目を覚ました。
「おはようございます。てっ、どうしたんですか先輩、なんでゲッソリなんかしているんですか。 今から、冒険者として新しい人生がスタートするんですよ。そんな顔していると、この先が、危ぶまれますよ。」
「何が、この先が危ぶまれますよだ。もう、この時点で危ぶまれてんだよ。」
オレが、吐き捨てるようにいうと、佐藤は目を丸くした。驚いているようだ。
「そんな、怒らないでくださいよ。なんで怒ってるんですか。僕が寝ているときになんかあったのですか。」
「思いっきりあったよ!さっそく冒険者否定されちゃったよ。 畑の仕事紹介されたし、どうすりゃいいんだよ。」
オレが、半ばキレながらいうと、佐藤は何故か安堵したようだ。
「なんだ、そんなことですか。僕はてっきり、モンスターがこの近くに現れたのだと思いましたよ。というか、そんなこと気にしちゃこのさき生きていけませんよ先輩。もし何かあっても僕がいるんで大丈夫ですよ。」
そういう、佐藤の顔は何故か誇らしそうだった。 どっからその自信は湧き出るんだこいつ。
「いやいや、歳はかなり重要でしょ。それに、おまえ使えないじゃん。」
オレがそう言うと、佐藤は心外そうな顔をした。
「何言ってるんすか。僕、飛べますよ。」
「他には、」
「え。」
「だから、他には何かあんのって聞いてるの。」
「愛嬌 健気 愛しさ です。」
「誰も、そんなのおまえに求めていねーよ!」
本当こいつは、オレがなにを求めてると思ってんだ。全く、理解に苦しむ奴だ。
「確かに、僕はあまり使えません。しかし、先輩の手助けはできます。それに、いくつになっても夢を持つことは恥ずかしくありませんよ。」
いや、別に冒険者は夢ではないよ。消去法だよ。
「だから、一緒に冒険者にいや、エリート冒険者になりましょう。」
そう言う佐藤は、何故か頼もしく思えた。確かに佐藤のいう通りだ。ここで、落ち込んでいても未来はない。
オレは、佐藤と共に冒険者になることを決意した。
ドスに言われたとおり、行くと大きな建物が奥に見えた。オレと佐藤は、思わず走ってしまった。
大人げないな。しかし、仕方ないと思う。一応、消去法で選んだ冒険者だが、楽しみにしている所も少なからずあるのだ。いよいよ、オレの冒険者生活がスタートする。
到着すると大きな看板があった。そこにはデカデカと大きな文字で
《冒険者を目指す者 18歳以下とする。》
と記されていた。
「オレ、冒険者なれねーじゃん。」
これからどうなるのでしょう。僕にもわかりません。
次話は、水曜日に書きます。