第0章 24時間いや3日戦えます。
いつからだろうかサービス残業を苦しいと思わなくなってしまったのは。オレの名は松本晃。そこらにたくさんいる32歳の量産型のサラリーマンである。今オレは、仲間たちと共にある記録に挑戦しているまっさい中だ。それは、飼い慣らされた社畜はいったい何日間仕事ができるのかといったものだ。この考えはもともと佐藤の考えで、先週の飲み会での彼の発言が元となっている。いま考えると、あの場にいたオレたちは変なテンションだったため、オレを含める皆がこの考えに賛同してしまったのかもしれない。さらに佐藤とその仲間たちはその場で会社に電話し、今回の企画に挑戦することを告げてしまったのである。よってこの企画は会社側で認められ特別室も用意され、成功したあかつきには夏のボーナスが3倍になることが約束された。
現在の時刻は11時で、二日目と23時間経過している。生き残って仕事をしているのはこのオレ一人だけである。この企画に参加した5人のうち小林と竹下の二人が1日目で脱落、橋本は二日目で脱落してしまった。佐藤は5時間前まで粘っていたが夜食に食べた納豆が当たってしまい脱落してしまった。彼は倒れるまで腐った発酵製品の危険さを熱弁していたのが印象に残っている。こうして回想にふけているうちにもう11時59分である。任されている仕事も終わっているので後はゆっくりと待つだけである。そうしているうちにちょっと眠たくなってしまた。いけないいけない実にいけない。オレとしたことがここで眠っては全てがパーである。
「コーヒーでも飲もう」かといって机に突っ伏したのと長針が12時を指したのは同時であった。
佐藤も多分転生します。