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化け物から人へ  作者: 朝風由紀奈
1/3

何故、完全な人ではなかったんだろう

何故、自分は人ではなく化け物に生まれたの?

人であったなら、愛を永遠に手に入れれたのに。手放さなくてすんだのに。

ああ、人になりたい。今度はきちんとした人に。


   ※     ※


チチッと鳥が鳴く声で蒼葉遠夜は目を覚ました。隣では片割れの十夜がまだ眠っていた。

自分が先に起きるなんて珍しいなと思う。前世では、よく早起きしたり寝れなかったりしていたけど。

今では安心して遅くまで寝ていることが多い。だから、珍しい。

時間は何時かなと時計を見れば六時半だった。いつもより一時間早い起床。

ふわぁとあくびをして遠夜は、片割れを起こさないようにベッドから出た。きっと、早く起きたのはあの夢のせいだ。

忌々しい前世の夢。二度と思い出しくなんかなかったのに。

遠夜の性格に合わず思わず舌打ちをしそうになる。それぐらい嫌だ。

絶対前世で自分を裏切った人には会うもんか。

自室からリビングに移動する。ここは、寮の部屋で二部屋とリビングとキッチンがある。遠夜は、キッチンに向かいココアを入れた。

テロンとスマホが鳴った。誰だろうと思えば六番目の兄戸羽からだった。

「久々に食堂で食べてる」と画像付きのメールが送られてきた。そう言えば戸羽兄、最近退院したばっかだったなと遠夜は思った。

病院食以外の食事は彼にとってはごちそうなんだろう。

遠夜は「後で、十夜と行くね」メールを返して出来上がったココアを冷ましながら飲む。

カチャッとドアの開く音がして、遠夜はそちらに視線をやった。十夜が目をこすりながら、遠夜に「おはよ。早いな」そう言って柔らかく笑った。

「うん。ちょっと、いやな夢を見ちゃって」

十夜に前世のことは話していない。話せるわけない。信じてもらえるか分からないから。

本当に自分が夢見たものは、前世なのか。それすらあやふやだから。

「大丈夫か?」

「大丈夫。あ、戸羽兄がね食堂にいるって」

「支度して行くか」

うん、と遠夜は返した。マグカップを洗って二人で洗面台に。顔を洗って歯を磨いて。

寝巻から制服に着替え外に出る。ドアのカギを閉め二人は並んで食堂に向かった。

今日なに食べようねーなどと他愛ない話をしていると、一階の食堂に早々に着いた。まだ比較的早い時間。戸羽兄はと探していると「遠夜、十夜。おはよう」後ろから声がかかった。

誰だろうと思いくるりと後ろを振り向くと保険医の麻弥瀬那だった。

「今日は早いな」

「おはよう、瀬那兄さん。うん、ちょっとね」

「遠夜は戸羽と似て身体弱いんだから気を付けろよ? もちろん、十夜もな」

「分かっている」

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