表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸せに暮らしましたとさ  作者: シーグリーン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/216

難しい本は眠くなる




 チカチカさんとの、主に私発信の一方的なおしゃべりが落ち着いた頃、みんなが部屋に入ってきた。



 それぞれ巨大ベットの上でもふもふしている。

 もふもふがもふもふしている。



 まったりしているエンの所に転がっていきお腹に顔を埋める。

 あったかくてふかふかで気持ち良い。

 エンの背中を借り、体をそらし伸びをするとまた気持ちが良い。



 みんなもじわじわとこちらに近付いてきているのを見て、チカチカさんに聞きたかった事を思い出した。



「チカチカさん、街の人からの贈り物を受け取ってたのってもしかしてチカチカさんの意思がからんでますか」



 チカチカ



「やっぱりそうなんだ~」



 今度はナナの甲羅をかりて、体を反らしながらその理由を考えるが思い浮かばない。




「チカチカさんとみんなみたいに話せればいいのにな~」



 チカチカチカチカッ!



「えっ! なになに、話せるんですか!?」



 がばりと体を起こしてチカチカさんに聞くと、レインボー高速が。


 今日はレインボー大盤振る舞いだ。



「そういや……、私のレベルアップはほどんど無いけど、ゼロでは無いですよね?」



 チカチカッ!



「じゃあ、レベルが上がったり髪がたくさん白くなればチカチカさんと話せるようになるとか?」



 チカチカッ!



「やったー!!」



 これ以上のイージーモードが存在したとは。

 なんでも聞いちゃえば良いんだよ。わざわざ苦労する事なんてないんだよ。



 わっしょいわっしょいと、キイロを空中に放り投げてはキャッチしまた放り投げるという事を繰り返しながら喜んでいると、ダクスとロイヤルが順番待ちのように並んで待っていた。



「2人の重さだと腕傷めそうなんだけど……」



 やんわりと断ると、落としてくれるだけでいいという無茶な遊びの誘いをされた。



「ロイヤルはともかく、ダクスは足が短いんだからお腹強打するよ」


「キャキャンッ!」



 ダクスが騒がしいので、試しに持ち上げてみて低めの位置でぽいっとベットに落としてみる。

 案の定べちゃっと着地したが本人は楽しそう。

 何が楽しいの……?


 ロイヤルの場合部屋の天井が高めなので力を込めて上空に放り投げてみると、高飛び込みのような回転を挟みながら着地を決めた。



「なんかそれ楽しそう。……マッチャ、ちょっと私も放り投げてみて」



 念の為干していた布団も重ねて、さらにふかふかにしておく。



「よし。お願い」



 そう言ってマッチャに抱き着く。

 そのままポンと軽く投げられたのだが思ったより高い。



「わっ!」



 回転なんて挟む間もなくベッドに着地。

 着地は、偶然柔道の受け身みたいになった。



「……受け身楽しい」



 なんちゃって受け身だが、ぼふんっとやるのなんか楽しい。




 その後はみんなも巻き込んでひたすら受け身ごっこをする時間に。


 ダクスはただ単に、横腹からべっちゃっとなってるだけなんだけど楽しそう。

 後半はマッチャに巴投げをしてもらってベッドを十分に堪能した。





「あ~いい運動した。お風呂入ろっかな~」



 温泉ではなく洗濯をさぼっていたのを思い出し木の滝に行こうとしたが、めんどくさいので後回しにする。

 しかも石鹸も注文するの忘れた。メモしておかないとだめだ。



 ひとまずテラスで素っ裸になりロイヤルにバシャっとやってもらった。

 どんどん開放的な性格になっているかもしれない。



 その辺のシーツで適当に拭いて服を着て、またごろごろ再開。

 マッチャがタオルで髪を乾かしてくれるのに身を任せながら、チカチカさんに聞こうとしていた事って何だっけと考える。柔道ごっこで色々記憶が……。




「えーっと、レベルが上がればチカチカさんと今よりもっと話せるようになるからエネルギーをたくさん集めて――。そうだ、感謝の気持の話だ。……チカチカさん、少し思い付いたのが『偶像崇拝方式』なんですけど……。島の石とかを感謝の気持ちを伝える対象として――」



 街の人の感謝の気持ちを私にではなく、神の象徴となるものに伝えてもらうのだ。

 とんでもない価値の虹色の岩とかご利益ありそうだし。

 船に設置して海に浮かべて置いておけば盗難の心配もない。

 ボスに船をひっくり返されてびしょ濡れの刑を受ける事になるだけだ。あとリアル島流し。




「――こういう偶像崇拝方式どうですかね?」



 チカチカさんに提案してみると、少し間があった後ゆっくりと点滅してくれた。



「あれ? 70点くらい?」



 チカチカ



「あと30点分はなんだ……? ……ああ、もしかして神の使い設定ですか?」



 チカチカチカチカッ!



 嬉しい。褒められた気分。




「ええっと、じゃあ神の使いとして街の人達の要望通り顔見せした方がいいって事ですか」



 チカチカッ!



「顔見せと偶像崇拝をコラボする感じ?」



 チカチカチカチカッ!




 ものすごくレインボー。

 そっかあ。チカチカさんとしては顔見せして欲しいのか~。帽子を取るつもりはないけどね。

 その時、ふと閃いた事があった。



「顔見せの方がエネルギー集まりますか」



 チカチカッ!



 正解だった。

 チカチカさんと早く話せるならその方がいい。

 覚悟を決めて感謝の気持ちとやらを受け止めよう。




「ナナ、ごめんお願いがあるんだけど……。虹色鉱石でこの巨木の形みたいなオブジェ作れる? 両手で抱えるくらいの大きさで、これくらいの高さのやつ」



 身振り手振りでナナにサイズを伝える。


 大まかな方針が決まったのでさっそく準備を始めないと。



「コフッ」



 ナナはさっそくオブジェを作りに行ってくれるようだ。

 運ぶ係でマッチャも。力持ちさん。



「2人ともありがとね。お昼ご飯用意して待ってる」



 しっかり抱き着いてから2人を送り出す。



「さあ、お昼ご飯の準備しよう」








 キッチンに下りてハーブティーを作っている時に、食物の種も注文し忘れている事に気づいた。

 農業エリアも、ちょっとハーブを植え替えてみただけで後は放置している。



 いいタイミングなのでメモに書いておく。飽きっぽくてもいいじゃない。

 天然インクは使っていないのでタツフグはもはやだたのペットみたいになっているんだよな~。

 大事に育てよう。



 もらった歴史関係の本を読みながら準備を進める。

 クダヤの街の歴史はなんとなくわかったが要点をまとめたダイジェスト版があればいいな。









「コフッ」



 テーブルでうとうとしていると2人が帰ってきたようだ。



「お帰り。おお~綺麗でかっこいい!」



 マッチャが抱きかかえている巨木のオブジェ。すごく神の神秘感だしてる。



「ねえ、ナナ。今すぐじゃなくていいんだけど、私もこれの小さいバージョンを本棚に飾りたいからひとつ作ってもらっていい?」



 自分でも欲しくなったのでナナにお願いすると、快く引き受けてくれた。



「あ、みんなの形のオブジェも! ……ついでだから夕方洗濯に行く時にみんなで行こうか」



 そうみんなに伝えるとみんなも喜んでいた。

 マッチャとナナはまた行く事になってごめんね。






 みんなでお昼ご飯をわいわいと楽しく食べて2階の巨大ベットに戻る。

 食べた後だからこそ横になりたい。



「チカチカさん、そういや私って太ったりしますか? 鏡で見る限り変わってないんですけど……」



 …………



「そのまま地球に戻るんだからまあそうですよね。じゃあ鍛えても筋肉とかつかないし痩せない?」



 チカチカッ



 そっか~。肉体強化にほんの少しだけ憧れがあるが、すぐ挫折しそうなので問題なし。




 そのままモソモソと寝転がり布団を被る。

 今度は、暮らし関係の本をパラパラと読み進めていく。

 みんなも覗き込んでるけど読めるの?




 特に地球では考えられないような生活スタイルではないので、街に上陸してもそこまで戸惑う事はなさそうだ。ちょっとファンタジースパイスが効いているだけ。


 しかし、過去の歴史から入国審査のようなものは厳しそうな事が予想できる。

 顔見せの事もあるしここは1番の権力者をこちら側に取り込むべきか……。

 ちょうど向こうからひと目だけでもお姿をという要望もあることだし。



 顔見せと偶像崇拝でいつかは使命は全うできそうだが、何度も言うがせっかくこの世界にいるんだから安心安全を確保してお出掛けしてみたい。




「チカチカさん。街の1番偉い人が領主様らしいんですけど、ちょっとチカチカ神の威光をお借りして個人的なお願いを聞いてもらっても大丈夫ですか?」



 チッカチカ!



 なんかすごいノリノリなんですけど。



「あ、ありがとうございます。クダヤに行く時に力添えをしてもらおうと思います」



 そう伝えると、優しくぼわぼわっと光ってくれた。


 最近青く光らないのでまた見てみたいな。








 その後本を読みながら寝てしまったようだが、私が寝ている間にみんなは洗濯をしオブジェを作り、なおかつ夜ご飯の準備を終えた状態で起こされた。




 こういうの自宅警備員っていうんだっけ。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ