表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸せに暮らしましたとさ  作者: シーグリーン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/216

物事には限度がある

 







 ぴちゅぴちゅ




 ぴちゅぴちゅ







 キイロ目覚ましで意識がうっすらと覚醒する。



(……朝……にしては暗い……?)



 ぼんやりしながら窓に目を向けると、みんなが窓からこちらを覗き込んでいた。



「……うわっ!」



 寝起きで反応が少し遅れてしまった。

 朝からちょっとしたホラー体験をする事になるとは……。



「おはよー。みんなどうしたの? 1階で待ってても良かったのに」



 欠伸をしながら窓を開ける。




「キュッキュッ」


「もう!? やった!」



 代表してロイヤルが、砂浜に船が到着していると教えてくれた。


 一気に眠気が吹っ飛ぶ。



「準備して船チェックに行こうか! 朝ご飯は後で食べようね~」



 そう提案し、みんなに挨拶を済ませいそいそと準備を始める。



 テラスに出てマッチャがたっぷりと汲んできてくれた水で顔を洗う。あーさっぱりする。

 チカチカさん予報で晴れると分かっているので布団も干しておこうと、布団に近付くとダクスがまだ寝ていた。



「ダクス~。朝だよ! お出かけするよ!」



 体をゆさゆさすると豪快な欠伸をしながらダクスが目を覚ます。

 野生の本能はどこにいった。


 ダクスも起きたのでマッチャに手伝ってもらい布団を干す。夜干しの洗濯物はもう少し陽に当てておこう。



「服を着替えてくるから家の前集合で!」



 みんなにそう伝えて階段を駆け下りる。


 クローゼットの前で着替えながらレベルアップの事を思い出した。



「チカチカさんおはようございます。レベルアップリクエストなんですけど、船を確認して戻ってきてからでもいいですか」



 チカチカッ



 今日も優しいチカチカさん。素敵。


 健康水をぐびっと飲んだら麦わら帽子をかぶり、カゴをもって準備完了。



「いってきま~す」









 エンに乗って少し、いや、だいぶ急かしてしまったが砂浜に到着。ごめん、ありがとう。

 砂浜にはずらりと小船が並んでいた。



「こんなに贈られてくるんだ~。すごいね!」



 興奮しながら小船を見渡す。

 端の船から確認しようとしているとみんなが違うと言ってきた。



「何が違うの?」



 不思議に思っていると、ボスが前脚でぐいっと1番小さいが1番豪華な作りをしている小船を押し出してきた。

 力すごいね。



「これがいつものやつ? いつものやつって……? あーはいはい、いつもこれ1艘だけなんだ。へー」



 今回はどうしたんだろう? お祭りでもあるのかな? 建国何年祭とか。

 なんにせよラッキーな事に変わりはない。私ももらえる物はもらう精神でいくだけだ。チカチカさんも反対してないし。

 ふふふ。



 まずいつもの、と言われた小船を確認してみる。



 お酒と思われる樽に野菜らしき食べ物が数種類と魚も数種類。

 残念。加工食品はなかったか。でも島で見たこと無いから食べるのが楽しみ。


 さて、じゃあ隣の船を確認しよう。



 隣の船は真っ白に塗られていてどこか品のある船だった。

 船の中央に箱が置かれていて、これまた真っ白だ。彫り込まれている模様が細かくて高そう。



「キイロ。箱から変なもの出てきたら私を海に吹っ飛ばしてね」



 まさか罠は仕掛けてないとは思うが、箱を前にすると無意識に警戒心がわく。

 これがゲーム脳と言われるやつなんだろうな。


 キイロは任せろと羽をバサバサさせ、みんなも興味があるらしくじっと箱を見ている。



「よっ!」



 片手を限界まで伸ばし勢いをつけて蓋を上にはね上げる。



「…………」



 少し待ってみるが特に何も起こらないので箱の中を覗き込む。



「……本? これは風景画でこっちはリボン……。髪につけるのかな? で、これは……香水?」



 本と絵とリボンは分かるが瓶に入った液体の正体がわからない。良い匂いがしているがサイズからして飲むものではなさそう。


 ひとまずわからないのはおいおい考える事にして船チェックを優先させた。



 白の隣の船はきらきらしていて眩しかった。いつもの小船には劣るが、金属をたくさん使用しており豪華だ。豪華絢爛という言葉を授けます。


 船にはたくさん樽が置かれていて中央には箱が。

 箱ももちろん豪華で、宝箱と言われて思い付くタイプの正統派宝箱だった。



「よいしょ」



 今度は宝箱の後ろにまわって箱を開けた。最初からそうすれば良かった。



「おー! 正統派!」



 中から出てきたのは装飾品に、武器、食器類だ。

 洞窟にあったのと同じようなラインナップ。樽もお酒だろうし。

 でもすごいね~この品々。当たり前だけど手作業だよね? 作るのにどれくらいかかるんだろう。

 そしてこの船は正統派なだけあって特に問題はなかったな。



 次の船は木で出来たリーフ模様のオーソドックスなものだったが、宝箱の代わりに木のつるで編んだ蓋付きのカゴらしきものが置かれてあった。



 ……私の作ったカゴがかわいそうなんですけど。


 すごいな。ちゃんと作ればこんな立派な入れ物になるのね。

 感心しながら、もう気にせず蓋をがばりと開けて中を確かめる。



「――当たりの箱だ!」



 中に入っているものからは甘い匂いがする。



「これパンとお菓子だよね!?」



 興奮しながらそれらを取り出す。さっそく口に入れかけるがふと気づく。



「今更なんだけどこれって食べられるのかな……?」



 食べたい。非常に食べたいがお腹は壊したくない。


 悩んでいると、ひょいとナナが首を伸ばしてパンをかじった。



「あっ」



 もぐもぐしているナナを見ていると、食べても大丈夫と伝えてくれた。

 気がつくとみんなが残りの食べ物をそれぞれかじって味見をしてくれていた。



 ……毒味をさせるとか、私本気で鬼だな……。



「ありがとう……。すごく味わって食べるね!」



 みんなの行為を無にしてはいけないとパンにかぶりつく。



「あー美味しいー」



 これはあれだ、パンにバターとか練りこんで甘くなってるやつ。美味しい。



「これは完全にクッキー」



 ピクニックに行く時のようなバスケットに入っている食べ物を次々と食べていく。もちろんみんなと分け合って。


 残りは丸い木の容器と布に包まれたドライフラワーのような状態の植物たち。両方ともかすかに良い匂いがしている。

 碁石を入れるやつみたいだなと思いながら木の容器の蓋を取る。



「お~! これはたぶん茶葉だな」



 緑茶とか紅茶の茶葉ってこんな感じだった。後で試してみよう。

 この乾燥した植物は……、もうドライフラワーでいいや。クローゼットにでも置いておこう。


 贈り物はなんとなく地球の要素が感じられるのが分かりやすくて良い。やっぱり<地球>の後輩だからかな。



 さっきの船は当たりだったなとほくほくしながら次の船をチェックする。



 次の船は最初からちらちらと視界に入ってきてはいた。なぜなら、船いっぱいに詰め込まれている木箱にあふれるほど魚が詰まってるからだ。


 大きいのから小さいのまで、まあ大量に詰め込まれている。そして手前の箱の上にちょこんと申し訳程度に貝殻で作ったお皿に白い真珠が1粒のせられていた。ダクスからもらったやつと同じだ。



「こんなにたくさん食べ切れないよね」



 そう言いながら手前の箱を確認するとその箱には干物らしきものが。



「これだと日持ちするからこれと真珠はもらっておこうか」



 腐らすのはもったいないのでこの大量の魚は街の皆さんで食べて欲しい。お祭りをやってるならちょうどいいだろう。



「ボスはこの魚食べる?」



 体も大きいし食べたいかなと思い一応聞いたが、いらないとの事だった。

 そもそもみんなは食べなくても生きていけるようで、私と一緒に食事をするのがおもしろいから食べているそう。

 これ以上私の好感度を上げてどうしたいんだ君達は。好きだ。



 贈り物を偉そうに吟味している自分を何様なんだとは思ったが、最後の船をチェックする。



 最後の船は飾り気も何も無い武骨な船で、載せられている箱も棺のような形をしていた。

 材質は土か石で出来ているようで重そうだが、船がしっかりした造りなので大丈夫なんだろう。



「よっ……!」



 蓋が重くて苦労していたらマッチャが手伝ってくれたので蓋はすんなり横にスライドし始めて――




「ぎゃあ!!!!」



 度肝を抜かれた。悪い意味で。



「しっ死んでるのこれ……?」



 棺の中には動物がたくさん折り重なっていた。

 どことなく見覚えのあるパーツをした動物たち。



「ちょっとほんと何これ。ほんとの貢物みたいになってるんだけど……」



 こんな死体を贈られても困る。いや、正しく貢物だけどね。なんでこの船だけガチ貢ぎなんだろう……。



「ねえ。みんなはこの贈り物食べたい……?」



 私は遠慮したいという気持を込めて聞くと、みんなも食べなくてもいいよと返答してくれた。


 良かった。お肉はありがたく食べるけど解体はしたくないんだ。というか出来ない。

 食べる物に困っている訳でもないしいつか街に上陸したらお店で買おう。


 蓋を戻そうとした時、棺の隅に塊があるのに気付いた。

 両手で持ち上げてみるとずっしりとした重みがある。



「これ干し肉かも!」



 匂いをくんくん嗅いでみるとそれっぽい匂いがする。

 やった! 解体せずにお肉が手に入った! スープで戻して食べてみよう。

 いやあ、サバイバル生活満喫してるな私。





 ハプニングもあったが船チェックも無事に終了。

 もらえるものはもらって食べきれないものは申し訳ないが返そう。

 贈り物の仕分けをさっそく始める。



「この白い箱とカゴと棺の乗ってる船も欲しいな~。もらってもいいかなあ」



 みんなは問題ないと言っているがどうも気になる。



「家に帰ってチカチカさんにもう1回確認しとこうか。ついでに朝ご飯食べよう」



 贈り物をつまみ食いしたがテーブルセットを使ってちゃんと食べよう。茶葉らしき物も試してみたいし。



 ひとまず家に置いておきたいものとカゴの中に入っていたパンの入っているバスケットは持って行こうと準備していると、マッチャが「白い箱も持っていく?」と聞いてきた。



「んーそうだね。中に入ってる物は家で使えそうだから箱ごと持って行こうか」



 そう答えると軽々と箱を持ち上げナナの背中に白い箱を乗せた。

 相変わらずの力持ち。ナナも箱の重さにびくともしていないしさすがハイスペック。



「じゃあいったん家に帰ろう」



 宝物を見つけて凱旋する船乗りの気分で家に向かった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ