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幸せに暮らしましたとさ  作者: シーグリーン


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206/216

習性

 



 お菓子を持って先に戻ってきたカセルさんと白フワバレーボールで遊んでいると、ジーリさんも戻ってきた。なので3人でいつまでラリーが続くかゲームをする事に。


 というかその辺はすべて白フワのさじ加減だけど。

 でもキイロ、ロイヤル、ダクスのこじんまりが縦横無尽に邪魔(羽で風を起こす、足元ウロウロ)をしてくるのでなかなかのエキサイトっぷりだった。

 大人なのにこんな遊びにも付き合ってくれるジーリさん素敵。絶対良いパパになる。



 ひと息ついてごくごくジュースを飲んでいる時に、守役様とただの人間ヤマチカがこんな遊び方をしてたらまずいと思ったが、ジーリさんは特に何も不思議に思わずジュースを一気飲みしていたのでさすが地の一族だと思った。







 カセルさんが様子見がてら話し合いに戻り、アレクシスさんの美しさについてジーリさんと真剣に語り合っている時に扉がノックされた。



「来てたのね!」



 豊満美女リレマシフさんが部屋に入ってきた。

 そしてそのままぎゅっと抱きしめられる。この弾力は日本人じゃ難しいと思う。遺伝子的に。



「領主様が失礼な事をしていないかしら?」



 理の族長のイシュリエさんまでやってきた。



「大丈夫です。こちらで待たせてもらいました」


「彼等は少し休憩した後に神の社に向かう予定ですよ」


「私はミナリームの人間を案内しないといけないから一緒に尾行は出来ないけど、心構えは教えられるわ!」


「あ、はい」



 なんだかよくわからないうちにジーリさんと一緒に尾行の心構えを教わる事になった。

 なるほど、人混みではあえて近距離ですね。

 ジーリさんはとっくに知っている内容だったが一緒に授業を浮けてくれた。しかも真剣に。

 優しい。









 そして授業の成果を見せる時がきた。



 うっすら部屋の扉を開けた状態で、集団が建物から出て行くのを物音で確認する。


 ミナリームの人達の案内として一緒にいるのはサンリエルさんにカセ&アル、そしてリレマシフさんとサムさんだけのようだ。

 ガルさんとバルトザッカーさんは前もって神の社の拝謁待機場所の警備を強化中らしい。



「それじゃあ行ってきます」



 きりっとした顔でジーリさんにイシュリエさん、再度様子を見に来てくれたティランさんに告げ部屋を出た。






(クルトさんだ)



 建物から出てすぐにカセルさんの赤い髪が目につき、その近くにいるクルトさんを見つける。



(新妻はどこだ……!)



 尾行の心得をあっという間に忘れて少しきょろきょろしてしまったが、集団の後方にいる女性達を見つけた。

 が――



(……こっち見てるのもしかしてサンリエルさん? 完全に見つかってるよね私)



 観光客気取りでさりげなく女性達に近付くと、どこからか視線を感じる。

 視線って何となく感じ取れることがあるのほんと不思議だよね。



「3人分が能力を駆使してばれないようにはるを視界から外さないようにしてる。やめさす? 気持ち悪いよね」



 うわ。

 崇拝対象に気持ち悪いって言われてます、サンリエルさん……。



「(たぶん私とそのうち会えなくなるから御使いストック中なんですよ。私からしたらチカチカさんのひ孫のひ孫の……とにかく子孫みたいな人ですから大丈夫です。嫌な時は前みたいに本人に言いますから)」



 ハンカチで顔を拭くふりをしてチカチカさんに説明する。

 サンリエルさんの行動にはいつも驚かされるが、チカチカさんの力を継いでいると思えばそこそこ平気だ。そこそこ。


 そしてそういう行動を相手が取るであろう事を理解していても変わらず街に来ているのは私の意思だ。

 









 ミナリームの人達があれこれと質問しながら、拝謁待機場所に向かっている後をそっとついて行く。

 途中カセルさんと何度か目が合ったがアルバートさんとは一向に合わない。サンリエルさんの方は何となく見てない。


 尾行中だからおかしい事はないがこんな近距離にいても気付かれないっていうのもね。アルバートさんの真後ろに立ってみたけど振り向きもしなかったし。わざと警戒をサムさんが緩めてくれたのに。


 意外にも私には尾行の才能があったのかもしれない。普通としか言い表せない外見ってこういう時便利。目立たないし。



「はる、耳長に監視されてるよ」



 ……違った。アルバートさんが鈍感さんなだけかもしれない。



 ティランさんはどこだと後ろを振り返ってみるが、あのファンタジー住民特有のさらさら水色長髪は見当たらない。

 おかしい、絶対目立つのに。



「高い建物から見てる」


「あ、なるほど」



 普通に声が出てしまった。


 慌てて周りをそっと窺うと、こちらを見ながらカセルさんが笑っていた。

 神の言葉として聞こえたのだろうがこちらの人達にとっては聞きなれない言葉だ。気をつけよう。



「便利能力発動する?」


「……お願いします」



 もらえるものはもらう精神で助けてくれるなら頼る。








「あ! アルバートさん手つないだ! しかも妹さんから! 積極的!」



「見て下さい、新妻さんがクルトさんを見る目! すっごく好きなのがわかります。クルトさん意外とモテるんだ~」



「穏健派トップのおじさん質問しすぎ! 真面目! 黒髪真面目なんて好ポイント過ぎる」



「アルバートさんと妹さんのロマンスってあり? 相手貴族だけど……何歳差? 10歳くらい? それにしても年下に大人気だな~アルバートさん。王女様もそうだしあの子もお人形さんみたいだし……さすがヒーローの孫は違う」



「クルトさんの家族全員ブロンドってすごいよね。ノーラさんが黒っぽいブラウンだから子供はどうなるんだろ? 地球の遺伝の法則は当てはまらないですよね?」







「あの服可愛い。コスプレ感すごいけど」



「あれキイロの羽みたいじゃない? ――いや違う! 欲しいってわけじゃない! むしらなくていいから! ロイヤルも!」



「そうだ、アーケード商店街があると面白いねって話思い出した。透明の屋根とかファンタジー技術でなんとかならないかなあ。ナナの甲羅みたいな屋根とかさー」








 好きなだけ声を出して良い状況なので好きなだけ話していたらチカチカさんに「尾行の目的を忘れてる」と指摘された。



 全くもってその通りだった。

 しかも当初の目的の妹さんと新妻さん観察も序盤で満足してその後はろくに見てなかった。


 なのでそっとカセルさんに手を振って集団から離れる事に。お疲れ様でした。






 その後拝謁待機場所付近でふらふらと買い物を楽しんでいると、こそっとガルさんに大量の食べ物をもらった。

 こりゃあこの辺りのお店で1つずつ富豪買いしたな。



 地の一族の人達のこういうおおざっぱな習性、嫌いじゃない。








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