戦利品
結局は保護者の惑星により問題はさらりと解決。
別にいいんだ、自分で一生懸命考えて実行する事に意義があるから。
「チカチカさんありがとうございます。ボスもありがとう。みんなありがとうだけどね」
みんなにそれぞれ抱き着いて感謝の気持ちを伝える。
チカチカさんには断られたけど。ツンデレめ。
「パーマもありがとう」
そろそろと近付き首辺りの毛を撫でる。ほんと大人しいな……。
「これお礼に。良かったら食べて」
持ってきていた売り物用のキウイメロンを渡すと、くわえて尻尾を振りながら森の奥に去って行った。
「またね~!――――さて、この馬達はどうしよう。斧も」
人間達はあんなに大混乱になっていたのにこの馬達は離れた所でのんびり草を食べていた。
そして騒ぎが収まったころにこちらに近付いてきたのだ。強者。
チカチカさんもいるのに。
「ここにいたら肉食動物に食べられちゃいそうだな……でも持ち主はミナリームの人だし……」
まあ地球では野生の馬もいる事だしなんとか力を合わせて生きていくと思いたい。
「じゃあね。この森は危ないから近寄らないようにね」
馬の鞍についている荷物入れに落ちていた斧を入れた後、木の滝エリアに戻る為手を振りながらボスの背中に乗り込む。
しかし馬達がこちらに近付いてきている。
「あれ? どうしよう懐かれちゃった?」
「力の影響を受けただけ」
「力ですか?」
「さっきの木」
「ああ」
そんな事があるのか。
「大森林の生き物はチカチカさんの力を恐れて大人しくしてるのにこの馬はならないんですね~」
「もともとの構成要素とエネルギーの質の問題」
「……へえ~」
どうしよう、わからない。
「神の気まぐれとでも思ってなよ」
「ばかにしてます?」
まったくこの惑星は……!
つんつんしたいところだが馬達の問題を先に何とかする事にしよう。
「この森は危ないからね。ついて来たいの?」
さすがにこの馬達は私の言葉はわからないようだが、なんとなくついて来たそうに見える。
「う~ん……あ、クダヤっていう街に繋がる道があるんだけどね、クダヤに行ってもらえればまた会えるよ」
身振り手振りでクダヤの方向を指さす。
「クー」
「追い立て? え、ちょっと……!」
止める間もなくエンが馬を追い立てて森の奥に消えた。ごめん……馬達ごめん……。
馬達の無事を祈りつつ木の滝に戻った。
「ただいま~」
密集していた白フワファミリーにそのままダイブする。
ぼよんとしていて大変によろしい。
「もう木を伐る人間はいないから安心して~」
ぼよんぼよんしながら報告すると、胴上げみたいにされた。やだ、楽しい。
タツフグもジャンプが素晴らしい。
ひとしきり胴上げを堪能し、エンが戻ってくるまでごろごろし島に戻った。
馬達は無事クダヤに向かっているそうで心の底から安堵した。




