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幸せに暮らしましたとさ  作者: シーグリーン


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179/216

偵察

本日更新3回目

 



 降臨案も大体まとまり、作戦実行の為ミナリームの人達が木を伐り倒している場所の近くまでやって来た。

 島からここまで離れた事はないから少しどきどきする。






「人がたくさんいるね……」



 ボスの背中に乗り、人目につかないようこっそり上空から木の枝に紛れて偵察を続ける。

 地味な色合いの服装が役に立っている。






「――さっさとやれ!」




「ご自分は森から離れた所で安全にご命令ですか」

「聞こえるぞ」

「王都の奴らはみんなそうだろ」



 なるほど。王都の騎士らしき人達と作業している人達は不仲……と。

 確かにあんなピカピカした鎧では作業しにくいよね。



「――おかしいよなあ?」

「そうだな」

「生き物の気配がない」



 すんません、それたぶんうちの保護者のせいだと思います。



「こんな堅い木をそう簡単に伐り倒せる訳ないだろうが」

「まったくだ」



 こんなに嫌々作業している人達をこれから弾き飛ばすのか……。



「……あのさあ、遠吠えとか音でまず驚かせたいんだけど……ボスだと雷落ちちゃうよね?」



 さっそくの問題発生で考え込んでいると、エンの背中にロイヤルが乗り込むのが目に入った。



「……ロイヤル何してんの?」


「キュッ」



 嫌な予感が当たった。

 まさかの「その辺の魔物を連れてくる」発言。

 さらにはキイロを甲羅に乗せたナナまでボスの背中を尻尾に向かって降りている。



「あの、大丈夫だから。危ないよ」


「コフッ」


「……ですよね」



 ナナにまで「危ない事なんて何もない」と言われるとは……。



「じゃあ唸り声ができる子をなるべく穏便に連れて来てほしいな?」


「キャン」


「……ダクスの唸り声は今日は大丈夫。私のボディガードでマッチャとここにいて」



 マッチャに目配せするとダクスをぎゅっと抱きかかえてくれた。

 これで勝手な事は出来ないだろう。


 それにしてもこれから連れてこられる魔物に同情する事になるとは……。






 ボスの背中でごろつきながら偵察に飽きてきた頃、狩人部隊が戻ってきた。



「お帰り~。魔物はいなかったの?」



 新しいメンバーは見当たらなかったのでどこかほっとしながら体を起こすと、森の奥からがさりと音がした。



「…………いる?」


「いる」



 返答をありがとうございます。



「……ボスちょっと頭を音のした方にお願い」



 よたよたしながらもボスの頭によじ登り角にしっかりと掴まる。

 この牙を前にして襲い掛かって来る生き物はいないだろう。


 ボスにゆっくりと森の奥に首を伸ばしてもらい――



「あ…………」







 いた。


 しかもこれは――





「……狼?」





 森の奥にはきちんとお座りをした牛サイズの狼のような生き物が。



「初めまして。あの、ちょっと声で驚かせてもらいたくて来てもらったんだけど……」



 どうしよう。灰色と白のまだら模様の天然パーマの毛をもふもふしたい。

 何それ地毛なの? なんなの? 撫でられるために存在しているとしか思えないんですけど。



「……チカチカさん、さすがにあの子は撫でたら怒りますよね? 野生だし強そうだし」



 あの落ち着いた感じは完全に年上だろう。魔物相手に年上も何もないけど。

 でも大好きな大型犬に見えるんだ。モフりたいんだ。



「あれははるを襲えばどうなるかくらい理解してる」

「じゃあ撫でさせてもらいます」



 かぶせ気味に返答し、ボスの口にくわえてもらって狼もどきに近付く。



「少しだけ首元を撫でさせてもらいたいんだけど……」



 恐る恐るお願いすると、ゆっくりとこちらに歩み寄って来る狼もどき。



「え? あ、ありがと」



 ボスから「触っていい」と心強いお言葉を頂き、そっとくるくるモフモフしている毛の中に手を入れる。



「おお~思わぬごわつき系……」



 野生らしいしっかりとした毛並みだった。

 ここぞとばかりに撫でまくる。全然『少しだけ』じゃなかった。




「――ありがとう」



 狼もどきはずっと大人しくしてくれて、頭の良さがうかがえた。



「それと後で合図をしたら遠吠えと唸り声をお願いしたいんだけど……私の言葉はわかる?」



 そう聞くとふさふさの尻尾がふぁさりと揺れた。可愛すぎ問題。



「――そっか、少しだけなんだ。でも意思疎通図れる系なのは白フワと一緒だね」



 ボスから「少しだけ言葉が分かる」と教えてもらった。

 そして白フワは島のみんなだけじゃなくこの魔物にも躊躇する事無く近付いていて度胸の塊だと思った。





よく考えたら字数が減ったまま連続更新してもこれまでの1話分? 

と思ったりもしたんですが連続更新には変わりないのでまあいいかと思いました。

これからまたのんびり更新に戻ります。

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