子供でも分かる
本日更新1回目
「攻め込むってなんですか!?」
「魔物が来るのは全部クダヤのせい。だから滅ぼす。ついでに神の持ち物を奪う」
「はあ!? まじなんなのバカなの?」
「はる、言葉遣い」
いかん、つい興奮してしまった。
「すみません。でもクダヤのせいって……ただのバカじゃん。頭悪すぎ」
「口が悪い」
「さーせん」
保護者に頬をぎゅっとつねられた。
でも神の力が実際に存在するのは知っているはずなのにクダヤに攻め込むなんて愚かな判断だと思う。
絶対に今回の魔物の件は口実に過ぎない。
昔からクダヤの事嫌ってるんだからこれ幸いとばかりに安易に攻め込む事を決めたように感じられる。
それとも神の力を信じてないのか……? 実際に目にしないと信じられないとは思うけどさあ……。
いや、クダヤだけを神が護るなんて事は約束してないから――
「戦の準備でこの森の木を切り倒し始めてる。だからそこの白いのが騒いでる」
「はあああ? いやいや、だって大森林の生き物が開拓させないようにって――」
「いずれ大森林の魔物に襲われる」
「わお」
リアクションが外国人にもなるわ。
そもそも魔物から身を守ってもらいたくて魔物の件を伝えたのに、自分達で魔物に襲われるような事し始めるんだもんな……。
「何度も言いますけどバカだと思います。大森林を開拓出来ない理由も知ってるはずなのに……」
「死ぬのは自分達じゃないから」
「え?」
「替えのきく人間はたくさんいる。どこの惑星でもだいたい権力者の思考は同じ」
「…………まじかあ」
この世界では人の命なんて今の地球の何倍も権力者が好きに出来るんだろうな……。
それに攻め込む決断はきっと国民の総意ではないんだろう。
「でも今まで出来なかった事を今さら人をたくさん増やしたって無理じゃないですか? クダヤに攻め込むなんてそれこそ国が傾きそうですけど」
「自分達の国は滅びないって思ってる」
「うわあ……」
地球の歴史から考えると、こういう時お偉いさん達は負けそうになったら他国に亡命なんかしちゃったりして生き延びるんだろうか。
「――――あの、チカチカさん」
私が真剣な顔で話しかけると、私の言いたい事がわかったのかチカチカさんはため息をついた。
「好きにすれば」
「――好きです!!」
全力近距離ハグをプレゼント。
透明化の状態だったので地面に転がり込んだけど。ひどい。
でも頭を撫でてもらったのですぐに機嫌はなおした。
最古の魔物襲来の件ではチカチカさんとケンカ(一方的)しちゃったから今回もどうなる事かと思ったが、好きにやらせてもらおう。
「私、これから調子に乗ります。チカチカさんや島のみんなの力を使って偉そうにします」
もうすでにチカチカさんがどうでも良さそうだけど気にしない。
「はい、みんな集まって下さい。これから作戦会議を始めます」
過去の偉大な軍師達の才能よ……! 今だけ降りて来い……!




