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幸せに暮らしましたとさ  作者: シーグリーン


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チャンスは逃さない

 



 アルバート家で楽しい時間を過ごした後、島の家で白フワの里帰りついでのキャンプの準備をしている時にチカチカさんから魅力的な提案をされた。



「はる、ヒロインになれそうだけど」


「え……? なんですかそれちょっと詳しく」



 作業の手を止めて光状態のチカチカさんにダダダっと駆け寄る。

 ちょ、ダクスは蹴っちゃうから隣の部屋で走り回ってて。



「ヒロインてなんですか? どういう系ですか? 世界観は?」


「興奮し過ぎ」


「いたた」



 詰め寄りすぎたのか、光る球体からにゅっと手が伸びてきて頭を掴まれた。

 ホラー。



「契約結婚系」


「ちょほんとなんですかそれ」



 その響きだけでもヒロインの香りが半端ない。ぱない。



「ずっと独身のはるが可哀想だから偽装結婚するって」


「いやいやいや。なんですかそれ。私がずっと独身ってなぜ決めつける? というか誰ですか?」



 これはもしかしてあれか?

 本当は好きなのにプライドのせいで言えず、親の借金の形に結婚を迫って自分のものにしようとするどっかの多国籍企業のCEOか? ファンタジーだから貴族風味のロマンスか? 



「おろおろの元気を吸い取った方の兄」


「まじか」



 元気という点で相手がレオンさんだという事にも驚いたが、それよりも元気さを吸い取られていたアルバートさんの方に驚くわ。惑星ジョーク?



「ずっと独身って私そんなに結婚できなさそうに見えます? レオンさんて私の事好きなんですか?」


「はるの設定」


「設定……?」


「力は私の代で終わりにするっていうありきたりなやつ」



 ……ほんと惑星はひと言多い。



「その設定がどうして――」





 たまのツン発言をかわしながらその後も質問を重ねると、『子供を産まない選択をしたヤマチカちゃんがずっと恋人もつくらず1人で暮らすのが可哀想だから家族になる』という一族の人らしい独自の突き抜けた解釈の結果だと判明した。


 私が寂しくないようにという気持ももちろんあるんだろうけど、『守役様のお力になりたい。むしろたくさんお姿を拝見したい』が8割だと思う。

 最初にお邪魔した時は私とアルバートさんを仲良くさせようとしてたのに……。

 でも一族の人達の考える事だからしょうがない。守役様大好きだからね。



「気持ちは嬉しいですけど結婚はなー。地球の人としたいんでエスクベルの人はちょっと……」


「顔」



 調子に乗った顔をしていたら頬を指で強めに突かれた。うぬぼれは許さない惑星。



「フォーン」


「あ、大丈夫。レオンさんを投げ飛ばさなくてもいいから」


「コフッ」


「うん、上から押しつぶさなくても大丈夫」


「クー」


「後ろ脚で蹴飛ばさなくても大丈夫」



 普段大人しい分大きい組が行動すると被害がとんでもない事になるのは理解した。

 もちろんボスの「尻尾で弾き飛ばす?」も丁重にお断りしておいた。


 3人のこじんまり達は私に何か言ってくる事はなかったが、羽をバサバサしたり床をガリガリしていたので目を離さないようにしようと思う。


 そしてこの事で、地球に帰る際の事を具体的に何も考えていなかった事に気がついた。




「チカチカさん、エネルギー満タンの瞬間に地球に強制送還されるんじゃなくて少しは猶予をもらえるって話で合ってます?」


「合ってる」


「んーその時に話をして――今の落ち着いている時に前もってサンリエルさん達に話をしておくか」



 今から伏線を張っておけばヤマチカが街からいなくなっても怪しまれないだろうし。

 張れれば、だけど。



「猶予ってどのくらいですか? もし寿命の後こっちに戻って来られるなら同じだけ時間が経過した後――――やっぱりいいです」



 なんとなくこの事は質問しない方がいい気がした。なんでだろう……?








「――毎日がすごく濃くて1年くらいお世話になってる気がするんですけど……まだ数か月ですよね。……髪も白い部分の方が多いし……このペースだとそろそろかなあ……」








「…………チカチカさん、面倒を見てくれてありがとうございます」



 光状態のチカチカさんにそっと抱き着くと、人型になって抱きしめ返してくれた。








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