脚本家養成講座に通うべき
いきなり体が浮き後方に吹っ飛ばされたレオンさん。
「なんだ!?」
それでも華麗に着地するあたりさすがです。
でもパパとルイスさんが戦闘態勢になってしまった。
やめてルイスさん、おじいちゃんをかばう位置に移動しなくても何もしませんから!
「あのーひとまず座りませんか?」
精一杯の愛想笑いをしながらおじいちゃんに話しかける。
しかし一族の人達の警戒はゆるまない。そりゃそうだ。
すると――
「ヴー」
……出た。
いつものパターンが……。
「ぴちゅ!」
「キュッ!」
そして姿を現すキイロとロイヤル。
おかしい……これ最近も見たような……。
「あの……皆さん良ければ座りま守役様! 落ち着いてください!」
冷静に話を進めようという私の努力もむなしく、キイロがおじいちゃんの頭に止まり羽でおじいちゃんの髪をぼさぼさにし始めた。なにやってんだ!
「守役様! おじいちゃんは何もしていません! むしろあっちのお兄さんの方です!」
慌てておじいちゃんに近付くが、白髪3人衆は驚愕の表情のままピクリとも動かない。
……気絶してないよね?
「ヴー」
「キュッ!」
唸りながらおじいちゃんの足元に現れてしゃかしゃか足を動かしているダクスに、テーブルの上にふんぞり返って羽をバサバサしているロイヤル。
ほんとに何がしたいんだ……!
「あ、あの……!?」
おろおろしながらもしゃがんでダクスに顔を近づけるおじいちゃん。
おじいちゃんが声を発した事でようやくアルパパ達も動き始めた。というか平伏し始めた。
「「「守役様……!!」」」
うん……これも最近見た。
「守役様、そのような事をなさっていますと御使い様が悲しまれますよ。――皆さん、守役様が座るようにと仰っています」
ひとまずおじいちゃんに群がっているこじんまり達を引き離さないと。
しかしロイヤルはテーブルからおじいちゃんの肩に飛び移るし、いつの間にか現れた白フワはおじいちゃんの首に突っ込むしで全然引き離せない。なんなの?
「――守役様達はアルバートさんのおじいちゃんが好きなんですね~アルバートさんの事が好きですもんね~」
ここはこじんまりの習性『ツンデレ』を利用しようと思う。
「ぴちゅ!」
「キャン!」
「キュッ!」
案の定「好きじゃねーよ!」とばかりにおじいちゃんから離れるこじんまり。しめしめ。
白フワだけは離れていないが、ふわふわしているだけなので気にしない。
「あ、どうぞお座りください」
起き上がりこちらを食い入るようにみているアルパパ達に話しかける。人んちだけど。
「まあ色々ありましたけど……落ち着きましょうか」
偉そうだけど許してほしい。ここは毅然とした態度の進行役が必要なんだ。
そしてようやくアルパパ達も恐る恐るソファーに座り始めた。
「まずレオンさん、さっきはなぜあのような感じに?」
「それよりこの状況が……」
「まあまあそれは後で」
「いや……ヤマチカちゃんが……手紙……なんて言うから」
レオンさん、視線が飛びまくっています。守役様を見る目がキラキラしいです。
「はるが読んだのはここの人間が読めない文字」
ようやくチカチカさんが再登場。でもどういう事だ?
「ヤマチカさん。拾ってくれた紙に書かれてあるのはね、いまだ解明できていない古代文字なんだ」
「…………あ」
……ようやくわかった。
これはいわゆるお約束というやつなんだな。
「はるの好きなベタ」
ベタ好きでいいじゃないか。




