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幸せに暮らしましたとさ  作者: シーグリーン


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167/216

処理が追いつかない

 



「ヤマチカさん、商人が商いについて書いた本があるから読んでみるかい?」



 アルパパ達と一緒にキッチンに戻るかと思いきや、おじいちゃんが楽しそうな提案をしてくれた。



「いいんですか? ぜひ読んでみたいです」



 この世界のビジネス書みたいなものかな? 気になる。



「私も読みたい本があるから食事の用意が出来るまでここで一緒に読もうか。フィンセント、ローザに伝言を頼む」



 図書室の中の様子を確認した後室内に案内してくれるおじいちゃん。



「もしかしてアビーに何か指導されてる?」


 突然苦笑しているアルパパから質問された。



「え? ナイフの扱い方について教わってはいますけど……」


「やっぱり」

「すみませんね」

「大変だな~」



 白髪3人衆から労いの言葉をかけられる私。

 話を聞くと、この家の女性達はなんでもやりすぎる傾向にあるので程々に付き合って欲しい、という事だった。

 なるほど。それでおじいちゃんが本を一緒に読もうって誘ってくれたのか。



「好意しか感じられないので私は嬉しいです。でも辛くなったすぐ言います」



 女性達、男性達それぞれの心遣いがとても嬉しい。

 真面目な顔をして言ったつもりだったが、レオンさんに笑われたので真面目な顔に見えなかったんだろう。

 でも「おも……可愛い顔!」って言われたのでレオンさんはもしかして私の顔が好みなのかもしれない。

 きっとそうだと思う。面白い顔なんて思っていないはず。






「また呼びに来るな~」



 アルパパ達が図書室から出て行こうとした時、テーブルの下に紙らしきものが落ちているのが偶然目に入った。

 拾いちらっと確認してみるとそれは手紙のようだった。



「あの、手紙が落ちてます」



 手紙というかラブレターのようだったのでとても気まずい。

 生ラブレターなんて初めて見た。



「はるストップ」

「手紙?」



 チカチカさんとレオンさんの声がかぶった。

 え? なに?



「あ、あのこれ……どなた宛なのかわからないんですけど……」



 ひとまずはこのラブレターを早く手放したい。

 書いた人拾っちゃってごめん!



「――手紙?」



 私から手紙を受け取ったレオンさんから笑顔が消えた。

 まじか。レオンさん宛だったの?



「あの、見るつもりじゃなかったんですけど拾った時に内容が目に入ってしまって……で、でもどなた宛かまでは見ていませんので……!」



 必死で言い訳しているとレオンさんに伸ばしたままの手をぎゅっと握られた。



「え……?」



 え、ちょっとどこのヒーロー? え? 私ヒロイン?



「――手紙ってどういう事?」


「え……?」



 レオンさんの言っている意味が分からず周りに視線を巡らせると、ルイスさんがこちらを見つめたまま図書室の扉を閉めた。

 え、ちょ。



「レオン、とりあえず手を放してあげよう」



 そうそう! おじいちゃんの言う通りに……!



「じいちゃん駄目だよ。逃げられちゃ大変」


「……逃げる?」



 なんの話がまったくわからず手を引こうとするが、笑顔の戻ったレオンさんにもう一方の手も握られてしまう。

 こんな時にも「レオンさんやっぱりかっこいい顔してるな」なんて思う私っていったい。あほなのか。



「あの……逃げませんから手を……」



 こんなヒロインめいた体験をしたことがない(鼻血事件は除く)もんだからどうしていいかわからない。

 というかそろそろレオンさんの方が危ない気が――



「うわっ!!」



 ……ああ、うん。遅かった。






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