表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある従魔師の交遊記録  作者: 安芸紅葉
一人目「無垢なる軟体魔物」
3/42

第1ページ 初めての友だち

風が木々を揺らす音が聞こえる。

仄かな匂いを含んだ風は僕の頬を撫でてまた流れる。

目を開けると青く輝く空が見え、自分の周りを木が囲んでいる。


「あれ?」


僕は死んだはずではなかったか?

それが何故こんな場所にいるのだろう?

ここは一体どこなのだろう?


「僕は一体…」


自分の置かれた状況がわからず、どうすればいいのかもわからない。

動いてみて迷ったりしたらシャレにならない。

だがしかし、この場所さえどこかわからないのだから既に迷子とも言える。


「ここにいてもしょうがないし…」


動こうと決めたとき。

ガサガサと音がした。


何がでて来るのかと警戒しながらそちらを見る。

出てきたのは青い半透明のゼリーのようなもの。


「?」


これはなんだろうか?

ゼリーのようにも見えるが、ゼリーは自分では動かない。

ただ一つ言えることは、


「かわいい!!」


僕はそのゼリーのようななにかに走り寄り、クッション程度の大きさのそれを描き抱いた。


「ぷにゅぷにゅしてて、ひんやりしてる!」


夏にあればとても嬉しいような感触に思わず笑みが零れる。

と、頭の中に何かが浮かび上がってきた。


[スライム]名前〔〕ランクG

一般的なスライム。

子どもでも倒すことが可能な魔物。

核を壊されない限り死ぬことはない。

状態:仮従魔

性格/温厚


「んーなんだろこれ?スライム?お前スライムなのか?」


施設で育った僕は、ゲームをする機会などなく、テレビを見ることも稀だった。

でも、某有名ゲームに出てくるスライムはクラスメイトが話しているのを聞いたことがある。

話に加わることはできなかったけど。


そこまで思い出して暗い顔になった僕を慰めるようにスライムが身体を揺らせた。


「慰めてくれるの?」


そう尋ねると、肯定の意を示すように身体を震わせる。

伝わるはずのないスライムの気持ちがなんとなくわかる気がして不思議だ。


「お前は僕の友だちになってくれる?」


嬉しそうに身体を震わせるスライム。

それを見て僕もすごく嬉しくなってぎゅーっと抱きしめたらべちゃっと音がしてスライムが二つに分かれてしまった。


「ああ!?ごごごごめん!!」


慌てて謝るがスライムは特に気にした様子もなく、僕の腕から抜け出すと地面に落ちた片割れのスライムと再び合体した。


僕はポカンとしてそれを見ていた。

もう一度スライムを抱き上げる。

やっと気付いたんだ。


「ここ地球じゃないのかな?」


考えてみるとスライムが実在するなんて話は聞いたことがない。

でもそうなるとここはどこなんだろう?


「お前に聞いてもなぁ」


スライムに話しかけてみるが答えは返ってこない。


「まぁいいや!とりあえず探索しよう!お前人がいる場所知ってるか?」


そう尋ねると、スライムは身体を震わせたかと思うと腕から飛び降り、ついて来いというように進み始めた。

ただし、その動きは亀よりも襲いかもしれない。


微笑ましく思いながらついて行く。

何時間かかるかわからないけど折角案内してくれるというんだし時間なんていいや!


この時のこの判断を、後に後悔することになる。

それはもうすぐの話。

この小説は一話を短めにします。

後後どうなるかはわかりませんが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ