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とある従魔師の交遊記録  作者: 安芸紅葉
五人目「聡明なる半馬の狩人」
25/42

第23ページ 出立

本日3話目です。

「どうして、ケイトの言うことを聞いてあげないの?従魔たちがいるのならば、この世界の過酷な環境でも大丈夫だと思うけど?」

「そう単純な話ではないんだ。ケイトの力は凄すぎる。だがそれは、武力としての側面しか持たない。武力だけでは権力に対抗できないんだ」

「あら、あなたがそう言いますか?私の為に一つの家を断絶させた、あなたが?」

「オ、オホン!とにかく、私が傍にいれば守ってやる。だが、一人旅でもさせて、何かあった時…」

「結局、心配なんですね」

「当然だろう。子どもを心配しない親なんているものか」

「ふふ、そうですね」


寝たふりをして、耳をすませていると聞こえてくる会話。

僕は父さんの言葉に静かに涙する。


でも、それでもやっぱり僕は旅にでたいんだ。


---


「何?」

「だからね、僕考えたんだ!心配をかけない方法!」

「…それで?」


僕が説明したのはこういう方法。

ここに従魔の誰かを常駐させ、召喚術を使って連絡を取るのだ!

召喚した従魔に手紙か何かを持たせて、送還させる。

そうすれば僕の安否もわかるというわけだ。


「むぅ…」


それなら確かにと思っているのだろう。

あとひと押しだ。


「お願いだよ!父さんの息子なんだから大丈夫!」

「くっ」


父さんはこういう自分の息子を強調されると弱い。


「…わかった」

「ありがとう!」


心の中でガッツポーズしながら父さんに跳びかかる。

その光景を、微笑ましそうに母さんが見ていた。


---


「気をつけるんだぞ!絶対に連絡すること!」

「気をつけてね」

「ダッ!」

『何かあれば飛んでいきます』

「行ってきます!」


結局村に残るのはスーとクロだ。

スーは身体が大きいし、綺麗すぎてどうしても目立ってしまう。

強さ的には一番なんだけどね。


クロはまだ幼いし、竜種を連れてるとやはり目立つ。

それもクロの種族はわからないのだ。

何かあってはいけないからね。


そうして、父さんに頼みこんだ時から一週間後。

僕は出発することになった。


見送りには家族だけでなくて、村人のほとんどが来てくれているみたいだ。

どうしよう、泣きそうだ。


オークの慰み者になっていた三人の女の人も、今ではこの村の住人になっている。

回復は良好であり、最近では笑顔でいることも増えてきた。

いいことだ。


その三人も見送りに来てくれ、次々とお礼を言ってくれている。

なんだかこしょばゆい。

もう戻らないわけではないのにね。


「行ってきます!」


もう一度そう告げて、僕は村から出る。

とりあえずは獣都に向かう予定だ。

そこからのことはまだ決めてないけど、とりあえず人族の大陸に渡ろうかなって考えている。


まぁなんとかなるさ!


僕はこれからのことに思いを馳せて、期待に胸を膨らませて村を出た。

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