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とある従魔師の交遊記録  作者: 安芸紅葉
四人目「幼き風の白狼」
20/42

第18ページ 交戦開始

父さんの弓が唸り、発射された矢は狙い違わずオークの頭を撃ち抜く。

同時に三頭。


え?意味がわからないって?

僕もわからない。


矢を三本、弓につがえて同時に発射。

それがそれぞれ別のオークに命中って。

うちの父さんすごすぎない?


今までも強い強いとは思っていたけど、まだまだ父さんの本気は見たことがなかったようだ。

次々とオークが討ち取られていく。

これは本当に一人で十分そうだ。


でも、異変に気付いた上位種のオークたちが、ここでようやく動き始めた。

既に半分まで減らされたオークたちだけど、ここからはそう簡単には討ち取れなさそうだ。


その光景に見入ってしまっていた僕だけど、肩を叩かれ、自分の役目を思いだす。

そうだ、僕もやることやらないと。


この時点で僕は、父さんを心配することを止めた。

あれは心配するだけ無駄だよ。


---


(あそこだ)


小声で指を指す狩人に言われ見てみると、確かに扉が開いている小屋の中に、獣人の女性たちの姿が見えた。

衰弱しているのがありありとわかるその姿に、僕らは息を詰める。

同時に、早く助け出さねばという使命感が湧きあがった。


辺りにオークの影はなく、少し離れたところで戦闘の音が聞こえる。

スーの目を借りてちょっと見たけど、セーラの風で刻まれたり、父さんの矢で目を撃ち抜かれたりと、逆に可哀そうになってくる有様であった。


(チャンスだな。行くぞ)


狩人の一人が合図を出し、僕らはそれに頷き、進む。


何の問題もなく小屋の中に侵入。

生きている女性たちは全部で3人いた。


小屋の隅には、既に死んでいる人も見える。

僕は唇を噛んで目をそらす。


でも、生きている女性達も、小屋に入って来た僕らに何の反応も見せなかった。

壁を背にして座っていたり、横になっていたりする。


目の焦点があっておらず、僕らを認識できているのかも怪しい。

声をかけても反応しなかった。


だけど、触れた瞬間に「キャァァァ」と声を上げる。

そして、全力で暴れだす。


どう宥めようと収まらずに、連鎖したように他の二人もシクシクと泣き始めてしまった。

このままではまずい、と思った時。

それは来た。


「グモォォオ!」


小屋の前に一際大きく、堅固な鎧を纏ったオークの姿。

オークキングがそこにいた。


---


私は疑問を感じていた。

既にオークの数は半分を下回っている。

それなのにオークキングが姿を見せないことに、だ。


逃げられた可能性もあるかと思ったが、セーラは何も言わない。

セーラには、もしオークキングが逃げるのを発見したら、それを追い仕留めてくれと言ってある。


風を介して辺りの情報を得ることのできるセーラならば容易いことだ。


「セーラ!オークキングはどこにいる!?」


俺がそう叫んだタイミングで、女の悲鳴が聞こえてきた。

そちらには、今ケイト達がいるはずだ。


マズイと思ったがどうやら遅かったようだ。

そのすぐあと、オークの咆哮が響き渡った。

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