表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある従魔師の交遊記録  作者: 安芸紅葉
四人目「幼き風の白狼」
19/42

第17ページ 作戦開始

とは言っても、あのオークに対抗できるだけの戦力がこの村にあるとは思えなかった。

でも、それは父さんの存在が解決してくれた。


「ロア、危険なことはいつも任せてばかりですまない。だが、お願いできるかね?」

「勿論です。私もこの村の住人なのですから」


討伐に出るのは、父さんと村の狩人が二人。

この小さな村に駐在の衛兵なんかいるはずもなく、村の戦力と言えるのはこの三人だけであった。


オーク20体に対して、あまりにも少ない人数。

普通であるならばそうだと僕も思った。


父さんが強いのは知っている。

オークくらい余裕で討伐するだろう。

それこそ、相手に認識さえさせないはずだ。


そこにセーラも加わるんだから20体のオークなんて目でもないのかもしれない。

それでも、僕は心配であった。

なんせ父さんの得意な武器は弓であり、大勢相手には向かないんだ。


それなのにこの人数。

心配するなという方が無理な話だ。


「心配はいらんよ。お前の父は凄腕の冒険者だったんだぞ?」


狩人の一人が声をかけてくる。


その顔は、父さんがいれば負けることはないと確信している顔だった。


---


「ダメだ。お前を連れていくわけにはいかない」

「どうして!?」

「危険だからだ」

「でも!」

「頼むから」


そして、父さんがいれば負けないということは、それだけで戦力は十分だというこであり、僕はこうして父さんと押し問答をする羽目になる。


僕は父さんに及ばないまでも、オークくらいどうにでもなる。

今回は、友達になりたいと思えないからスキルの恩恵は受けられないが、だからと言ってスーやビギンもいる。

負けるとは思えなかった。


それでも、父さんは頑として首を縦に振らない。

周りの人が呆れているのがわかる。


「わかった。ならスーだけ連れていくから。スーはお前の従魔だ。お前の力だ。それならば、お前も戦っているということになるだろう?」

「屁理屈だ!」


確かに理屈としては正しいけれど、それで僕が戦っているというのはどう考えても納得できる理屈ではなかった。

なまじ、僕単体でも戦える力があるだけに。


「はぁ…なぁ頼むから言うことを聞いてくれ。偵察も終わった今の段階であっては本来なら私とセーラだけでも十分なんだ。捕らえられている娘たちを救うために二人の力を借りるだけだ」

「ならその役目を僕がやる!」

「何?」

「二人より三人の方が確実でしょ!」

「むぅ…」


確かに僕の言い分も最もだと思ったのだろう。

父さんが考え始める。


どうでもいいけど顎に手を当てて思案している姿がやけにかっこいい。

我が父ながら美形である。


捕まっている女性たちを助ける役目ならば、オークとまともに戦うよりも危険は少ない。

僕の性格と実力を把握している父さんが了承するのは時間の問題だった。


---


「オークキングが見当たらないな…仕方ない」


父さんの言う通り、いつも後ろで見ていたオークキングの姿が見当たらない。

でも、父さんはそんなに気にしていないようだ。

精霊の声を聞ける父さんからしたら、どこにいようと逃がすわけはないということらしい。


「いいか?まずは私とセーラで奴らに奇襲をかける。奴らの意識が私に集中したら、お前たちは娘達の解放に動きだせ」

「わかった」


父さんの言葉に僕らが頷く。

それを確認して、父さんが前を向く。


既に、オークの集落傍に来ており、向こうはこちらに気づいていない。

僕と狩人の二人は、これから迂回して、女性たちが捕まっている小屋の近辺で待機する。


「では行くぞ」


父さんが更に近付き、僕らは僕らの役目のために動きだす。

上空にはスーも待機しており、交戦命令を待っている。


僕らが待機場所に着いたのを確認すると、父さんの弓が唸った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ