第16ページ 偵察
間違えて途中なものを投稿してしまったので急いで編集しました。
「あれはオークだ。しかし、オークがこんなにも近くに集落を作ろうとしていて気付かなかったとは…」
苦々しげに父さんが呟く。
既に僕らはあの場所を離れて、村の村長ムーデルさんの家に来ていた。
あの魔物たちのことを報告するためだ。
ざっと数えただけでも20体以上が確認でき、オークの上位種の姿も確認できた。
あの奥にいた個体はオークキング、鎧を着ていたのはオークジェネラルと呼ばれる個体だそうだ。
オーク単体での戦闘力はそれほどでもないが、集団ともなるとウインドーウルフ成体をも倒せることが証明されている。
あの仔狼の親は、大きさからしてもランクAに匹敵する実力があったと思われる。
子どもを庇いながらというハンデがあったのであろうが、それを倒してしまったということはAランク魔物以上の脅威に他ならない。
「どうするの?」
「とりあえずは、偵察するしかあるまい。頼めるか、ケイト」
「もちろん!」
と言っても僕が行くわけではない。
スーに上を飛んでもらってスーの視界から僕が見るだけだ。
オークには飛び道具はないようなので、危険はまったくない。
仮に飛び道具を持っていたとしても、実際飛んでいるスーに当てることは難しいだろうけれど。
というわけで早速飛んでもらう。
僕は目を閉じ、スーと感覚をリンクさせる。
このスーの視界から見る光景が、僕は好きだ。
自分も飛んでいる感覚になるからね。
残念ながらスーは僕を乗せて飛ぶことができない。
大きさ的に僕が安定して座ってられないんだ。
少し景色を楽しんでいると、すぐにオークの集落へとたどり着いた。
黙々と作業しているオークたち。
それを見ているオークキング。
もういくつかの建物というか小屋というか、もはや藁でできたテントのような物だけど一応できてはいた。
そこで僕は発見してしまう。
何人か、獣人の女性がいることに。
彼女らは泣きはらしたような顔をし、絶望を顔に浮かべている。
生きてはいるようだけれど、それだけという感じだ。
僕がそのことを素直に報告すると、皆一様に顔をしかめた。
曰く、彼女たちはオークの慰み者になっていると。
曰く、オークたちが飽きれば、その時点で彼女たちの命は奪われるだろうと。
ただ、殺されるのならまだいいが、嬲られて殺される可能性もある。
それを聞いた時、不快感を感じた。
本能的な不快感。
村の人で、行方知れずになっている人はいないので、彼女たちは別のところから連れて来られたようだ。
でも、そんなの関係ない。
仔狼の親を殺して、女の人を慰み者にしたあげくに殺すなんて。
許せない。
僕の怒りに反応したのか、スーが冷気を放とうとし、僕の隣りにいたビギンが震え始める。
僕の周りを飛んでいた精霊たちも、何やら反応し始めた。
「ケイト…」
「時間がないんだよね?なら、やらないと」
父さんを含め、ここに集まっている村長以下村の有力者に向け発する。
もう僕は我慢が出来そうになかった。




