第0ページ プロローグ1
「とある異世界の物語シリーズ」三作品目です。
読んでいただければ幸いです。
少年はいつも独りだった。
望んでそうなったわけではない。
少年には家族がいなかった。
自分は赤ん坊の頃に孤児院の前に捨てられていたそうだ。
その孤児院も色々な理由が重なり、小さい頃に潰れてしまった。
そこからはたくさんの児童養護施設をたらい回しにされた。
当然、親しい人などできるわけもなく。
少年には友達と呼べる人もいなかった。
子どもというのは残酷だ。
何の罪もない少年を、異物として排除する方向に動いた。
中性的な顔立ちは、男女双方に受けが良いものだった。
だが、少年にその自覚はなく、それが男女共に、いわゆる派閥のリーダー格には不満だった。
苛立ちは行動へと移る。
まったくの偶然ではあるが、その子たちの取った行動は無視であった。
それを自分の取り巻きへも強要した。
結果、少年はいつも独りだった。
それでも少年は頑張り続けた。
ただただ友達が欲しかった。
そんなある日、少年に友達ができる。
自分と同じ年くらいの女の子だった。
公園で独りブランコに揺れているとき、女の子は声をかけてきた。
違う学校に通っているというその女の子は、ここらへんでは遊び相手がいないのだと言う。
だから、自分と友達になろうと。
少年は嬉しかった。
その日初めて、少年は友達と遊んだ。
中学生になった。
相変わらず少年は学校が終わると公園に行き女の子と遊んでいた。
少ないながら少年にも友達はでき始めていたが、未だにその子とは遊び続けており、一番の親友だと思っていた。
そんなある日、少年はいつものように公園に向かう。
そこには、彼女と、その周りに何人かの子供たち。
一緒に遊んでいる風な自分の憧れを具現としたような風景。
少年はそんな風景に一抹な寂しさを覚えつつも、そこに加わるべく向かう。
だが、そこに待っていたのは辛い現実。
そこに集まった子供たちは、少年をその輪に入れようとしなかった。
自分たちだけで遊ぶと言い張った。
少年は女の子を見る。
女の子は一瞬だけ申し訳そうにしたあと、帰ってと言った。
少年はショックだった。
今まで友達だと思っていた相手にそんなことを言われたことが。
傷心した少年は気付かない。
目の前で変わった信号も、横から鳴るクラクションの音も、迫りくる大型のトラックも。
気付いたときにはすべてが遅かった。
全身が粉々に砕けたかのように痛い。
ああ、自分は死ぬんだと、少年は少しの安堵を感じながら目を閉じた。