9.
お待たせしました。の、わりに短くてすいません。
「イブン様!置いてかないで下さいよ~。」
たたたっと、駆け寄ってきたのは、たぶん王子の従者だろう。
「迎えが来たぞ。早く行け。」
「エドガーさりげなく僕にひどいよね。あ、愚兄が近衛にいるから気を付けた方がいいよ、アラン君。またね。」
王子はほんとに置いてかないで下さいよ~と、少々涙目の従者に引き摺られて去っていった。なんと言うかあれだな、焦げ茶の髪とも相まって柴犬みたいだな。というか愚兄って……。第二王子だろうな。俺の切実に会いたくない奴トップをぶっちぎりで独走しているめんどくさい人物だ。過去会った数回においてことごとくめんどくさかった。
「で、お前ほんっとうに第3に入るつもりなんだな。」
「ああうん、決めた。」
「で、ブラムは賛成なのか。」
「はい。それがいちばんよろしいかと。」
「……」
ため息をついているが、こっちもつきたい。どの団に入るかに友達の同意が要るってどうなんだろう。なんというか、それってもう友達を超えてると思うんだ、つーか親?まあ今世で親居ないし、色々と心配するのも分かるんだが。
「……頑張れよ。第2なら今からでもなんとかならなくもないが、第3にはさすがに知り合い居ないから根回しが出来ん。」
何か予想の斜め上を来た。……そうですか。根回しとかなかなかブラックですね。それに、
「どこに入るかって明日決まるんだろ?今から根回しとかすげえな。」
「何いってるんだお前?入団決定は一週間後の新入団員個人対抗戦の後だぞ。」
「なんだって!?」
き、聞き間違いだよね一週間後とか。
「もう一回言ってくれ。」
「はあ?だから一週間後に決定だって言って……てめえ何があった?」
こういうとき鋭いんだよなエドって。さすが公爵家次男。
「何があったのですか?エドガー様の不利益に繋がることでしたら、私が直々に手を下して差し上げますが。」
現実逃避ぐらいさせてくれ!つーか喉に当てられたブラムの手がめっちゃ怖い。今にも首を捻られそうだ。
あ、ヤバイ。手に力いれてる。
「ごべんだざい!」
「はあ、手ぇ離してやれブラム。話が聞けん。」
「承知しました。」
「ゲッゲホゲホッ」