5.
主人公の名前変えました。この話は結構前に考えてて、それを回想しながら投稿してるんですけど、ノートのはじっこにメモ書きを発見したらアルトじゃなくてアランだったんですね。アルトとアランなんぞよく考えると(いや考えなくても)些細な差なんですが、気になって勢いで直しました。
以上、言い訳でした。
「第3騎士団が勝つとなんか問題あるのか?」
わからない時は素直にエドに聞こう!ブラムでもいいんだが怒ると怖いし、くだらない(とブラムが判断した)質問には答えてくれない。エドに聞けばだいたい教えてくれるし、エドが詰まれば必ずブラムが説明を加えるから結果オーライだ。
「アランお前!俺ちゃんと説明したよなあ、各騎士団の成り立ちとか立場とか王都に来る前に。」
うん、そうだな。でもさ
「わるい、俺とにかく第1騎士団に入りたいと思ってたからほとんど聞いてなかったや。」
「ハア?」
そうだよな。俺も今の発言を俺以外の奴がしたらハア?ってなる。なんかもうあの小さい頃の憧れだけで今まで来たから何やってる所なのかとかさっぱりわかってないって言うか覚えてないんだよな。……バカだよね。
前世の俺の無気力ぶりから考えるとその熱意は素晴らしいんだがそれを思い出した今、同じように行動できるかと言うと微妙なところだな。貴族の勢力争いとか平民差別とかに関わりたくないから、とりあえず幼馴染みとは離れたいところだ。
薄情?いやいや、考えてもみろよ。こいつらと一緒に居たらまず、下級貴族で取り巻きになりたいやからに目の敵にされる。同格かそれよりちょい下か上のやつらにはオルコット家を引きずり落とすための手駒とか人質として大人気だろう。さらに、そんなやっかいごとの中心に居たら平民の仲間たちからも遠巻きにされて完全に孤立する。
幼馴染み二人とは一緒に居れるだろうけど、主に身分の差的問題で四六時中そばにくっついてる訳にはいかない(むしろくっついてない時間の方が長いだろう)ので、まあ見事に潰すと旨味があるぼっちが完成するな。そんな立場でうまく立ち回れるほど俺は頭がよくない。
ハァッとため息をついてエドが話しだす。
「第3騎士団は歴史があり、誇りを重視する第1、第2騎士団とは違って諜報を主な任務とする新設の団だ。なんでも団長のミナモト ヨリミツが実家の爵位にものを言わせてごり押しして設立したらしい。」
はい?
「源、頼光?」
「?ああ、ミナモトが姓だ。ミナモト公爵家。五つある公爵家のうち二番目ぐらいの勢力で、うちより上だ。初代ミナモト コウキが代々姓を先に名乗れと言ったっつーのは有名な話だな。眉唾ものだが、異界から召喚された勇者の末裔を自称している。」
「その真偽はさておいて恐らく建国当時から続いている数少ない家柄であることは確かです。ヨリミツ様は長男ですが、弟のヨリヒサ様が公爵家を継ぐようですね。」
み、源 頼光って言ったらあれだよな。こう、鬼とか蜘蛛とか倒した英雄?みたいな。え、勇者の末裔?やべえすごい主人公のにおいがする。異世界召喚に勇者とか、ラノベとかネット小説にはまってた身としては興奮するしかないよね!
「ああ、ほら。あそこに立って居るのがミナモト ヨリミツだ。」
エドに指し示されて見た先には、漆黒の瞳で同色の髪を後頭部で括った侍が立っていた。
うん、今ならあの叫んでた皆さんの気持ちが分かる!