3.
王宮にはギリギリだったとは言え入団式開始前に到着し、何事もなくそれは終了した。それでもブラムには不満だったらしく、まだ文句をいい続けているけど俺は聞いてない。いつも途中から聞き流してたから相当スルースキルが磨かれてるなこりゃ。
次は闘技場に行って団対抗の模擬戦を見るみたいだ。騎士団には第一から第三騎士団までがあって、これから模擬戦を見た後に一応希望をとって試験して、個人の資質を見た後にどの隊に入るのか決められる。学校からも報告はいってるだろうけど騎士団はあんまり信用してないっぽい。まあぶっちゃけ、学校の成績は金と権力で上げられるからなあ。
ああ、ようやくエドがなだめ始めたな。
「まあ、いいんじゃないか間に合ったんだし。」
「エドガー様がいいとおっしゃるのであれば私に否やはありません。ところであなたは一体何をしていたんですか?」
おおっとお
「いや、うん。なんというか、こう。」
「何です?まさか本当に寝坊ですか。」
まずい、ブラムの目が冷たくなってきた。でも本当、何て言えばいいんだ?前世思い出してたとかいかに幼馴染みと言えど頭がおかしくなったと思われるだろ。
「今言わなければ怒りますが」
「ハイッ、前世を思い出してちょっと混乱してました。」
『…………。』
やっべ
「怒らないから、正直に言えよ。」
「そうですね。ない頭を使って下手な言い訳などしないほうが身のためですよ?」
……いやいや、もうすでに二人とも怒ってるよね。さっきまでより足音荒くなってるよ。というか信じてもらえなかったな。…正気を疑われるよりはましか。
「じ、人生について考えてたっていうか見直してたっていうか……。」
『………』
苦しい、我ながら苦しすぎる言い訳だ。俺はあまり悩んだりすることは今世も前世もなくて、逆に色々即決し過ぎて多々苦い思いをしている。前世はなるべくその時々で楽な方へ、今世はとにかく熱血にだったからベクトルはまるっきし逆だが。
「と、とりあえず闘技場行こうぜ。模擬戦始まりそうだし。」
逃げよう。プレッシャーがすごい。めっちゃ怖いけどあなたがた本当に16歳ですか?