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2.

 はい!新しい朝がやって来ましたよ、絶望の朝が……ああ、うん。テンションは昨日より落ち着いた。落ち着いたったら落ち着いたんだっ!……深呼吸でもしようか。

 昨日あの後俺はそのまま床で現実逃避をしつつ寝たんだが、昨日より俺とオレ(アラン)の間にあった壁と言うか意識の差みたいなものが薄くなった。

 ちなみに俺はよくある感じのテンプレみたいに頭を打って思い出した訳じゃないし、熱も出てない。なんかこう、オレじゃなくて俺であるっていうのがもやもやっと浮かんできて、昨日の場面につながってた。昨日はなんて言うかアランは俺にとって完璧他人事みたいな感じだったけど今日は違う。俺の延長線上にオレ(アラン)があるって感じだ。でも人生約40年と16年じゃ記憶の量とかにも差があるからか、俺ベースでまとまっていて、やっぱり騎士団入団は憂鬱だ。だけどこの世界での記憶も違和感なく俺としてあって。

ダッダッダッバァーン

「おいテメエ入団式に遅れんだろうが寝坊してんじゃねーよ早くしろっ!」

 まあ要は何を言いたいのかと言えば、部屋の戸を蹴破ってこっちを睨んで俺が寝坊したと決めつけ青筋立ててる男と、その後ろでニコニコ笑ってるやつのどっちがヤバイのかと、今すぐに俺がとるべき行動がすらすら浮かんでくるということだな。

 俺は何も言わずに壁に掛けてあった騎士団服を手にとってシャツの上から着込んで、

「すいませんでした!」

華麗なジャンピング土下座を披露した。

「何でお前はいつもいつも謝る時はブラムの方を見るんだ。」

「そうですよ。別に私はいいのです、あなたが入団式に遅れようと、それに付き合わされようと、エドガー様の命ならば喜んで従いましょう。ですがあなたの寝坊によってエドガー様が遅れるのは断じてあってはならないことです。謝罪は私ではなくエドガー様にしなさい。」

 この二人、エドガー・オルコットとブラム・ジーゼは俺の幼馴染みでオルコット公爵家次男とその従者だ。身分がバカ高いこの二人と平民でしかも孤児な俺とが親しくなるまでになかなかスリリングなあれやこれやがあったんだけど、それは割愛させていただく。あと、それはしょうがない事だと思う。だって、

「エドよりブラムのほうが怖いから。」

 ……王宮に着くまでブラムの説教は続いた。


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