0>>俺とエロゲとホモサピエンス
ぼちぼち書いていきます
「好きです!付き合ってください…!」
放課後の教室。
俺は突如として、そんな告白を受けた。
戸惑う俺に、尚も彼女はこう言う。
「ずっと前から好きだったんですっ…」
俺は嬉しいとか、そういう気持ちで手が震えるのがわかる。
「急に…ごめんなさい…でも!好きです」
ああ、どうしたものか。
栗色のふわっとした髪の毛、薄桃色の瞳。
整った顔に、白い肌。
少し紅潮した頬さえ愛おしい。
「お返事を頂けますか?」
上目遣いで聞いてくる彼女。
俺に断る理由なんてひとつもない!
「こちらこそお願いします!」
俺は、そう書かれた選択肢を連打した。
*****
中学三年生、本名「瀬戸田シノ」。
俺は義務教育という網を抜け出して、引きこもり生活を行っている。
両親はともに何も言わないし、父親は俺にゲームをたびたび買ってきてくれる息子コンプレックスだ。
その大半が恋愛ゲーやエロゲーなのは、この際、些細な問題にすぎないとしよう。
そのおかげ?もあってか、俺はネットじゃちょっとした有名人だ。
いわゆる、「エロゲ評論家」てきもので。
父親も何故かそれを喜んでくれている。
曰く、「青春はネットにあり」。
ともかく俺は、只今そんな感じで新作エロゲをプレイしていたのだった。
感想からいうと、キャラクターは可愛いが告白やら何やらが真面目すぎる。
シナリオのバリエーションが少なすぎるのだ。
ただ、露出があまりない…という部分は高く評価できた。
過度な露出は、俺的にアウトだ。
どうやっても、あからさまに見えるし、萌えもない。
…と、こんなところだ。
「シノ、ただいま」
評論をし終えたところで、ちょうど父親が部屋に入ってくる。
手にはビニール袋。
大きさからいって、何か一つゲームを買ってきたのだろう。
「お帰り、父さん」
笑顔で出迎える。
俺もある意味ファザーコンプレックス、ファザコンだ。
「給料日前だからな、ちょっと中古店に言ってみたら、パッケージに一目惚れして買っちまった」
そう言って差し出してきたのは、やはりエロゲ。
だが…?
「これ女もんだろ!?なんで男の俺が男を攻略しなきゃいけないんだっ」
「いや、ついつい…その男の子可愛くて」
と、モジモジしながらパッケージの男の子を指さす。
中心でピースをしている男子だ。
年齢は俺より少し上だろうが、そのキュートな笑顔。
まさに可愛い系男子だ。
「父さんがホモなのは知っていたけど…俺に趣味は押し付けてないで…ね?」
俺は優しく言ってみる。
が、父親は今にも泣き出しそうだ。
正直、父親はイケメソというやつなのでもったいない。
こんな性格じゃなければ、さぞモテただろう。
「わかった、ちゃんとプレイするから…!」
「シノちゃん…!ありがとう…!」
「ちゃん……」
許すまじ父親…。
俺の一番気にしていることをえぐってきたではないか。
「…むぅ」
膨れっ面をすると、父親が盛大に鼻血を吹き出して倒れたので放っておく。
そのうち目が覚めるだろう。
そう、話を戻すと、俺は自分の顔が大嫌いだ。
女顔…というやつで、可愛いとしか言われたことがない。
男たるもの、一度はカッコイイと言われてみたいものだ。
まあ、俺が登校拒否になったのも、先生たちに性別を間違われすぎたりしたせいだ。
「とりあえず、やってみるか」
俺は特にやることもないので、ディスクを入れてゲームを立ち上げる。
「ようこそ、僕らの世界へ…!」
イケボ(イケメンボイス)が部屋に響く。
そして画面いっぱいのイケメソ&肉体美。
俺は男なので、なんの魅力も感じない。
「自分の顔を作ってね!カメラで読み込むと、瞬時に自分ソックリにもなっちゃうよ」
今度は女性の声。
ナレーターてきなやつだろう。
とりあえず俺は、カメラで顔を読み込ませた。
古いゲームかと思っていたが、なかなか便利な機能がついているようだ。
「完成!これでいいかな?」
驚いた。
本当に自分ソックリになった。
ちなみに俺はハーフなので、茶髪緑目だ。
とりあえず、気持ちが悪いとも思いながら先にすすめる。
「ではゲームをはじめるよ!準備はいいかな?」
ちょっと子供向けすぎる気もするナレーターだが、意味はわかりやすい。
「スタート!」
俺は決心してボタンを押した。
*****
「おはよう、目は覚めた?気分はどう?」
視界が暗くなったと思ったら、いつの間にか俺は寝ていたらしい。
「起きれる?」
「うん…」
父親だと思って抱き起こされてみると、そこには誰だか知らない男がいる。
「…夢か」
青い髪と青い瞳、どこかで見たことのあるようなイケメソだ。
見た目に反しておっとりしていて優しそうだな…と思う。
「夢?ここは俺んちの庭なんだけど…」
「へ?」
「朝起きて庭に出てみたら、急に君が倒れてたんだよ。もしかして、何も覚えてない?」
優しそうに俺の様子を伺ってくれるのは嬉しいが、俺の脳内は混乱している。
なぜなら、俺はさっきまで部屋にいたはずであり、こんな場所は知らない。
もちろん、夢遊病でもない。
「記憶喪失かもしれないね。俺んちで休むといいよ?」
いや、それはない。
だが、言われてみると自信がなくなってきて、俺は言葉をのみこんだ。
「さあ、とりあえず中に入ろう。名前とかは…?」
「シ…シノです」
「そっか!シノちゃんかー。俺はセツナっていうんだ、よろしく」
また女と思われたのか。
俺は少し悔しくなったが、改めて自分の格好を見てギョッとする。
白いワンピース1枚……!?
落ち着け俺!!!
髪の毛を触ってみると、見事なツインテール。
「ひいっ」
俺は全身から力が抜けるのを感じた。
そうだ、よく思い出してみればわかることじゃないか。
この男はパッケージの表紙にいた一人だ…。
そして、俺の体が女体化している現状から察するに……俺はゲームの世界に飛ばされた?ということが。
どうだったでしょうか…文章能力なくてすいません。